中川翔子さん✕渡部潤一先生
宇宙好き仲良しコンビが熱く語る「地球外生命体発見の日まで長生きする!」
今年もこの季節がやって参りました!宇宙について話すことが心の底から、あるいは骨の髄まで好きで好きでたまらないお二人、中川翔子さんと国立天文台副台長・渡部潤一先生が、1年に1回、思う存分に宇宙トークを繰り広げるTOKYO FM特番「三菱電機presents 星に願いを~satellite girls,LIFT OFF!!!!~」(TOKYO FMほかで9月18日に放送)。
8月末に行われた収録を取材させていただいたが、お二人の素のトークが楽しすぎて面白すぎて、「ぜひノーカットで放送していただきたい!」と強く願うほど。渡部先生のわかりやすい説明、中川翔子さんの絶妙のたとえと鋭い突っ込み。聴いている人たちを宇宙の魅力に引きずり込んでしまう、ある意味ブラックホール的なトークです。番組収録直後、興奮さめやらないお二人にお話を伺いました!
この番組は「宇宙デトックス」
- —収録お疲れさまでした!1年に一回の「星に願いを」収録も今年が4回目となりましたね。
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渡部潤一先生(以下、渡部):
うん、七夕みたいだね。
- —お二人にとって、この番組の位置づけは?
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中川翔子(以下、中川):
今年もまた渡部先生にこの場所でお会いできました。この番組は一年で一番、言いたいこと聞きたいことを思いっきり解き放っていい時間、一番の「フィーバータイム」だと思います。テレビの宇宙番組とかほかの場所でちょろっと先生にお会いする機会があっても、尺(時間)が決まっていたりするじゃないですか。でもこの番組は収録なので、オンエアでカットされるかもしれないんですけど、木星のこまかーい話とかすごい聞けるし、聞いていいよの時間だと思うので。
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渡部:
はっはっは。
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中川:
本当に心も体も「宇宙デトックス」されて、毎年まさに七夕のようにあり続けて欲しいなって。去年もそう願いながら収録から帰ったので、今年も願いが叶って嬉しいです。
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渡部:
本当に楽しい番組ですよね。正直、なんか疲れることもあるけど・・・。
- —疲れる?
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渡部:
いや、ドラマ仕立てだから感情を入れて役者みたいなことをしないといけない。でもめったにない経験なので、楽しんでますけどね。
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中川:
いやいやいや。。先生、最初はもっとお芝居っぽかったじゃないですか。
(2014年放送「星に願いを~Space Jukebox~」、2015年放送「星に願いを~Into The Space Woods~」、2016年放送「星に願いを~The Celestial Railroad~」どれもドラマ仕立てだった)
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渡部:
そうだね。今年はまだ、お芝居がないほうかな(笑)
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中川:
私はかみかみなのに、先生が本当にベテランの俳優、もしくは声優さんみたいに普通にお芝居に入ってくる感じが、衝撃だなと。こんなに色々なメディアに宇宙のことをわかりやすく、身近に説明して下さる優しい渡部先生の、さらにこんな(役者的な)面も見られるのかという、天文界がざわつく・・・。
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渡部:
はっはっは、ないない・・・。
中川:
- —中川さんの突っ込みがすごく鋭くて、核心をついているからじゃないですか?
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渡部:
しょこたんは普通じゃないからね(笑)
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中川:
そんなことないですよ。木星に限りますよ。
- —いやぁ、(今回話題に出た)土星探査機カッシーニの北極にできた不思議な六角形の画像とかお詳しくて。宇宙の情報をいつもチェックしていらっしゃるんですか?
