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2024.02.15
三菱電機グループの次の100年を照らすパーパスプロジェクト
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三菱電機は、新たな取り組みとして国内外グループ会社の従業員約15万人を対象としたパーパスプロジェクトを立ち上げた。従業員一人ひとりがマイパーパスを考え、企業理念/パーパスと向き合うことで、変革の原動力へ繋げていくのが狙いだ。ではパーパスプロジェクトの全貌とはどんなもので、具体的にはどんなことが行われているのか。このグローバルプロジェクトを推進する三菱電機 執行役員 宣伝部長の阿部敬人さんに話を聞いた。
パーパスを考えることは自分と向き合うこと
関連書籍も多く、ビジネスシーンのトレンドワードとしてよく耳にする言葉「パーパス」。直訳すると、「目的」「目標」となるが、ビジネスシーンでは少し意味が異なり、何のために私、または会社が存在するのか? という「存在意義」を意味する。
パーパスは、社会における三菱電機グループの存在意義、果たすべき役割を示した志であり、常に追求し続ける究極の目標だ。また従業員という視点では、一人ひとりが大切にしていること、こうありたいと願う個人の志を「マイパーパス」と位置付けている。三菱電機ではパーパスを起点としたさまざまなコミュニケーション施策が進行しているが、その旗を振るのが宣伝部。スタートするにあたり、「正解の無い施策で賛否は巻き起こるだろうが、皆がやってみたら良かった、という施策にしたかった」というのは部長の阿部さんの言葉だ。
「パーパスプロジェクトは、社内では1年半くらい前から動いているプロジェクトです。三菱電機が創立100周年を迎えたことが、次の100年はどういった会社を目指すかを考える一つの契機となりました。そこで漆間さん(社長)の思いもあって生まれたのがパーパスプロジェクトです。その一環として、従業員の皆さんにマイパーパスについて考えてみることをお願いしました。ただし始めるに当たって、指示という形にはしたくなくて、皆さんに面白いと感じてもらい、自分にもメリットがあると発見し、自発的に取り組んでもらえるようなプロジェクトを理想として色々と工夫を凝らしてみたんです」
その手始めに、オリジナルの絵本(カルチャーブック)二冊を約15万人の従業員に配布した。あえて「私たちの仕事って何だろう」という問いかけのカードだけを添えて。一冊は、三菱電機グループの歴史を紐解いたもので、三菱電機グループが大切にしてきた価値観や理念を伝えるもの。もう一冊の「大きな仕事をするこころ」は、「仕事とは何か、働くとは何か」を考えるきっかけになるストーリーになっているという。マイパーパスを考えることは、自分と向き合うことに他ならないわけだ。
「いざパーパスを作り、その過程やベースとなる考えをみんなで議論してみるとすごく盛り上がりますし、改めて自分の存在意義や働く意味について考えてみることで、実は自分はこういう考えや思いを持っていたんだと気づくんです。延べ数十人で試行した結果、自分も含めて働くことに対して前向きになったという声が多いことを体感しました。これは単純に自分たちのプラスになる話しですので、従業員の皆さんにもぜひ体感してほしいなと思っています」
従業員一人ひとりが元気に働くためのプロジェクト
従業員がパーパスと向き合うことを、会社をより良くする原動力へと繋げていきたい。従業員一人ひとりが思いを持って元気に働くことこそが、会社を活性化する一番の原動力であるというのが、三菱電機の考えだ。では、従業員にパーパスについて考えてもらうにはどうすればいいか。その初手は、“隗(かい)より始めよ”だった。
「まずはリーダーからマイパーパスを公開することが重要だと考えました。いきなり、皆さんやってくださいと言っても、上から何か降ってきたと捉えられてしまうので、まずは社長、続いて執行役、上席執行役員、その後製作所長や部門長など合計156名のマイパーパスを社内向けサイトで公開しました。従業員は誰でも見ることができます」
国内外グループ会社の従業員数約15万人という企業だからこそ、社内向けサイトだけでは伝わりきらない部分もたくさんある。だからこそ、パーパスをテーマにしたTVCMを流すことで社外からも従業員にアプローチできるし、従業員の家族、友人、そしてお客様など社外の人たちにも三菱電機がこういう理念を持った会社だということを伝えられる。そのほか、この記事が掲載されているサイト「Our Stories」も、パーパスプロジェクトを社内外に伝えていく役割を担っている。
「インナーブランディングということも含めて、このプロジェクトは企業ブランディングの一つだと捉えています。社内外に向けて継続的に発信してくことが必要だと思いますし、宣伝部としては従業員にできる限り楽しんでもらいつつ、考えてほしいですね」
宣伝部がプロジェクトにかける思い
一般的にはこういったプロジェクトは、人事部や経営企画室などが中心になることが多いが、三菱電機の場合は宣伝部が担っている。なぜだろうか?
