開発NOTE
先輩技術者のDNAを引き継いで
新たな分野に挑戦。
当社にとってヘッドライトは初めての分野で、開発はゼロからのスタートでした。ヘッドライトに関する法規をはじめ、分からないことばかりで当初は戸惑いました。ただ、当社にとって新しいビジネスへの挑戦なので、やりがいのある開発だと思っていました。
ヘッドライトは初めてでも、当社は様々な光学系の開発を長年続けています。その技術力と先輩技術者たちのDNAを引き継いで、ぜひ開発を成功させたい、そう心に決め開発に取り組みました。
開発にあたっては、リフレクターを使わない光利用効率の良い光学系を設計する、投射レンズの高さを20mmまで薄くする、という2つの目標を定めました。どちらもハードルの高い目標でしたが市場に新規参入する以上、他社の製品の延長線にあるような技術ではインパクトがない、と思ったからです。
正しい方向に進んでいるのか悩みながら、常に手探りで進めていきました。
今回開発した光学系のアイデアは、物理理論の原点に立ち返り一つ一つの光学面の機能を検討することで固めていきました。しかしそこからも大変でした。なにぶんヘッドライトは新規参入なので、社内には経験者がおらず、今やっていることが正しいのか相談できる人が少なく、常に手探りで一歩ずつ開発を進めていきました。
ヘッドライトの場合、光に関する分野だけでなく、車載環境に耐えられる構造にするため、熱や振動といった様々な知見が必要になります。当社には各分野に経験豊富な技術者がおり、その方たちに知恵をお借りすることも多く、改めて当社の技術分野のフィールドの広さを実感しました。
投射レンズの精度が上がらず、試行錯誤の繰り返しでした。
ヘッドライトに求められる配光は各国の法規によって、また搭載する車種によっても異なります。ここは一番明るく、ここは急激に暗くするといったように、照射する場所によって明るさが異なる複雑な配光を形成しなければなりません。
そんな複雑な配光をつくりだすのが投射レンズです。レンズの形が従来にない形状であることに加え、配光を形成する入射部の形状はミクロン単位での精度が要求されます。試作品のレンズができてもカットオフラインがくずれているなど、悩む日々でした。
設計上はうまくできても、思うような配光にならない。どう調整すれば狙った通りの配光ができるレンズがつくれるのか、試行錯誤を繰り返しながら、製造のノウハウを掴んでいきました。