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中川:
自然に生きていると毎日のトレンドに「スーパームーン」とか「探査機」が入ってきたり。自分から調べにいかなくても宇宙のニュースが日々手元に入ってくる時代に年々なっているのが、すごく幸せで。
でも、土星の北極の六角形の雲画像は、さすがにUFOの映像みたいで嘘だと思ったぐらいオカルトめいてましたね。でも時に「事実は小説より奇なり」。SF越えしてる時がありますよね。近年の最たるものがあの六角形画像だった気がする。渡部先生が本当だよって(今日)お話くださったので、やっと信じられます(笑)
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渡部:
はっはっは。意外な発見だったよね。土星の極は静かな場所だと思ってたけど、ジェット気流がきれいな六角形を描いていましたね。土星探査機カッシーニは長生きの探査機でたくさんの発見をしましたが、その中でも土星の衛星エンケラドゥスから水が噴き出す間欠泉を見つけたのは凄く大きな発見でしたよね。水が噴き出すということは地下には相当量の水がある。表面の氷の下には地球の深海と同じような状況が広がっていると考えられるんですよね。エンケラドゥスの深海底には生態系があって、生物の死骸とか生物起源の有機物が間欠泉に混じって、宇宙に噴き出しているかもしれないんですよ。
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中川:
先生さすがです、ぶっとんでます!
毎年、新たな場面があるんですけど、今年はいろんなカオスというか、けっこうネット用語に近いような(笑)。天文学者さんだからこそ、限りなく科学的に冷静にお話される渡部先生が「いや、(地球外に)生命体いるでしょ」みたいな感じで熱があがっちゃってる感じは、ほかの場所より先生の中身が出ている感じがして・・・。
「みちびき四姉妹」って?木星探査機ジュノーは私?
- —今回は「ミッチー」という人工知能からの依頼で、今年4機そろう予定の日本版GPS衛星「みちびき」4機を「四姉妹」にする仕掛けに中川さんが協力されましたね。
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中川:
宇宙の探査機って比較的、感情移入しやすくて。作り手の皆さんの熱意とか情熱とか、いろんな失敗をふまえて成功する姿とか・・小惑星探査機「はやぶさ」とかいろいろな探査機がそんな姿を見せてくれましたから。私たちは応援してるだけですけど、そのときも「頑張れ」って擬人化して見ちゃいがちなので。
- —「みちびき」四姉妹は姿形も似てますが・・大変じゃなかったですか?
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中川:
意外とシビアに制限時間が決まっていたから、ノリで言っちゃったんですけど、ほぼそれがそのままオンエアで出るのかな?誰かに怒られないかなと。
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渡部:
はっはっは、大丈夫だと思うよ。
- —胸の大きさの違いとか面白くて。目の前に個性的な四姉妹が見えてくるようでした。
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中川:
胸って何の話なんだ(笑) 成長過程なので・・・末っ子は。
- —なるほど。木星大好きな中川さんはNASAの木星探査機ジュノーにも熱が入ってましたね!
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中川:
ジュノーは私のような人なんだろうな。人じゃないですけど(笑)。木星に対して特別な好きっていう、ねじくれた何かがないと、あんなアングルであんな斬新な画像撮れないですって。もちろんわかってますよ。地上から指示している、まじめな科学者がいてこそだって。それにしても「いいねいいね、(木星)セクシーだね」みたいなノリをあの画像から感じるというか。
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渡部:
ジュノーは今までの探査機に比べてそんなに大きな探査機でもないし、我々は正直言ってあんまり期待してなかったんですよ(笑)。でも送ってきた画像を見てすごいなと驚きましたね。非常に近づいて撮影していて、北極や南極の観測ができる。南極の画像はもうびっくりでしたね。「カオス」のようで。土星の極にはあんなにきれいな六角形があるのに・・・(笑)
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中川:
しかもミッションの最後に木星に飛び込むって、ずっと子供の頃から願っている理想の散り方。一番かっこいい散り方だと思うのでジュノーには最後までハッピーに戦い抜いて欲しいなって本当に応援しています。ジュノーに声優がつくなら私にやらせて欲しいです!声優がつくという状況がよくわかりませんが(笑)
いつか、渡部先生と宇宙の本が作りたい!