「2:6:2の法則を聞いたことがあると思うんですが、何か新しいことをしようとすると、2割はポジティブに行動する、6割は様子見、残り2割からはネガティブな意見が出てきます。その6割のどうしたらいいんだろうと悩んでいる人たちに向けて、波状的に施策をやり続けることが大切だと考えています。そのための企画や計画の立案から実行というところに、宣伝広告を手掛けてきた宣伝部のスキルが生きてくるはずです」
プロジェクトを進めるにあたっては様々な困難が起きる。そのハードルを乗り越えるには、汗をかくことも厭わない覚悟だ。
「伝言ゲームな側面もあるので、より遠くの対象を意識すればするほど、我々の思いが伝わりづらくなります。マイパーパスとして事業目標に近いことを書いてくださる方もいるのですが、例えば三菱電機で働き始めた時にどんな思いを持っていたかなど、根源的な部分について立ち返って考えてみて頂きたいなと思っています。どうやったらよいのか分からないというご質問を受けたりしますので、趣旨を丁寧に伝えるために、実際に現場に足を運んで説明会を開くなど地道な活動を行っています」
2024年度からは、国内外のグループ会社でも同プロジェクトをスタートするとのこと。
「海外ではこういう取り組みはどう受け取られるか心配だったんですが、杞憂でした。海外のグループ会社との会議で、マイパーパスを考えて発表するワークショップをやってみたんです。そうしたら予想以上に盛り上がりました。幼い時から自身の考えを言語化してきた文化圏の人たちならではだなと。海外の従業員の反応を伝え聞くと、海外の活動の方がすぐに日本の活動スピードを追い越すかもしれないと感じたほどです」
海外と日本。相互作用によって、それぞれのエリアのプロジェクトに対する熱量が増えていけばいくほど、それは三菱電機グループ全体にとってはいいこと以外の何者でもない。
「ある海外のリーダーのマイパーパスに個人的に感銘を受けたものがありました。『自分は社会のために、何かしら小さなことをやっていこうと考えていたが、三菱電機の事業を通じてより大きな影響力を持って、社会を良くすることができることがわかり、それから会社に行くこと、働くことが楽しくなった』と。自分で小さく考えていたことが、会社や周りの力を借りることで大きくなっていくことが感じられるというのは、素晴らしいことですよね。ですから、例えばある製品の小さな部品を作っている従業員がいて、仮に自分は地味な仕事しかしていないと思っていたとします。でも、自分のやっている仕事が巡り巡って大きな製品、システムの一部になって世界に役立ってゆくということを感じることができたら、その仕事が今以上に有意義なものに思えて誇らしいと思えるのではないかと。そういう大きなストーリーに気が付いてほしいと思いますし、発見できるといいなとも思います。そのためにも、マイパーパスについて自由に議論して、いいと思う部分は本人や周りに伝えて、是非共有してみてほしいと願っています」
※掲載されている情報は、2023年12月時点のものです。
制作: Our Stories編集チーム