日本人の食卓100年の歩みを辿る日本人の食卓100年の歩みを辿る

#19 ― 日本人の栄養と健康篇(後篇)

「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されてから数年が経ちます。
「このままでは衰退する可能性がある食文化」とされた和食は、あれから歩みを前へと進めることができたのでしょうか。
2021年に創立100周年を迎えた三菱電機は、日本の暮らしとともに歩み続けてきました。
これからも家電メーカーとして日本の食文化に寄り添っていくために、
この100年間の日本人の食卓、そして家電の歩みを振り返り、次なる100年を考えていきます。

和食シリーズ第4弾「日本人の食卓―100年の歩みをたどる」。第19回は「栄養と健康」の後篇となるレシピ篇です。私たち忙しい現代人は、毎日の食事においてどのようにうまく栄養バランスをとればいいのでしょうか。前篇で、女子栄養大学出版部の『栄養と料理』浜岡さおり編集長から教わった「四群点数法」をベースに献立の組み立て方とレシピを紹介します。

栄養バランスをざっくり考える

前篇の『栄養と料理』浜岡さおり編集長へのインタビューでも伺ったように、外食やコンビニ食の機会も多い現代のライフスタイルは、栄養バランスがなかなか取りづらいものです。とはいえ、栄養の知識がないとバランスの調整も難しい……。

女子栄養大学が提唱する「四群点数法」は、専門的な知識がなくとも、栄養バランスが取れるよう工夫された食事のルールです。栄養素の特徴別に食品を4つのグループにわけ、各グループから目安量を摂取することで1日に必要なエネルギーと栄養素をおおよそ摂ることができるというもの。以下の図は、ほとんどの人で最低限必要なエネルギー量に応じた配分です。

四群点数法図版(2022年8月現在)四群点数法図版

四群点数法図版(2022年8月現在)
出典:『なにをどれだけ食べたらいいの? 第5版』(女子栄養大学出版部)

第1群は乳・乳製品と卵、第2群は魚介、肉、豆・豆製品、第3群は野菜(きのこ、海藻を含む)、いも、果物、第4群は穀類、油脂、砂糖。特に、日本人に不足しがちな栄養素がしっかりとれることを意識して分類された食品のグループです。

各個人の必要量に合わせて第1~4群の食品をどう組み合わせたらよいかという理想的なプランはありますが、手始めには「ざっくり」でも実践してみることで、栄養バランスは改善されるといいます。「4つの食品群からまんべんなく食べる」ことを目標に、朝食、昼食、夕食のトータルで帳尻を合わせるようなイメージです。たとえば、昼に野菜が摂取できない日は、朝や夜にとればいいわけです。

1985年に旧厚生省が打ち出した「1日30品目」というスローガンは、2000年の「新しい食生活指針」では姿を消し、食品の数よりもトータルの栄養バランスが重要視されるようになりました。理論や計算も重要ですが、栄養素は実際に摂取しなければ機能しません。今回はなるべく実践できるよう手軽さを優先し、不足しがちな栄養を補うことのできる、副菜や汁物に焦点を当ててご紹介します。

レシピ協力:月刊『栄養と料理』(女子栄養大学出版部)

日本における現代栄養学の礎を築き、“栄養学の母”と言われる香川綾氏が夫の昇三氏と共に1935年に創刊した、健康を育む食を提案する月刊誌。今回は「四群点数法」の考え方に基づいて、同誌にレシピ協力を依頼。過去の企画記事から、「4つの食品群」を意識しつつ忙しい人や調理が苦手な人でも作りやすいメニューを紹介する。

栄養と料理

副菜に第3群を加える。栄養バランスが整う。

今回ご紹介するのは『栄養と料理』の過去記事から、管理栄養士で料理家の牧野直子さんの「青菜とちりめんじゃこのふりかけ」、「かぼちゃの塩ごまあえ」、スープ作家の有賀薫さんの「冷凍ポテトのレンジみそ汁」の3品です。

主に第3群の緑黄色野菜を手軽に摂取でき、その上で第2群の魚介や肉類を補助的に摂取できるようなふりかけ、汁物、副菜となっています。「ちょっと緑黄色野菜が足りないな……」というとき、気軽に一品を増やせる、手軽なレシピです。