- —また、番組では「女性と宇宙」がメインテーマで、宇宙飛行士や天文学者等、様々な分野の女性と宇宙とのかかわりが語られていました。渡部先生から「しょこたんも宇宙の仕事に」という投げかけがありましたね。宇宙を仕事にするなら?
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中川:
恐れ多き。このラジオに4年も参加できたことが、まず宇宙の仕事ですよね。
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渡部:
そうだね。
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中川:
そのこともすごく嬉しいし。実はこっそり夢があって。私は挿絵を描いているんですけど、いつか渡部先生と一緒に小学生の子も読みやすい宇宙のびっくり本とかを出したいなと。
- —それはいいですね!ぜひ読みたいです。
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中川:
土星が水に浮くとか、(私が)小学生の時に知ってびっくりしたような、びっくりワードを集めて子供たちの柔らかい頭に叩き込む本をいつか作りたいなとずーっと思っていて。そんなことを妄想しています!
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渡部:
それはいい企画ですね。いつかやりたいですね。
地球外生命の発見に確実に近づく!一日でも長生きしてその日を見たい
- —番組でもたくさんの宇宙の話題が紹介されました。最近、驚くような宇宙の話題が本当に多いですね。一つピックアップするならなんでしょう?
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渡部:
やっぱり地球から約40光年離れた「トラピスト1」に地球型惑星が7個発見されたことをはじめとして、系外惑星の探査がものすごく急激に進展していて、何が出てくるかわからない。「地球外生命の発見」に確実に近づいています。それはすごく面白い時代だなと思いますね。
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中川:
本当に宇宙って何が起こるかわからない。数年前、ロシアのチェリャビンスクに隕石が落ちましたよね。あの数日前にちょうど小天体を観測している先生とお話しする機会があって、「地球に隕石が落ちてくるなんて生きているうちはないですよね?」と聞いたら「ないでしょうね」と話したばかりでした。その数日後に隕石が落ちた。「なんでわからなかったんですか?」と聞いたら「太陽の方向から来たから光で見えなかった」と。「そんな!」って話じゃないですか。プロがずっと見ててもわからないことが宇宙って起こり得る。人類が普通に生活している中であんなことが起こったのって、結構な事件ですよね。
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渡部:
原因が隕石と特定している中では、初の大規模災害でしたね。
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中川:
宇宙のことを考えると、我々の寿命なんて一瞬だから、人類初のことが生きていて見られるってそうないし。私は(76年周期の)ハレー彗星を見逃すタイミングで生まれているんですよ。前回、地球近くに来た時は物心ついていない。2061年にハレー彗星が来るまで生きていられるように頑張ろうと。宇宙のことを考えると「なるべく長生きしなきゃ」って思えるので、それはすごく「心と体の健康」にいいと思います。だって、生命体発見する日まで死ねないじゃないですか!
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渡部:
僕は1986年にハレー彗星が地球に接近したときは、オーストラリアで見ましたよ。次にハレー彗星が見られるときは101歳ですが、ぜひ見たいですね。
- —お二人なら絶対に見られそうです。収録を聞いていて、すごく印象深かったのは、中川さんの「宇宙が栄養」という言葉でした。
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中川:
生命体が木星の衛星に、土星の衛星に、地球型惑星のどっかに「あったよ!」と来年とか、来週にでももしかしたらわかる可能性があるわけだし。もっとすごいことが待っているかもしれないと思うと、これ以上わくわくすることってないんじゃないかと。人間が持って生まれた特権ってわくわくすることだと思うので。宇宙のことを知るためには「一日でも長く生きてやろう」と思います!
番組では、中川さんや渡部先生が「系外惑星」や「生命はどこから来たか」という話題について、最新の情報をわかりやすく、しかも楽しく紹介して下さり、本当にわくわくします。また、中川さんが大好きな秋の星「フォーマルハウト」の詩的な説明も。南米・チリにあるアルマ望遠鏡が観測したフォーマルハウトの新しい観測成果を聞くと、秋の星空を眺めるのがますます楽しくなりますよ。どうぞ番組をお楽しみに!
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