三菱電機株式会社は、100%子会社である多田電機株式会社(兵庫県尼崎市)と共同で、「火花がほとんどでないファイバーレーザー溶接技術」を開発しました。ファイバーレーザー溶接の不良や溶接速度低下の原因となる溶けた金属(溶融金属)が火花状態で飛び散る量(飛散量)を95%以上削減※1し、鉄鋼、自動車や電気機器など高出力のファイバーレーザー溶接を行う製造現場での溶接品質と生産性の向上に貢献します。
- ※1溶接材料にSPHC(熱間圧延材)を使用した溶接時の当社従来技術との比較
図1. ファイバーレーザー溶接時の火花の比較
開発の特長
- 強弱2つのレーザー光照射で溶融金属の飛散量を95%以上削減、溶接品質を向上
- ・強いレーザー光の周囲に弱いレーザー光を照射すると、溶接速度にかかわらず溶融金属の飛散を抑制できることを発見
- ・レーザー光を伝送する光ファイバーの出口に、強いレーザー光と弱いレーザー光を同時に発生させる独自開発の集光光学系を設置
- ・10kWの高出力ファイバーレーザーを用いた溶接時において、溶融金属の飛散量を95%以上削減し、溶接品質を向上
- 溶接の標準速度※2を2倍に高速化し、生産性の向上に貢献
- ・今回の開発技術では溶接速度を上げても溶融金属の飛散量がほとんど増加しないため、10kWの高出力ファイバーレーザーを用いた同一板厚の溶接を従来比2倍※1に高速化し、生産性の向上に貢献
- ※2対象とする材料・板厚に対して、溶接性能の安定性を考慮し、メーカーとして推奨する溶接速度
今後の展開
本技術を搭載したレーザー溶接機は、2019年度中に多田電機株式会社が製品化する予定です。