深宇宙探査用64mアンテナ@臼田宇宙空間観測所
このアンテナは主鏡の直径が64m、総重量が1980トンもあり、世界でも最大級の規模を誇るパラボラアンテナで、国内外の深宇宙探査衛星の追跡管制及び通信に活躍しています。1986年には76年周期で太陽を周るハレー彗星を観測する探査衛星「さきがけ」、「すいせい」と交信しています。また、最近では月周回衛星「かぐや」、小惑星イトカワを探査した「はやぶさ」の追跡運用を行い、その後も小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」、金星探査機「あかつき」など様々なプロジェクトで活躍しています。このように深宇宙探査機の追跡管制を目的として設置されている大型アンテナは、国外でもアメリカのNASA、ヨーロッパのESA、そしてロシアのIKIしか保有していません。そのため、このアンテナは世界からも深宇宙探査の窓口のひとつとして期待されています。
巨大アンテナを実現する三菱電機の技術力
このアンテナは、鏡面の直径が64mと非常に大きく、重量も相当なものとなるため、目標の探査機、もしくは天体に向けて傾けた時に、自重による変形が生じます。しかし、アンテナが自重変形しても変形後の形状がパラボラ曲面を保つようにするホモロジー構造の設計と、高い指向制度を実現するマスタコリメータの採用等により、世界最高レベルの性能を有しています。これらの高度な技術力に支えられ、このアンテナは深宇宙を見つめているのです。