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Voices

2024.06.17

良いところを取り入れることが、より良い社会につながっていく

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良いところを取り入れることが、より良い社会につながっていく

世界各国にある三菱電機グループの拠点で働き、多様な文化と環境の中で生活をする従業員の方々は、どのような思いを持って日々を送っているのだろうか。今回は、三菱電機の海外OJT研修でタイに派遣された建部晶子さんに、1年の研修期間での経験や感じられた思い、そしてこれからについて、ご自身の言葉で綴っていただいた。

海外のスタッフと働くことで気が付いたこと

会議では、国籍を超え、議論が活発に交わされる

สวัสดีค่ะ(こんにちは。)

タイのMitsubishi Electric Consumer Products (Thailand) Co., Ltd.(以下、MCP)のProduction Control Department(製造管理部)に海外OJT研修生として派遣されている建部晶子(たてべあきこ)です。

私は2014年に中津川製作所の製造管理部 製造技術課に入社し、換気扇に使われるモーターの製造技術開発をしてきました。その後2021年にコンポーネント製造技術センター モーター製造技術推進部 機械デバイス技術Gに異動し、エアコンに使われるモーターなど、様々なモーターの製造技術・生産設計に携わってきました。

派遣先のMCPはエアコンの製造・出荷をしており、エアコンに使われるモーターも作っています。私は、そのモーターに関わる職場の生産性改善や新機種開発などをナショナルスタッフと協力しながら進めています。

私はMCPに派遣されるまで海外のスタッフと仕事をしたことがなかったので、派遣当初はナショナルスタッフとのコミュニケーションにとても苦労しました。もちろん言語が違うからというのもありますが、通訳がいる会議でもうまくやり取りができませんでした。原因を考えてみると、何かを伝えるときに「こそあど言葉」を使ってしまったり、無意識に「言わなくても通じる」と思ってしまい情報が一部抜け落ちてしまったりと、ハイコンテクストなコミュニケーションをしてしまっていたからだと気づきました。それからは伝え方に気を付けたり、なるべくリモート会議ではなく対面でやり取りするようにしました。それによって、少しずつスムーズにやり取りできるようになりました。今では、通訳がいなくてもある程度意思疎通が図れるようになり、自分の成長を実感しています

仕事にもイベントにも熱心なタイ人スタッフたち

プロダクションオフィスではたくさんのスタッフが働いている

MCPはチョンブリー県という場所の工業団地にあります。私の住居がある首都バンコクから車で1時間ほどかかります。MCPには「メインオフィス」の他に、工場の中に「プロダクションオフィス」があります。プロダクションオフィスには、私が所属する製造管理部以外に、製造部、設計部、品質保証部などたくさんの部署があり、800人近くのスタッフが働いています。また、メインオフィスやプロダクションオフィスが位置する「第1サイト」から車で20分ほど離れた場所に「第2サイト」があり、そこにモーターの製造現場があります。

職場の雰囲気は意外にも日本の職場とあまり変わらず、みんな仕事熱心です。失礼ながらMCPに派遣されるまでは、タイの人に対してのんびりしているイメージを持っていました。確かに一般的な国民性としてそう言われていますが、個人によって異なることは当たり前です。それなのに一括りで考えていたことを反省しました。

一方で、日本と違って驚いた点もあります。それは、イベントに対する熱意です。例えば、私が参加したMCP設立34周年記念イベントでは、広い会場を貸し切って全社員およそ3,000人が参加し、飲食だけでなく抽選会や有名アーティストによる演奏があり、とても豪華なパーティーでした。多くのナショナルスタッフが仮装をしたり、音楽に合わせて踊ったりと大きく盛り上がり、普段仕事で見ている姿とのギャップに驚きました。また、タイは仏教の国ですがクリスマスも楽しみます。クリスマスの数日前からオフィス内にはツリーが飾られ、トナカイの角のカチューシャなどクリスマス関連のファッションをしているナショナルスタッフが男女問わずたくさんいました。休憩時間の間にクリスマスソングが流れたりもしました。クリスマスが終わっても流れていたので、タイらしいおおらかさも感じました。年末には課内でプレゼント交換をしました。私もイベントごとが好きなので、色々なイベントをみんなと一緒に楽しむことができました。

