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衛星観測ソリューションSOLUTION

様々な分野の応用事例

AIランドスキャンNEW

広範囲をカバーする衛星画像の土地利用状況を目視で判読するのは難しいですが、「AIランドスキャン」はこの課題を解決します。AIランドスキャンは、当社の機械学習モデルを使用して、衛星画像から土地利用の状況を自動的に分類します。下図は鎌倉市周辺における分類の事例です。この分類作業は画像の1画素単位で行われ、センチメートル級の高分解能画像からメートル級の画像まで幅広く対応できます。さらに、当社独自の超解像技術を組み合わせることで、使用する衛星画像よりもさらに高い分解能での分類が可能になります。
AIランドスキャンの分類結果を活用することで、緑地、建物、道路、水域などの変化を自動的に検出し、これらの面積の変化を定量的に分析することができます。

※機械学習モデルにはOpenEarthMap*の成果を利用しています。 * Xia, J., Yokoya, N., et al. (2023)

特定の土地利用種別に着目する場合には、その種別に特化したエキスパートモデルを用いて抽出精度を向上することが可能です。下の図は、1m分解能の衛星画像を用いて建物検出を行った結果です。中分解能の衛星画像からでも住宅地の個別の建物を弁別しており、市街地における建物の変化の検出や、災害時の被災状況の早期把握に役立ちます。

IoT家電と衛星のデータ融合

衛星データ用いると洪水災害発生時の浸水状況を把握することができますが、衛星データに加えて、IoT家電データや報道・SNS情報等のオープンデータを融合すると、より高精度な情報を得ることが可能になります。

レーダー(SAR)衛星は、航空機やヘリコプターでは困難な夜間や悪天候の条件下でも、広範囲の浸水状況を把握できる利点がありますが、衛星の軌道の制約により被災域を適切なタイミングで撮影できない場合があります。

一方で、IoT家電のデータはピンポイントの情報ではあるものの、災害発生タイミングにより近い情報を得ることができます。

そこで三菱電機では、衛星データとIoT家電データを融合することにより、衛星による観測時間の隙間をIoT家電データで補間し、またIoTデータをピンポイントの高精度情報として活用し、広域かつ高精度な浸水状況を把握する取り組みを進めています。

光学衛星の超解像

人工衛星は数百km以上離れた高度から撮影を行うため、航空機やドローン等で撮影した写真と比べると解像度が劣ります。当社の超解像技術は、衛星画像の解像度劣化を正確にシミュレーションすることで、低解像度の画像から高解像度の画像を予測生成するモデルを精緻化し、衛星画像の解像度をオリジナルの解像度よりも向上させて地上の様子を詳細に把握することを可能にします。
下図は、分解能30cmの衛星模擬画像から、当社の超解像処理によって分解能を15cm相当に向上させた画像の例です。超解像処理後の画像では解像度が向上し、建築中の建物の様子や車両の詳細な形状を判読しやすくなっています。

左は超解像処理前の衛星模擬画像(分解能30cm)、右は超解像処理後(分解能15cm相当)です。画像の境界をドラッグすると超解像処理前後の画像を比較できます。

広域を把握可能な衛星画像と超解像処理を組み合わせると、様々な分野への応用が可能です。
下の事例は、物体検出AIを用いて画像から車両を検出した結果を示しています。超解像処理前の画像では車両の検出漏れや2台の車両を1台として検出する誤検出が発生していますが、超解像処理後の画像では多くの車両を正しく検出できるようになり、車両の検出精度が向上しています。本事例では、超解像によって既存のAIによる検出性能が約2倍に向上することを確認しました。

超解像処理前(左)と処理後(右)の画像に対する、AIを用いた車両の検出事例。AIが検出した車両を黄色の枠で示しています。超解像処理によってAIの性能が約2倍に向上することを確認しました。(掲載画像を含む広域での検証において、処理前に見られた検出漏れ件数が超解像処理によって51%に半減)

