Round-trip Letters
カヒミ・カリィ × Hello,AI Lab
【 Vol.03 From k.k 】
AIの進歩で、
私達が必要なこと
それは、文通のようなメッセージ。以前からAIの可能性に注目していたアーティスト、カヒミ・カリィさんと、三菱電機の研究者集団「Hello,AI Lab」が、AIについて語り合いながら、発見や気づきをやり取りするコラムです。
大切な学びの時間
AIを学び、
どう生かしていくかを選んでいけるように
Hello,AI Labさまへ
こんにちは!お返事いただき、どうもありがとうございました!
大変貴重なお話をお伺いできてとても光栄です。AIに対する興味がますます深まりました。
2020年は大変な年でしたが、大切な学びの時間になりました。特に、これからの未来を良いものにしていくには私達はどうしていったら良いのだろう、という事をとても考えさせられました。どんどん進化していくAIが私達にとって今まで以上に重要な存在になっていく事を思うと、AIに関わっておられるプロの方々だけにお任せするのではなく、私達もAIを学び、どう生かしていくかを皆で選んでいけるようになれたらと思いました。今回もどうぞよろしくお願いいたします。
ご質問、回答させて
いただきますね。
子供達に願うこと
さっそく前回のLetterでいただいたご質問について、回答させていただきますね。
【質問1】
AIはArtificial Intelligenceの略称ですが、先日、ニュースを読んでいた時に、アシスタント・インテリジェンスという略だと言ってもいいのでは?という風に書かれたものがあって、興味深く思いました。どんどんAIが進歩して便利な時代になっていっても、私達は自分自身で何かを選択することを大切にして、また、どうしてそれを選択したのかという事に対しても意識的でありたいなと思います。これからの子供達に願うことは、いつの時代でもやはり変わらず、心の暖かさや穏やかさでしょうか。自分が持っている五感や、周りの人達との繋がりを大切に生きていってくれたら嬉しいです。未来について思う時、そんな私達が持っている力を補助してくれるような、AIが素晴らしい助手のような存在になってくれたらと思います。
幼い頃の好奇心
【質問2】
カヒミさんにとって、科学や技術・AIについての関心はどのようなことがきっかけで芽生えましたか(「Newton」を愛読していらっしゃるんですね)?
子供の頃、ファーブル昆虫記を読むのが好きで、よく空き地で虫や植物を観察していたりしていたんですが、どうして死んだり枯れたりするともう生き返らないんだろうと不思議に思ったり、理科の授業の実験で、白い花がインクを入れた水を吸って花びらの色を変えたりするのを見て、生き物の身体の仕組みに興味を持ったのが最初だと思います。父親が外科医だったので、質問をすると丁寧に教えてくれて、生物の身体はすごく精密なコンピューターみたいだなと思ったりしたのを覚えています。同時に両親がクリスチャンでもあったので、コンピューターと身体の違いなど、魂についてなどもボンヤリと考えていたりしました。AIの事を知った時、幼い頃に疑問に思った沢山の事を思い出して、好奇心が蘇ったような気持ちになりました。
AIをテーマにした
ステージ
【質問3】
科学や技術・AIへの関心を、制作活動や日常生活に活かすことはありますか?
数年前、私の友人でもあるNY在住のミュージシャン、本田ユカさん(元チボマット)がAIをテーマにしたオペラをプロデュースした時に、ボーカルで参加させてもらった事がありました。
ブルックリンにあるNational Sawdustという場所での公演だったのですが、一昨年、そのスペースの音響設備がリニューアルして、Meyer Soundという技術を取り入れたんです。会場内の天井、壁などに沢山マイクが設置されていて、今までになかったような音響空間が作れるようになりました。たとえば、空っぽのステージで歌うボーカリストの声を空間全体で拾って、それにエフェクトをかけると、客席のスピーカーからは、声がまるで山びこのように聴こえたりする事が出来るんです。ユカさんと、この音響空間を生かして、再びAIをテーマにしたステージを作ったら面白いんじゃないかと話したりしています。
いただいたお答え、
考えてみました。
AIへの期待と不安
前回、環境問題の分野でのAIについてお聞きして、とても期待と希望を持つ事が出来ました。土砂崩れの被害を人間に変わってAIが監視してくれたり、プラントなどで故障を予測して交換するなど予防保全にAIが使われることで、現場の方々の安全にも繋がったりするのは素晴らしいですね。
その一方、”将来AIがどんどん進化して、心の認識や感情を持つ事は可能でしょうか?”というご質問をさせていただいた時に、”その答えは難しいですが、ただ近い将来、人間側がAIが感情を持って接してくれている」と誤解してしまうようにはなるかもしれません”というお返事をいただいて、とても興味深く思いました。 私達人間がそう感じてしまうという事は、ある意味、例えAI自身がそうでなくても感情が存在しているようなものではないか、と思ったからです。
これからAIがどんどん進化して私達に様々な事をレコメンドしてくれるようになった時に、例えば、好みの音楽や素敵なお店などだけでなくて、就職先や結婚相手などの人生の重要なことも、AIのレコメンドに対してまるで家族や友人に相談するように、もしくはそれ以上に信頼する人が出てくるようになるのではないかと、少し心配にもなりました。
質問が3つあります。
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【 質問1つ目 】
先の話のように、人生の重要なことに対してまで、AIのレコメンドを信頼しすぎる人々が出てきたり、それが世の中のスタンダードになったりするような可能性について、AIを開発されておられる方々はどう思われますか?
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【 質問2つ目 】
一本のマイクで録った複数の声をAIが識別して、それぞれの声に振り分ける事ができると知ってとてもワクワクしました。楽器や録音機材など、音楽制作に使えるAIシステムがあったら教えていただきたいです!
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【 質問3つ目 】
AIが私達の生活を便利にしてくれる他に、私達自身の力を引き出してくれるようなものを期待しています。すでに私達の生活の中で取り入れられている技術はありますか?
※本文中における会社名、商標名は、各社の商標または登録商標です。
アメリカで子育てに奮闘する日々を送っていらっしゃるというカヒミさん。これからAI技術がどんどん進歩し、より私たちの生活の一部となる未来を思い描いたとき、子どもたちにはどんなことを大切に生きていってほしいか、といった願いはありますか?