超小型で高機能。
車体デザインがより自由に、
安心・安全をより確かに。
技術紹介
低炭素社会の実現に向けて自動車も省エネ化が求められています。この流れを受けてヘッドライトではランプ光源から省電力なLED光源への転換が進んでおり、この勢いはますます加速することが予想されています。
三菱電機では、独自に開発したダイレクトプロジェクション方式の光学系を搭載した「LEDヘッドライト用光学モジュール」を開発。投射レンズ高さ20mmという超小型化により車体デザインの自由度を広げるとともに、高度な配光制御機能で安心・安全な夜間走行をサポートします。
光学系や車載機器の分野などで培った技術を結集し新たな価値を創造します。
超小型で高効率な独自の「ダイレクトプロジェクション方式」。
ヘッドライトの明かりにはロービームとハイビームがあります。対向車や歩行者の幻惑を防ぐロービームの場合、カットオフラインと呼ばれる明暗分割線をつくるなど、ヘッドライト独自の配光が必要になります。
従来のプロジェクター方式では、LEDからの光をリフレクターで集光し、遮光板を使って配光を形成していました。LEDからの光をリフレクターで集光する場合、すべての光を集めきれず利用できない光が発生します。またアルミ蒸着で形成されるリフレクターは光を吸収するため、反射率は90%程度で一部の光が失われます。そして遮光板による光の遮光でカットオフラインを形成します。これらの原因でプロジェクター方式は光の損失が大きくなります。
今回開発したダイレクトプロジェクション方式では、光の損失が生じるリフレクターや遮光板を使わずに集光レンズと投射レンズだけで光学系を構成します。レンズの全反射作用と屈折作用を利用することで、LEDからの光の集光やカットオフラインの形成、配光の形成などを行います。ダイレクトプロジェクション方式は、従来の方式に比べて光利用効率が1.8倍に向上し、レンズ高さが40~60mmの投射レンズと同等の明るさをレンズ高さ20mmの投射レンズで確保できます。
夜間走行の安心・安全をサポートする3つの高度な配光制御機能。
今回のモジュールは小型化に加えスポットビーム、色温度調整機能、ADB(Adaptive Driving Beam) の3つの高度な配光制御機能を搭載しています。
スポットビームは、ロービーム走行時に歩行者を車載センサーで検知し、歩行者に狭角な光を向けることでドライバーに注意を促します。歩行者の存在を光で示すことで発見を早め、ドライバーに安心・安全な夜間走行を提供します。今回開発したスポットビームもリフレクターを使わない当社独自の方式で実現し、光学モジュールの小型化と高効率化に大きく寄与しています。
色温度調整機能は、色温度の低いLEDと色温度の高いLEDを搭載し、光の色を制御する機能です。走行条件やドライバーの年齢・好みなどに応じ、赤みを帯びた光や青みを帯びた光などに自由に調整でき、視認性を高めることができます。またADBはハイビーム走行時に対向車などを検知します。LEDを点灯制御することで、対向車などのいるエリアだけ光を消すことができます。これによって、対向車の幻惑を防止して、常にハイビームの状態で良好な視界を確保することができます。