R&D NOTE
開発NOTE
SCROLL
人の目やカメラでは見通せない部分を鮮明に、かつ安全な方法で可視化することで、例えば公共空間のセキュリティーチェックや生産現場での製品検査を効果的・効率的に高度化できます。
三菱電機は、従来の技術が抱えていた課題を解決する「テラヘルツ波を用いた断層イメージング技術」を開発し、実装に向けて取り組んでいます。部署横断のチームで研究開発に邁進する情報技術総合研究所の3人のメンバーが語ります。

スペシャリストの力を合わせて
チームで開発を進める日々です
開発に取り組み始めたのは2019年のことです。テラヘルツ波照射による撮像技術の立案と開発自体は私が所属する通信基盤技術部が行い、照射する構造の検討や回路設計はアンテナ技術部とマイクロ波技術部が担っています。
通信基盤技術部は信号処理の部分を得意としていますが、電波を実際に照射する回路の開発、しかも過去にないテラヘルツ波という高周波数帯の回路を作るにはスペシャリストの力が必須であるため、その技術に長けた両部署に依頼しました。もちろん開発は各部署が単独で行うのではなく、チームで動くのが基本。実際にテラヘルツ波を照射する装置の製品化に向けて、頻繁にコミュニケーションを取りながら開発を進める日々です。

情報技術総合研究所
アンテナ技術部
西村 拓真
アンテナ技術部の私は、装置に搭載する回路やモジュール全体の構造検討を担当しています。従来は、レーダーや車載機器に使われるミリ波の回路が私たちの開発してきた最も高い周波数帯でした。テラヘルツ波はミリ波の3倍以上の周波数で部品が小さく、その小さなものを作ること自体がそもそも難しいうえ、回路の高密度化と精度の両立に骨を折りました。開発は現在も継続中で、苦労も依然続いています。
ただ、誰もが各分野の専門家という環境の中、お互いがお互いの“先生”となり、チームの総合力が日々高まっていることを実感します。

情報技術総合研究所
マイクロ波技術部
上田 凌
私はマイクロ波技術部として、信号のデータを処理する回路の設計と基礎試作品の開発を進めています。周波数帯が高くなると細部のちょっとしたズレの影響がより大きく現れやすくなり、従来の回路では考慮する必要のなかった微細な部分まで意識しなければなりません。
テラヘルツ波の活用については新しい領域で過去のデータもないため、仮定の条件と設計パラメータを地道に一つ一つ検証し、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら完成度を高めています。
現在、そして未来の社会に貢献する技術開発に取り組んでいます
早馬今回はテラヘルツ波の撮像技術に加えて、ビームの照射に関する技術開発も重要なポイントです。従来のレーダーは位置を変えながらビームを何度も当てて対象を検出するため、時間がかかりました。
しかし、私たちが開発した技術は一度の照射で複数データを取得し、移動する物体もスキャンできるので、装置を製品化できた際は公共空間でのウォークスルー型セキュリティーゲートや、ベルトコンベア上を移動する製品の非破壊検査などに適用できます。もちろん装置のさらなる小型化により、社会のさまざまな場面で活用して安心・安全の実現に貢献できると考えています。
INFORMATION TECHNOLOGY
R&D CENTER
西村私たちの子どもたちが大人になる未来の社会で、何が求められるのか。そこを起点にバックキャストし、現在の最先端よりさらに先を見据えて研究開発に取り組むのが私たちの使命です。
世の中は常に動いており、ヒントとなる情報収集が欠かせません。私は展示会や学会に加えて、SF映画を見たり、さまざまな価値観を持つ人と話したり、また小学生の自分の子どもからもアイデアの種をもらいます。小学生は最新トレンドに敏感で、まさに最先端と感じることが多いですね。
プロジェクトを成功に導く環境がここにはある
早馬研究所の仕事はとにかくやりがいがあります。本来、研究所は現在や次世代にとどまらず、もっと先を見越した研究をしなければ意味がないので、常にそうしたことを考えています。同じグループの中でも誰かが必ず未来に向けての研究案は考えていて、そのようなミーティングをいつもやっていますね。この研究所ではライフワークバランスだけでなく、研究においてやりたいことをかなり自由にできる環境が整っていることが大きな魅力です。
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上田今までは自分だけで完結する仕事が多かったように思います。ただ今回は任された領域だけでも、さまざまな人を巻き込みながら動かしていかなければならなかったので、一気に視野が広がった感があります。そして、今回の経験を通して、ここには自分が知りたいと思う分野についてのプロフェッショナルが必ずいて、自らが動けば視野を広げるとともに広いネットワークが形成できることを実感できました。これらは、この研究所の大きなアドバンテージだと思います。
西村今回のプロジェクトでは一担当として目の前のことをがむしゃらにやればいい、ということではなく、全体がどうすればスムーズに動くのか、どのようなスケジューリングや人のアサイン、調整が必要かなど、リーダー視点で考えられるようになったことがとても大きくて、他の案件でもそれが生きています。そして、ここには育ててくれる人、手本になる人が多くいて、そのおかげでいま幸福感を強く感じています。この環境のもと、世界をアッと驚かせる技術を実現することが目標です。
────三菱電機を目指す皆さんへ、メッセージをお願いします。
自分がやりたいことをしっかりと持ち、好奇心と向上心で突き進んでほしい
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三菱電機は、今回の開発にも表れているように多彩な分野のスペシャリストやプロフェッショナルが数多くいること、そして最先端を極める技術の研究開発とそれを取り込んだ製品化の両方を一つの会社で実現できる総合力が、最大の魅力だと感じています。
その原動力となるのはやはり人ですから、学生の皆さんには、やりたいことをしっかり持ち続けてほしいと思います。

