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Voices

2024.04.24

名古屋製作所が作り出す新しい交流の場。農業とITを掛け合わせたIoT Green Shadeへの挑戦

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名古屋製作所が作り出す新しい交流の場。農業とITを掛け合わせたIoT Green Shadeへの挑戦 名古屋製作所が作り出す新しい交流の場。農業とITを掛け合わせたIoT Green Shadeへの挑戦

三菱電機には全国に支社、支店、製作所など多くの活動拠点があり、それぞれの場所で様々な活動を行っている。実際にどのような活動が行われているのか、そして活動に従事している従業員はどのような思いを持って取り組んでいるのかを紹介していく。今回はFA(ファクトリーオートメーション)の技術を利用したIoT Green Shade(グリーン シェード)の制作に挑む、名古屋製作所の池田剛人さんにお話を伺った。

FAの技術を用いて、快適な空間を提供する

名古屋製作所のオープンイノベーション推進プロジェクトグループに所属する池田さん

ー まず、名古屋製作所では主にどのような事業に取り組んでいるのかを教えて下さい。

池田:工場での自動化を図る「FA」に寄与する製品やサービスを提供しています。私が所属する部署も、「次の100年に向けてFAに資する新しい事業を創出する」というミッションを掲げながら、FAと日々向き合っています。

ー 具体的にはどういった製品をつくられているのでしょうか?

池田:人で例えると、頭脳にあたるシーケンサーと呼ばれるものから、手足に相当するモーターなど様々です。工場のラインで考えた場合、動きを制御する装置からその伝達、そして実際に作業をする機械まで、幅広い製品を手掛けています。

ー いま現在、池田さん個人としては、どのようなプロジェクトに携わっているのでしょうか?

池田:今はIoT Green Shade(グリーン シェード 以下IGS)と呼ばれるソリューションを手掛けています。植物を茂らせた屋根の下で、人々が座って休憩できるスペースのようなものですね。厳しい猛暑でもIGSで涼しく快適な時間を過ごして頂き、そこに集まった人々からコミュニティーが生まれる。そんなスペースを提供したいと考えています。

うめきた外庭SQUARE様での実証実験時の様子

ー IGSのどの部分に、FAの技術が活用されているのでしょうか?

池田:シェードになる部分の植物にはトケイソウ科のツル性植物であるパッションフルーツを使用しているのですが、それを自動で育成するところにFAの技術が活用されています。鉢の中に土壌の状態を計測するためのセンサーを埋め込んでいて、土の中の水分量が基準を下回った際に自動で水やりをするシステムを構築しています。また、ミストを全体に吹き付けるための機械も設置していて、そこから生まれる気化熱を循環させる仕組みにも、FAの技術を用いています。

ー そこまで自動化してしまうんですね!

池田:植物を育てるフィールドとIT技術、そうした異業種との共創こそがIGSをつくる意義だと思っています。CO2削減による地球温暖化の防止に貢献できたり、快適な空間をつくるだけではない様々な未来が広がっていたりするんです。

ー 休憩の場所として設置されることはイメージが湧くのですが、その他にも活用を想定している場所はあるのでしょうか?

池田:23年度は省エネに寄与できないかという観点で、商業ビルを舞台に実証実験を行いました。商業ビルの屋上には、施設内を冷やすためにたくさんのエアコンの室外機が並んでいます。室外機は周りの空気を吸い込んで室内に涼しい風を送るのですが、その室外機の上にこのシェードで日陰をつくり、涼しい空気を循環させることで室外機の稼働量を減らした結果、どのくらい省エネにつながるのかという実験ですね。まだまだ課題もたくさんありますが、ある程度の期待感を持てる成果は見えてきています。

ー 環境配慮だけではなく、ビジネスの観点でもシェードは活用できるんですね。

池田:はい。さらに今年は実験が一つ先に進んでいて、集まった人々に“行動を促す”ことを実現したいと考えています。例えば、IGSで作った空間の床にプロジェクターで映像を投影することで、そこに集まった人を店舗に誘導するようにできないか、などの試みですね。

笑顔を提供するために、気持ちの良い仕事がしたい

ー 事業を進める中で、特に大変なことはありましたか?

池田:2022年の4月ごろから企画は進行していたのですが、パッションフルーツは夏に育つ植物なので、6月までにシェードに取り付けなくてはならなかったんです。時間が限られている上に、このプロジェクトは異業種を掛け合わせた取り組みだったこともあり、私をはじめチーム全体として、これまで経験していないことが多かったんです。水を供給するための水道業者、屋根の骨組みを作るための施工業者など、どういう人に何をお願いすればいいのか、全てが手探りの状態でした。そこから実証実験まで辿り着くのは、非常に大変でしたね。あと、今となってはいい思い出ですが、猛暑の中でシェードを設置した施工期間も相当大変でした。

ー 実証実験を終えた時は、かなりの達成感があったのではないでしょうか?

池田:そうですね。ただ数ヶ月苦労して組み上げたシェードを数日で撤去していく時は、寂しいという気持ちの方が強かったかもしれないですが…。

ー IGSの開発や実装には様々なハードルがあったとのことですが、池田さん自身はどのような思いをもって、モノづくりをされていたのでしょうか?

池田:思いという部分では、利用していただくお客様だけでなく、私と一緒にシェードを作っていってくれる人に気持ちよく仕事をしてほしいですし、私も気持ちよく仕事がしたいと常々思っていました。そのためには日頃から築き上げる信頼関係をとても大事にしていましたね。これからも、そこは自らのモットーとして意識していきたいところです。

製品に対する思いとしては『我々の製品やサービスを使ってくださるお客様の笑顔を1つでも増やしたい』ということです。公園に設置した場合は住民の皆さまのコミュニティーとして機能し、そこから広がりが生まれていくこと。人と人とのつながりができることで、その先に自治体や地域の活性化が見えてくると思っています。一方で、商業施設に設置する場合は、ビジネスの観点からお客様に満足していただくことを意識していました。さらに実証実験が進むことで人流のデータが取れたり、広告をスペースに流すことができたり、新しいメリットを生み出していきたいですね。IGSの形は一つですが、場所に応じて活用の方法が様々あるところに、私自身も可能性と喜びを感じています。

掲載されている情報は、2024年2月時点のものです。

制作: Our Stories編集チーム

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