セミナーレポート
TECHNO-FRONTIER2016（第34回モータ技術展）　セミナーレポート

モータ関連のソリューションの中でも、最近特に細かい制御に対するニーズが盛り上がっているのが「コンバーティング」分野です。紙やフィルムなど薄い材料に対し印刷やコーティングなどの加工を行うコンバーティングは、材料の張力を一定に保ちながら、ロール状に収納された材料を一定の速度で送り出し、ロールで巻き取っていく必要があります。作業が進むにつれて巻径が変わっていくため、ロールの巻出／巻取の速度やトルクを細かく制御しなくてはなりません。

これを一般のコントローラで行うためにプログラムするのは大変です。そこで当社では各専門分野に最適な機能を加えたインバータ「FREQROL-A800 Plus」シリーズに、Roll to Rollに特化した「FR-A800-R2R」を追加しました。Roll to Rollで求められる巻径演算、ダンサフィードバック速度制御、張力センサレストルク制御などの機能をインバータに搭載したものです。

FR-A800-R2Rでは、材料の巻取軸／巻出軸、その間でライン速度を制御する中間軸の回転速度やトルクを、インバータが自動演算して制御します。制御のキーとなるのが、時々刻々変化するロール径を演算する巻径演算機能です。巻径は、材料が流れるラインの速度から求める方式と、材料の厚さを積算して求める方式の2つから選択できます。また材料を交換した時には巻径も変化するため、張力を保つためのダンサロールの位置の移動量の変化から計算する初期巻径演算機能も備えています。

FR-A800-R2Rは幅広い用途に適用させるために、4つの制御方法を用意しています。ダンサロールや張力センサからのフィードバックによる張力の制御は、伸線機などのシステムに適用できます。印刷機などのシステムでは、張力センサからのフィードバックによるトルク制御のほか、張力センサを使わないトルク制御も可能です。また巻取軸のロールで巻きジワや変形などが発生しないように、ワークの張力を調整するテーパ機能も搭載しています。

用途に応じたシステムの調整はパラメータの変更で可能なため、立ち上げや調整が容易な点も特長です。コントローラからRS-485やCC-Link IEを介してインバータを制御・監視することや、内蔵シーケンス機能を活用してインバータの機能をカスタマイズすることも可能です。当社はインバータだけでなく、インバータのセットアップソフトウェアやサンプルのラダープログラムの提供により、思い通りのコンバーティングを実現したい技術者を支援していきます。