三菱電機株式会社は、フルSiC※1(炭化ケイ素)パワー半導体モジュールを適用した高速エレベーターの制御装置を業界に先駆けて開発しました。パワー半導体モジュールの電力損失を約65%低減※2し、装置の体積および設置面積を約40%削減※2しました。
- ※1:Silicon Carbide/炭素とケイ素が1:1 の化合物
- ※2:Si(ケイ素)を用いたパワー半導体モジュールを適用した当社高速エレベーターとの比較において
開発の特長
- パワー半導体モジュールの電力損失を約65%低減
- ・SiC-MOSFET※3、SiC-SBD※4を使用した世界最大容量(1200V/1200A)※5のフルSiCパワー半導体モジュールを開発し、電力損失を約65%低減※2
- ※3:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化膜半導体電界効果トランジスター
- ※4:Schottky Barrier Diode:半導体と金属の接合部に生じるショットキー障壁を利用したダイオード
- ※5:2013年2月14日当社調べ
- エレベーター制御装置の体積および設置面積を約40%削減
- ・電力損失低減により、パワー半導体モジュールと放熱機構を小型化
- ・SiCの特長を活かした高周波スイッチング駆動により、電源リアクトルを小型化
- ・制御装置の体積および設置面積を約40%削減※2
開発の背景
高速エレベーターでは、人や荷物を乗せるかご室を上下に動かす巻上機の制御装置が機械室に設置されていますが、機械室のレイアウト自由度を向上するため、制御装置の小型化が求められています。しかし、今までは巻上機のモーターを駆動するパワー半導体モジュールの発熱が大きく、それに応じた放熱機構が必要なため、制御装置の小型化は困難でした。
一方、国内外の省エネに対する関心の高まりから、電力損失の大幅低減を可能とする、SiCを適用したパワー半導体への期待が高まり、実用化に向けた技術開発が進められてきました。
当社は今回、世界最大容量のフルSiCパワー半導体モジュールを開発し、高速エレベーターの制御装置に適用することで、制御装置の小型化と省エネを実現します。
今後の展開
実機での検証を進め、当社高速エレベーター「NEXCUBE(ネクスキューブ)」、「NexWay(ネクスウェイ)」への早期適用を目指します。