青菜とちりめんじゃこのふりかけ

青菜の食感とほのかな苦味が心地よく、カルシウムたっぷりのちりめんじゃこのほどよい塩気とごま油の香りが食欲をそそります。今回は小松菜で作りましたが、大根の葉やカブの葉など食物繊維たっぷりの青菜でも試してみてください。おにぎりに混ぜ込んでも美味しく、お弁当にもおすすめです。

【材料(つくりやすい分量)】

小松菜 200g
ちりめんじゃこ 40g
ごま油 大さじ1
いりごま(白) 大さじ1
調味料A  
みりん 大さじ1
しょうゆ 大さじ1/2
大さじ1/2

【作り方】

三菱IHクッキングヒーターを使用した作り方をご紹介しています

  1. 01
    小松菜はたっぷりの熱湯で1分30秒~2分ゆで、冷水にとる。強く水気を絞って、細かく刻む。
  2. 02
    フライパンにごま油を入れて【火力4】で熱する。ちりめんじゃこを入れて約2分、ゆっくりと混ぜながらパリッとなるまで炒める。
  3. 03
    1の刻んだ小松菜と調味料Aを加えて汁気がなくなるまで【火力4】で炒める。仕上げにいりごまを加え、混ぜ合わせたら火を止める。
【プラスワンポイント】

小松菜やほうれん草などの青菜は、冷蔵庫で3日ほど保存することができます。ゆでた青菜の水気を絞って3~4cm幅に切り、保存容器に入れて冷蔵保存します。緑黄色野菜が足りないとき、あえ物や汁物などにも使うことができます。

冷凍ポテトのレンジみそ汁

フライドポテト用の冷凍ポテトにブロッコリーとソーセージを加えて第2群と第3群を同時に強化できる汁物です。コクのあるみそとソーセージの旨みで深みのある味わいに。レンジ加熱で手軽に作れる、具だくさんの食べるみそ汁です。

【材料(1人分)】

冷凍フライドポテト(市販品:波形) 40g
ブロッコリー 小房2~3個
ウインナーソーセージ 1本
160mL
顆粒和風だし 小さじ1/4
みそ 大さじ1/2

【作り方】

三菱レンジグリルを使用した作り方をご紹介しています

  1. 01
    大きめの耐熱容器にブロッコリーと水1/4カップ(分量外)を入れてラップをふわりとかけ、【レンジ】【手動 600W】のレンジグリルで1分30秒加熱して水を捨てる。
  2. 02
    1.に冷凍フライドポテトと分量の水、ウインナーソーセージをちぎって入れ、顆粒和風だしを加える。器の両端を開けるようにふわりとラップをかけ、【レンジ】【手動 600W】のレンジグリルで3分加熱する。
  3. 03
    みそを加え、とき混ぜる。
【プラスワンポイント】

冷凍ポテトは凍ったまま使うことができ、下処理が必要ありません。さまざまな形、太さのものがありますが、波形のものは味がよくしみて、じゃがいもの食感も楽しむことができます

かぼちゃの塩ごまあえ

第3群のかぼちゃは調理がちょっぴりおっくうになりがちな素材ですが、一度のレンジ加熱で下ごしらえと仕上げを兼ねるかんたんな副菜です。かぼちゃのやさしい甘みに、すりごまとごま油の香りが相まって、ほくほくと味わい深い一品です。

【材料(2人分)】

かぼちゃ 150g
すりごま(白) 小さじ2
ごま油 小さじ1
ひとつまみ(1g強:小さじ1/5)

【作り方】

三菱レンジグリルを使用した作り方をご紹介しています

  1. 01
    かぼちゃは7mm厚さのいちょう切りにしてラップで包み、【レンジ】【手動 600W】のレンジグリルで2分加熱する。
  2. 02
    1のかぼちゃにすりごま、ごま油、塩を加えてあえる。
【プラスワンポイント】

レンジグリルで加熱したかぼちゃは、粒マスタードあえ、みそあえなどにも展開できます。副菜の引き出しがグッと増えることうけあいです。

主菜一品とごはんに今回の第3群を主体とした汁物と副菜を加えれば、栄養バランスの優れた食事の完成です。このように、「4つの食品群」を意識して毎日の献立にちょっとひと工夫を加えれば、いつもの食卓が一段と味わい深く、バランスの良いものになります。たった一品の工夫で摂取できる栄養は大きく変わるのです。

取材・文/松浦達也 撮影/柿崎真子
2022.11.25

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