Round-trip Letters
カヒミ・カリィ × Hello,AI Lab
【 Vol.13 From k.k 】
AIの可能性
それは、文通のようなメッセージ。以前からAIの可能性に注目していたアーティスト、カヒミ・カリィさんと、三菱電機の研究者集団「Hello,AI Lab」が、AIについて語り合いながら、発見や気づきをやり取りするコラムです。
医療現場でのAI
拡がる可能性への期待
Hello,AI Labさま
お返事ありがとうございます!
『「AIが研究したい!」と思ってこの業界に入ったというよりも、その時その時の自分の興味に忠実に従った結果、気づけばここにいた』というお話、興味深く思いました。実は私が音楽の仕事に携わることになったのもやはりそんな感じなんです。元々は写真の勉強をしていて、音楽も好きだったこともあり学生時代に洋楽雑誌のフォトグラファーをしていたんですが、その時に趣味の合うライターの方々やミュージシャン達と知り合ったことで、自然に音楽を作るようになっていったのでした。職業は違いますが、目標というよりも興味の向く方向に沿って進んでいった結果、というのは共通していて嬉しくなりました!
小学生の頃に車いすに興味を持たれたことがきっかけで、ロボット×障害者支援の研究ができる大学に進まれたのですね。私がAIについて思う時にまず頭に浮かぶのは、医療や環境問題に関してのものが多いので、幼い頃に興味を持った車いすがきっかけだなんて素敵だなと思いました。今ではAIがどんどん進化して、身体的なハンディーキャップがある方のために開発された、脳に埋め込んだチップが外部のAIと通信することで、考えるだけで電子機器を操作する技術が可能になり、手足が麻痺した60代の男性が同年代の人がスマホを使うのと遜色ないスピードで文字入力をすることができるようになったなんて夢のようです。本当にすごいですね。
たくさんの問題を抱えた現代社会では精神的なサポートを必要とされる方が増えていると思いますが、日本はまだカウンセリングを受ける人は少ないと思います。
でもアメリカに住んでいるとカウンセリングを受けたことで前向きに進めたという話を聞くことが多いので、カウンセリングにAIが導入される事で、日本でも身近になりそうだなと思いました。自閉スペクトラム症児の療育にもAIが搭載されたロボットが対応できる時代になるなんて素晴らしいですね。医療現場でのAIの活躍を思うと期待に胸が膨らみます!
海外生活の中で
それぞれの国とAI、科学技術
今回もご質問ありがとうございます。お答えしますね。
【質問1】
パリに最初に惹かれたのは、高校生の頃に図書館で借りたフランスの小説家サガンの本を読んだことでした。それからボーヴォワールなどのフランスの哲学、ゴダールやゲンズブールなどの映画や音楽などを端から探すようになり、20代になるといつかパリに住んでみたいと思うようになりました。私にとってのパリの魅力は、クラシックとモダンが同居する洗練された街並みや、個人主義で他人の思想の違いを尊重できる雰囲気があるところ、また日本とも共通するように感じるのですが、繊細さや深い歴史を感じる文化や衣食住などでしょうか。パリは未だ新鮮で褪せることがなく、またいつか戻れたらいいなと思っています。
ニューヨークに移住したのは、パリに比べるともっと現実的な理由で、結婚する以前から夫がニューヨークに住んでいたので、娘が3歳になるのを機に引っ越そうという話になったのでした。40代になってからの移住で英語を話すのにはいまだ苦戦しているんですが、そのお陰で毎日が勉強という感じで、向上心や好奇心を持たせてくれる街です。ニューヨークの一番好きなところは、なんといってもニューヨーカーのさっぱりとした前向きな姿勢かなと思います。ロックダウンの時に、ニューヨーカーのその合理的な気質がとても良い方向に向いていて頼もしく、想像以上に助け合いの精神があるのに驚きました。また世界中から人が集まっていて多様性のある街なので、人種やジェンダーなどに対する意識がとても高いのも特別だと思います。
私がニューヨークから学んでいるものは沢山ありますが、ここまでダイバーシティについて深く考えた事はなかったので貴重な経験になっています。娘もニューヨークならではという感じの伸び伸びとした公立小学校で過ごすことができて良かったと思っています。
【質問2】
パリでお住まいのときに感じていらっしゃった、科学技術やAIに対する考え方と、ニューヨークでお住まいの今の感じ方に、違いはありますか?また、共通点だと感じることはありますか?
実は、私がパリに住んでいたのは90年代後半から10年弱で、まだ携帯やインターネットもそれほど普及していなかった時代だったこともあり、普段の生活の中でAIを意識したり感じたりすることはほとんどなかったなと思います。アパルトマンの小型のエレベーターなどはドアを手動で開けるものがまだ随分残っていましたし、エアコンを使う家も少なく、地下鉄の切符も磁気がプリントされた紙製のもので、ずいぶんノンビリした雰囲気でした。科学技術の方は、例えば遺伝子検査で自分がかかりやすい病気などを確認できるという話を聞くなどして、医学の進化にとても期待をしていました。
ニューヨークに引っ越したのは2012年だったんですが、この10年間で科学技術やAIの進化を生活の中でも感じるようになり驚いています。やはりスマートフォンがかなり普及したのが理由なのではないかなと思います。逆にAIの技術を感じさせない日の方が少ないかもしれません。科学技術の方もまたしかりです。
最近のフランスのAI事情がどんな感じなのか、とても気になります。
【質問3】
カヒミさんは家事や料理をするのがお好きな方とも伺いましたが、日常の家事・育児の中で、ここはどんなにAIが進展しても、AIの力を借りないで自分でやりたい!と思うことはありますか?
料理をするのは大好きで、手間をかけるのも億劫ではない方かなぁと思うので、AIにお願いできたらいいなと思うのは、美味しさや栄養価をアップしてくれたら嬉しいですね。自分でやりたいと思うのは、料理に使う材料選びや味付け、料理ができ上がった時の器選びや盛り付けでしょうか。やはり感覚的なことは自分でやる方が生きる醍醐味があるなぁと思うんです。
お味噌汁や煮物を作るのに毎日のように必要なお出汁は、シンプルながら奥が深くて美味しさの鍵だなぁと思うので、ちょっと面倒でも丁寧に作るようにしていますが、もっと美味しく作れるAI調理器具があったら使ってみたいです。
育児も例えば、夜に絵本を読んであげたりご飯を食べさせてあげたりするのは、親子ともども、良いコミュニケーションになると思うので大切にしたいです。絵本を選ぶ時や、子供用の器を探す時はAIが手伝ってくれたら、良いものがたくさん見つけられて楽しそうですね!
家庭から宇宙まで!?
さまざまな興味について
今回もご質問させてくださいね!
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【 質問1つ目 】
アメリカで生活していると、AIが社会にどんどん取り入れられていると感じる反面、AIが搭載された家電などはやはり価格が高く、庶民の生活では取り入れにくいように見えます。AIと経済的なことについてどう思われますか?
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【 質問2つ目 】
公正な判断が必要な司法の場で大量のデータを処理できるAIが活用されたら、冤罪などがなくなるのでは?と思うのですが、司法の場でのAI活用の可能性はありそうでしょうか?
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【 質問3つ目 】
先日、娘と1969年のアポロ11号の月面着陸についてのドキュメンタリーを観たのですが、改めて観ると当時の宇宙服など、以前見た時よりも古く感じるものが多かったんです。それで、宇宙分野にAIがどんな風に携わっているのか気になりました。具体的なものでなにかありましたら、教えていただけますか?
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パリのどんなところに惹かれ、またニューヨークのどんなところに惹かれて、そこでの生活を決められたのですか?