R&D NOTE
開発NOTE
SCROLL
技術概要
近年、行政や企業はもとより、各個人においてもインターネットへ日常的にアクセスする生活様式が定着しています。また、データを活用したサービスが次々と現れる中で、光ネットワークを行き交うデータ量は加速的に増加しています。光通信にはこの状況に対応するための大容量化が求められる一方、サステナブルな視点から低消費電力化も欠かせない課題となっています。基幹光ネットワークが、高度情報化社会において大規模データを長距離伝送する通信インフラとして活用される中、こうした「データの大容量化」「低消費電力化」という相反した2つは、乗り越えなければならない課題なのです。
三菱電機では長年光通信のための技術を開発してきた知見とノウハウを生かして、この課題解決につながる新技術「圧縮シェイピング」を開発しました。今回、この注目の技術開発に携わったコアメンバー3名が、その取り組みについて語ります。
「通信インフラ側でデータ圧縮を行う」という、かつてない挑戦
光通信の際にデータ圧縮を行うと、ファイル容量が小さくなるので通信インフラの負担が減ります。ただ、通信インフラ側で圧縮処理をしようとすると、その処理時間によって通信に遅延が発生してしまいます。こうしたことから、通信インフラ側でのデータ圧縮はこれまで行われてきませんでしたが、当社は、このアンタッチャブルな領域でのデータ圧縮に挑戦したのです。
データは「0」と「1」で表現されます。光ネットワークで通信データを集約していく際は、データのない部分に「0」を埋め、データのある部分には「0」と「1」が存在します。「0」の割合が多いデータをよりエネルギーの小さい光の波に割り当て、一方でエネルギーの大きな波はあまり発生しないように、波の振幅にあえて偏りを作ることにより、データ圧縮と同じような効果を生み出せるのが圧縮シェイピング技術です。
もともとはこのうち、波の振幅に偏りをつくるシェイピング技術のみで十分な低消費電力化が可能と考え、取り組んでいたものの、検証をしてみると一定程度の効果以上の数値が望めず、目標には届かなったのです。そこで、さらなる “もうひと押し” が必要となり、従来では遅延が起きるため行われていなかった通信インフラでのデータ圧縮要素を取り入れたことが、今回開発した圧縮シェイピング技術のポイントです。
PROFILE
情報技術総合研究所
光技術部
フォトニクス基盤グループ
グループマネージャー
吉田 剛
2007年4月入社。入社後にスウェーデンの工科大学での研究、大阪大学博士後期課程での在学経験を持つ。2022年10月から現職。子どもの頃からゲームが趣味で、ゲーム作りに関わるのが夢だった時期もある。
2007年4月入社。入社後にスウェーデンの工科大学での研究、大阪大学博士後期課程での在学経験を持つ。2022年10月から現職。子どもの頃からゲームが趣味で、ゲーム作りに関わるのが夢だった時期もある。
情報技術総合研究所
光技術部
フォトニクスシステムグループ
主席研究員
備海 正嗣
2011年4月入社。光伝送システムや光トランシーバの開発に従事。趣味はスポーツ観戦で、バレーボールやサッカーを実際にプレーして楽しむことも。体を動かすのが好きなだけに、体力には自信がある。
2011年4月入社。光伝送システムや光トランシーバの開発に従事。趣味はスポーツ観戦で、バレーボールやサッカーを実際にプレーして楽しむことも。体を動かすのが好きなだけに、体力には自信がある。
情報技術総合研究所
光技術部
フォトニクス基盤グループ
越川 翔太
2018年4月入社。光空間通信技術・量子計算技術の研究開発に携わる。就職活動中に「光通信なら大学で学んだ物理の知識を活かせる」と三菱電機社員から聞かされ、新しい世界に飛び込む思いで扉を叩いた。
2018年4月入社。光空間通信技術・量子計算技術の研究開発に携わる。就職活動中に「光通信なら大学で学んだ物理の知識を活かせる」と三菱電機社員から聞かされ、新しい世界に飛び込む思いで扉を叩いた。