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ニュースリリース

テキスト版

掲載のデータは発表当時のものです。価格・仕様について変更する場合もございます。

2012年2月3日
ビルNo.1201

速さと安全・快適性を両立

超高層ビル向け超高速エレベーター技術を開発

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 三菱電機株式会社は、都市部での建物の高層化に対応し分速1,000mを超える高速で、安全かつ快適に走行する超高速エレベーター技術を開発しました。本技術は、昨年受注しました中国上海市で建設中の中国最高層ビル「上海中心大厦」(地上632m)向け世界最高速エレベーターに搭載予定で、今後増加が見込まれる他の超高層ビル向けの超高速エレベーターにも採用してまいります。

技術開発の概要

 超高速エレベーターを構成する主な要素には、駆動・制御性、安全性、超高揚程対応、快適性があります。今回、これら4つの要素全てを向上させるため、以下の新技術の投入と新たな機器開発を行いました。

1. 駆動・制御性
巻上機に省エネ性に優れた永久磁石(PM)モーターを採用し、低騒音・低振動な運転を実現。
モーター1台に2つの三相巻線を持つ方式を採用し、2台の制御盤による並列駆動システムを実現。さらに各主回路には20年以上の実績がある回生コンバータを標準装備し、回生電力を有効活用し省エネ性も実現。
ダブルブレーキ構造、油圧開放方式のクランプ式ディスクブレーキを採用し、安定した制動能力を確保。
2. 安全性
万一の際にも安全にかごを制動停止させる非常止め装置は、上下2段の構成とすることで高速化に伴うかごの運動エネルギーの増大に対応した制動能力を確保。
非常止め装置のブレーキシューに、耐摩耗性や耐熱衝撃性に優れるファインセラミックを採用し、制動時に発生する摩擦熱の高温下でも、安定した制動性能を実現。
昇降路最下部でかごを受け止める緩衝器は、全高を短くするためプランジャを3段で構成し、緩衝能力拡大と寸法短縮化を実現。
かご速度を機械的に監視する調速機に新機構を開発・採用し、高負担荷重に耐えて安定した速度検出を行い、超高速・高揚程に対応。
3. 超高揚程対応
鋼心径を大きくすることで強度を確保しつつ、軽量被覆材の採用と高効率の電力搬送方式の開発により制御ケーブルを軽量化。
従来ロープに比べ質量比強度の高い、新構造ワイヤロープを当社独自に開発。超高揚程でのロープ自身の質量増加による安全率不足を解決するとともに、乗客乗込み時のロープ伸びを抑制。
4. 快適性
レール曲りや風圧による横揺れを効果的に制振する新型アクティブローラガイドを開発し、超高速走行においても良好な乗り心地を実現。
かご廻りで発生する風音そのものを低減させる流線型整風カバーと、かご室内への風音の伝播を抑える高遮音かご室構造を開発し、かご内騒音を低減。
気圧制御方式を開発し、高度差にともなう気圧差によって生じる耳閉感を緩和。

今後の展開

 都市部への人口集中にともなって、今後も建物の高層化が一層進むことが予想され、建物内の縦の交通手段としてのエレベーターの役割は益々重要になってきます。そのようなご要望にお応えし、安全・安心・快適で持続可能なビルの環境に貢献すべく、今後も、更なる研究・開発につとめてまいります。

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