もちろん、仕事外での交流もあります。飲み会やフットサルなどのアクティビティが定期的に開催されています。一緒にキャンプや旅行にも行きました。日本よりもスタッフ間の距離が比較的近いように感じます。業務外でも関わりを持つことで、仕事もよりスムーズに遂行できるようになりました。

タイでの生活と、随所に感じる「タンブン」精神

仕事がある日は朝5時よりも前に起きて、バンコクの住居から1時間ほどかけて車で通勤します。職場に着いたら朝ごはんにフルーツを食べます。タイでは様々な種類のフルーツが安く買えます。夕方5時まで仕事をしたら、1時間ほどオンラインの語学レッスンを受けます。その後1.5時間以上かけて帰宅をします。バンコクのこの時間帯は渋滞が多く、行きよりも時間がかかってしまいます。週末や給料日、降雨などが重なるとさらに渋滞がひどくなり、3時間かかったこともあります。帰宅したらすぐに夕飯を食べられるよう、帰宅中にデリバリーを頼んでおきます。バンコクはデリバリーの種類が多く、タイ料理だけでなく和食、洋食、中華、イタリアンなど、なんでも揃っています。また配達料金も安いので、かなり重宝しています。そして夜の10時までには就寝し、しっかり睡眠時間を確保して健康でいることを心掛けています。

タイ文化に倣い、自らも「タンブン」して徳を積む

休みの日は旅行に行くことが多いです。旅先では市場やお寺を訪れます。旅先で出会う人たちは皆親切で、市場の売り子の人がサービスしてくれたことも何度かありました。タイ人の心の広さ、ホスピタリティの高さに感動してばかりです。タイには「タンブン(徳を積む、善行を行う)」という習慣が根付いており、寄付や人助けなどを積極的にする人が多いです。タンブンをすることで最終的に自分にも幸せが返ってくると信じられています。とても素敵な精神だと思いました。

タイの良さを知り、日本の良さも知る

共に働く仲間たち(年末プレゼント交換イベントにて)

タイで仕事、生活を始めて、タイ人の優しさ、懐の広さにすっかり虜になりました。上述したタイの「タンブン」精神の他に「マイペンライ(大丈夫、問題ない)」精神も好きです。この精神を自分にも付与したことで、困ったことがあっても気持ちをすぐに切り替えられるようになりました。一方で、日本の良さを改めて感じた点もたくさんありました。例えば、物・サービスの品質がどれも高く、それでいて価格は安いという点は、日本の素晴らしい点です。タイで日本と同等の物・サービスを享受しようとすると、日本よりも価格が高くなってしまいます。その他にも、日本では当たり前であったことが海外では当たり前でないということを日々実感しています。

今回の海外OJT研修では様々なことを学びましたが、特に、自国・他国それぞれに良いところがあるということを肌で感じられたことは大きいと思います。この研修だけでなく今後海外のスタッフと一緒に働く時は、日本の良いところをナショナルスタッフ達に伝授し、日本で生活して働く時は、他国の良いところを取り入れていくなどして、自分の行いでほんの少しでも世界全体が良くなっていくといいなと思います

今はどの分野でもグローバル化が進み、これを読んでいる皆さんも、海外で働く可能性は大いにあります。最初は日本との違いに戸惑うと思いますが、その国特有の良いところが必ずあるはずです。海外で生活・仕事をすることになった時に、この記事が参考になれば幸いです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

建部 晶子

PROFILE

Mitsubishi Electric
Consumer Products (Thailand) Co., Ltd.
建部 晶子

MCPで内製している空調機用ファンモーターの製造技術を担当しています。

  • 2014年

    中津川製作所入社 製造管理部 製造技術課 配属

  • 2021年

    コンポーネント製造技術センター モーター製造技術推進部
    機械デバイス技術G 配属

  • 2023年

    現職

掲載されている情報は、2024年4月時点のものです。

制作: Our Stories編集チーム

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