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衛星観測ソリューションSOLUTION
海洋分野の解析事例
海洋監視
ビデオによる動態把握
レーダー(SAR)衛星画像は、通常は一定時間(合成開口時間)に撮影したデータを1枚に合成して静止画にしますが、撮影時間が異なるデータから複数枚の画像を生成することにより動画にすることもできます。動画にすることにより、撮影時に移動していた物体を検出したり、移動の様子を把握することができます。また、レーダーなので天候や昼夜に関係なく動態の把握をすることが可能です。
下の動画は、ALOS-2衛星のスポットライトモードで硫黄島を撮影したデータから作成した動画で、島周辺の波の様子を把握することができます。
船舶検出
違法漁業監視や海上交通の安全確保、漁業・海運による経済活動の推定など、衛星画像から広大な海上の船舶の動静を把握することは、様々なユーザーから高いニーズがあります。
下の事例は、レーダー(SAR)衛星画像からAI(Deep Learning)を用いた対象物検出技術によって海上の船舶を検出したものです。
レーダー(SAR)衛星画像は海面が暗く、陸地や船舶は明るく写る特性があります。本事例では、海上に明るく写った船舶を高い確率で検出するとともに、船舶の検出が難しい内湾や河川においてもAI技術により陸地と船舶を誤認識することなく正確に船舶を検出できていることが分かります。
SARとAISのデータ融合
レーダー(SAR)衛星画像から抽出した船舶とAIS情報※を突き合わせることで、より詳細な船舶情報を抽出したり、AIS情報を発信していない不審船舶を抽出することが可能です。
これにより、海上交通や漁業操業の安全を確保するだけでなく、海上輸送を分析することで経済状況を推定するなど、多方面での活用が期待できます。
下の事例は、レーダー(SAR)衛星画像から検出した船舶とAISの情報を自動的にマッチングしたものです。レーダー(SAR)衛星画像では船舶が移動している場合には、原理的に表示位置が実際の位置とずれるという特性がありますが、このずれを考慮した高精度なマッチングが可能です。
※AIS(Automatic Identification System):自動船舶識別装置。船舶の名称、種類、位置、速度、進路、仕向地、積載物等の情報を周辺船舶や陸上局向けに自動的に送信するものであり、一定以上の大きさの船舶には設置が義務付けられています。
海洋漂流物の監視
海洋漂流物は地球環境において近年問題視されており、船舶の航行、漁業や養殖にも悪影響を与えます。
レーダー(SAR)衛星画像からは、船舶だけでなく漂流物の検出も可能です。海洋漂流物を検出・解析することにより、特に問題の大きいとされる海底火山噴火による軽石や海洋ゴミが集積したクラスターの存在やその移動をモニタリングすることができます。この情報を活用することにより、効果的な海洋漂流物回収による環境保全や船舶航行ルートへの反映による安全航行に貢献します。
軽石の漂流状況の把握 沖縄本島
福徳岡ノ場における2021年8月13日の噴火では海上を漂流する大量の軽石が問題となりました。軽石の漂流状況は人工衛星から把握することができます。
下の事例は、沖縄本島北東部に漂流する軽石を人工衛星の光学センサが捉えたものです。
2021年11月12日撮影の光学衛星(Sentinel-2)画像で軽石の存在が確認できた場所を地図上に赤色点線枠で示しています。写真は実際の光学衛星画像で、赤色点線枠内にやや黄色味をおびた筋状の軽石が確認できます。白色に写っているものは雲になります。
東日本大震災 三陸海岸南部
2011年3月11日の東日本大震災では、津波により多くの家屋等が流され、推定150万トン以上の海洋漂流物が発生したとされています。
下の事例は、三陸海岸南部の沖合を観測したレーダー(SAR)衛星画像を時系列に解析したものです。海域に漂流している大型ごみや中小型ごみの位置や、ごみが集積したクラスターを確認することができるとともに、これらの漂流物が移動したことがわかります。
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