SAR時系列解析

SAR時系列解析は、レーダー(SAR)衛星画像から地表面変動の経年変化や最新状況を把握する技術です。当社のSAR時系列解析は、ノイズの抑制により精度を高めている点と、自動処理により広範囲の変動を迅速に解析できる点に特長があります。

解析精度NEW

下の図は、2014年~2022年の地盤変動について、当社が実施したSAR時系列解析結果を水準測量成果と比較した結果です。左側の散布図は、横軸に水準測量による変動速度、縦軸にSAR時系列解析結果による変動速度をプロットしたものであり、理想線と近い分布をしています。右側のグラフは、散布図におけるSAR時系列解析結果と水準測量の差異について、その分布と統計量を示したもので、誤差標準偏差の値より、SAR時系列解析結果は水準測量に対して1.3mm/年程度の高い精度を持つことを示しています。

当社は民間会社とSAR時系列解析の実証を重ねています。また、当社はJAXAによる「陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)事業化実証向け地殻変動サービス提供支援」に採用され、当社の高精度なSAR解析結果は、自治体、公共団体等における地盤沈下・土砂崩れ・インフラ監視などの分野で利用可能なサービスとして提供されています。

全国自動解析ツール

当社の全国SARデータ時系列自動解析ツールは、レーダー(SAR)衛星データを用いて日本全国の地表面の変動を自動で算出するツールです。このツールを用いて地表面の変動を逐次算出し、その結果を蓄積することにより、地表面の経年変化や最新状況を迅速に把握することができます。
このツールは時系列干渉解析という手法により地表面の変動を算出しますが、時系列干渉解析には膨大な計算が必要になります。当社はこの計算を効率化することにより、現実的な規模の計算機システムで日本全国の地表面変動の解析を実現します。
観測衛星は、地球を周回しながら一定幅の領域を観測しますが、一度の周回では日本全域を観測できないため、複数の周回に分けて観測を行います。周回が異なると観測日時が異なるため、地表面の変動を算出する際の期間にずれが生じ、隣接するデータ間で変動量に差異が生じてしまいます。当社のツールは、観測日時と場所が異なるデータによる変動量解析結果を、時間的・空間的にシームレスに接合することにより、つなぎ目のない日本全域の変動マップを実現できます。

当社が開発中の全国SARデータ時系列自動解析ツールの画面と、モザイク機能のイメージを示しています。

アンビギュイティノイズの抑制

一般的に、SAR衛星データには観測原理に起因するノイズが重畳されます。その一つとしてアンビギュイティノイズがありますが、アンビギュイティノイズが重畳されたデータを用いて地表面の変動を算出すると、本来は変動が無い箇所に変動が現れる等の誤差となる問題があります。そこで、当社の全国SARデータ時系列自動解析ツールでは、アンビギュイティノイズを抑圧することにより誤差の影響を低減し、地表面変動の精度を向上しています。

左図は干渉画像に見られるアンビギュイティノイズの例を、右図は当社のツールによりこのノイズを抑制した結果を示しています。左図の点線枠内に見られる紫色の領域がアンビギュイティノイズです。

AI画像認識技術

画像認識において高精度なAIを実現するためには、一般的には多くの学習用画像が必要になりますが、更にレーダー(SAR)衛星画像は、撮影する方向により画像の見え方が大きく変化する特性があるため、様々な角度から撮影した学習用画像を準備することが重要となります。しかしながら、レーダー(SAR)の実画像を多数準備することは容易ではありません。
そこで、三菱電機では、レーダ―(SAR)に関する長年の知見を活かした独自の模擬画像生成(シミュレーション)技術により、ポリゴンモデルから多方向から撮影した摸擬画像の生成を可能としました。これにより、多数の実画像を準備することなく、高い精度にて目標の抽出・識別が可能です。

お問い合わせ

お客様のビジネスに衛星観測ソリューションがどう活かせるか共に検討させて頂きますので、ぜひ一度お問い合わせください。

宇宙システム事業部 
宇宙事業開発センター
EOsolution@nw.MitsubishiElectric.co.jp