Project 02
「安心・安全・快適」な
未来のモビリティ社会を実現したい。
すべての人々に、
安全で自由な
移動の機会を提供する
快適な未来の移動手段と聞いて「自動運転車」を思い浮かべる人は少なくないはず。
今、自動車業界では自動運転化の需要が高まっています。
しかし、その一方で懸念されるのは自動運転車の「安全性」です。
三菱電機では、人々が安心して自動運転車を利用できる社会を実現するため、自動運転化の安全性に貢献できる「冗長化EPS-MCU(電動パワーステアリング用モーターコントロールユニット)」ビジネスを推進しています。
よりコンパクト、より低価格に。トラブルに備える新型のEPS-MCUで、
人々の快適・安全で自由な移動の機会に寄与する。
冗長化EPS-MCU「次世代RI」の
ココがポイント!
自動運転中の「万一」に備えて、
自動運転車の心臓部にバックアップ機能を設置する。
EPS-MCUのEPS(電動パワーステアリング)とは、自動車において、ハンドル操作に必要な力を電動で補助し、操舵力を軽くする機器のこと。MCU(モーターコントロールユニット)とは、ハンドル操作補助用モーターとECU(制御装置)が一体となったEPSの主要パーツです。三菱電機ではEPS-MCU(電動パワーステアリング用モーターコントロールユニット)を1988年に世界で初めて※1の量産化に成功しました。そして、その性能を進化させることで、車の自動運転化に挑んでいます。
三菱電機が新たに開発する「次世代RI※2」とは冗長化EPS-MCUの一種で、万が一EPS-MCUが故障した場合でも、操舵を継続することができるバックアップ機能を備えています。自動運転時においても、ドライバーの命を守り、安全で快適な走行を提供することができます。
※1 当社調べ
※2 ECU(制御装置)後方搭載EPS-MCU
Interview
社員インタビュー
自動運転化のニーズが高まる今だからこそ
乗り手の「安全を守る仕組み」が開発の肝。
「現在の自動車業界は、CASEによる100年に一度の変革の時代を迎えています」(永禮)
語りだした設計部門の永禮は、EPS-MCUの先行開発・電気回路設計を担当している。CASEとは、「Connected(通信機能の発展)」「Autonomous(自動運転化)」「Shared & Services(車の共同所有)」「Electric(電動化)」の頭文字をつなげたものであり、今、自動車業界全体で推進されている動きを示すキーワードだ。その中で、「Autonomous(自動運転化)」の需要が高まっている。
「自動運転を実現するためには、車の『曲がる』を制御するEPS-MCUの貢献度は非常に大きいです。だからこそ、EPS-MCUの故障によって制御不能となった結果の交通事故を発生させてはいけない。そこで求められるのが、EPS-MCUが故障した際でも、ハンドル操作を継続可能なよう、バックアップ機能を果たしてくれる『冗長化』EPS-MCUの開発でした」(永禮)
製造部門の木谷が続ける。
「今、私たちは冗長化EPS-MCUの新機種にあたる 『次世代RI』の開発プロジェクトを進めています」(木谷)
木谷は、EPS-MCUを実際に工場で製造する際の設備の仕様決めを担当している。従来製品と比べて進化した最大のポイントは、「機能集約による小型、低コスト化」だ。
「従来製品に対して、機能の集約による構造の見直しにより、部品コストだけでなく、製造の際に発生する加工コストの低減を実現しました」(木谷)
「小型化による搭載性向上に加え、コスト競争力を強化し、さまざまなお客様に提案しやすくなります」(永禮)
高い搭載性、コストメリットも強みに、高まる需要に応え続けている。
性能の追求とともに求められるのは、
安定供給を実現するための
「つくりやすさ」です。
試作品の開発が終わり、工場での量産開始に向けて調整が進むプロジェクト。今がまさに今回のプロジェクトの「山場」だという。
「試作品の初期開発では、顧客が求める機能や性能に着目して設計しがちですが、実際に工場で大量生産する際には、『つくりやすさ』が大事になってきます。試作品ではつくれたけれど、工場では同じようにつくれないということが発覚することも。ものづくりの観点で、各部品の形状やつくりやすい構造について生産技術や品質管理の人と話し合い、製品の量産に向けた設計の最適化を進めています」(永禮)
「理想の設計はどうしてもコストが高くなってしまうもの。つくりやすくするために現実的な設計に落とし込んでいくことが重要です。設計者との議論の場では、専門的な知識が求められる場面もありましたが、臆せず意見してきました」(木谷)
品質の保証方法についても、従来のやり方を踏襲するばかりではなく、改めて内容の妥当性を精査して改善を重ねてきた。さまざまな面から保証方法の改善を模索し、自動運転が普及した社会への歩みを進めている。
社会貢献への意欲が原動力。
現状に満足せず、より良いものづくりに
全力です。
「自動運転化によって人々の暮らしは快適になります。技術の進歩の恩恵を受けながらも、縁の下で人々の安全を担保することが私たちの使命です」(木谷)
プロジェクトの社会的価値を感じているからこそ、かける想いも大きい。
「安全性の高い『次世代RI』を世に広く普及させることで、自動車運転による事故を未然に防ぐことができ、人々が安心して自動運転を利用できる。そういった社会の実現に貢献できると考えます」(永禮)
「たとえ、『次世代RI』で叶えたいコンセプトが完璧であったとしても、ものづくりや品質の保証が欠けていれば、安心安全な自動運転化を実現するという理想は達成できません。確固たる責任をもち、品質と安全を担保したものをつくって、社会に貢献するのだという決意が仕事の原動力になっています」(木谷)
これからの自動運転化の要となりえる「次世代RI」の開発プロジェクト。
最後に二人は、プロジェクトの今後の展望について語ってくれた。
「『次世代RI』は、今後、三菱電機のEPSビジネスの中心となる製品だと考えます。今、『次世代RI』に対して、いくつかの商談の引き合いがあります。まずはこれらの商談を確実に受注に繋げることで、今後のEPS事業の中心として確立させていきます」(永禮)
「『次世代RI』の大量生産は、国内および海外におけるグローバルな生産を計画しています。新しい設備や環境で製品を展開していくとなると、そのときどきで改善を重ねていく必要があります。現状に満足せず、日々より良いものづくりができるよう励みます」(木谷)
※記事、所属・役職及び写真は取材当時のものです。