好奇心が旺盛で、自分がやりたいことをしっかり説明できる力があることも大切です。そのうえで、失敗してもめげずに突き進み、やり切る力を持った人と一緒に仕事をしたいですね。

世界は日進月歩で進化しているので、常に向上心を持ち、自分の足で未来を切り開いていかれる人、そして人と話すのが好きな人が向いていると思います。
仕事とは結局は人と人の縁ですから、人と人をつなぎ、ネットワークをもっと広げていきたいと思える情熱的な人をお待ちしています。
PROFILE
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情報技術総合研究所
通信基盤技術部
早馬 道也
2011年4月入社。無線電力伝送のテーマで社会人ドクターを取得。無線関連技術から信号処理技術をメインとするグループに移り、今回のプロジェクトでは全体取りまとめの役割を務める。プライベートはまだ幼い子どもの世話や家族でのお出かけで心を癒やす。
2011年4月入社。無線電力伝送のテーマで社会人ドクターを取得。無線関連技術から信号処理技術をメインとするグループに移り、今回のプロジェクトでは全体取りまとめの役割を務める。プライベートはまだ幼い子どもの世話や家族でのお出かけで心を癒やす。
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情報技術総合研究所
アンテナ技術部
西村 拓真
2016年4月入社。入社以来、現在所属するグループでレーダー・通信機器の受動回路コンポーネントや高周波モジュールなどの研究開発に携わり、今回のプロジェクトでも同領域をリード。3人の子の父で、休日は子どもと出かけたり、料理をしたりして過ごす。
2016年4月入社。入社以来、現在所属するグループでレーダー・通信機器の受動回路コンポーネントや高周波モジュールなどの研究開発に携わり、今回のプロジェクトでも同領域をリード。3人の子の父で、休日は子どもと出かけたり、料理をしたりして過ごす。
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情報技術総合研究所
マイクロ波技術部
上田 凌
2017年4月入社。入社時はアンテナ技術部給電回路グループに所属し、宇宙・防衛向けの衛星通信用フィルタ開発に従事。2023年に現在のグループへ異動し、今回のプロジェクトでは基礎試作品の開発取りまとめを担う。リフレッシュ方法はドライブや旅行。
2017年4月入社。入社時はアンテナ技術部給電回路グループに所属し、宇宙・防衛向けの衛星通信用フィルタ開発に従事。2023年に現在のグループへ異動し、今回のプロジェクトでは基礎試作品の開発取りまとめを担う。リフレッシュ方法はドライブや旅行。