送風機の風量と風圧
送風機は羽根車を空気中で回転させることで回転動力(電気エネルギー)を風のエネルギーに変える機器で、風のエネルギーは風量・風圧という形で発生します。
風量とは
送風機が単位時間当たりに移動させる空気量で換気扇で言えば単位時間当たりに排気または給気する空気量のことです。一般に単位はm3/h(時)あるいはCMHまたはm3/min(分)あるいはCMMで表わします。
風量Q(m3/h)は通過風速V(m/s)と通過面積A(m2)の乗数です。
風圧とは
風圧とは、送風機により空気に与えられた圧力をいい、扇風機の前に紙を放すと風に吹き飛ばされますが、この紙を飛ばす力が風圧です。圧力は水柱の高さで表わし、単位をPa(パスカル)で表わします。
圧力は大気圧を0にとり、この基準に比較して高い圧力(+の圧力)を「正圧何Pa」、低い圧力(-の圧力)を「負圧何Pa」といいます。
風圧の中には「全圧」、「静圧」、「動圧」があります。
全圧(PΤ)とは
風の持っている全ての圧力で、静圧と動圧を加えた圧力。
静圧(PS)とは
自動車のタイヤやゴム風船のように空気が静止した状態で周囲を押す力をいいます。
例えば、水鉄砲がピストンに押されて水圧が高くなり、小さな穴があれば水が勢いよく飛び出します。この状態における水のもつ圧力を空気に例えれば静圧になります。圧力が高いほど力は強く、水(空気)を遠くまで飛ばすことができます。
換気扇で一般に風圧といわれているのがこの静圧のことです。
動圧(Pv)とは
空気の流速によって流れの方向に存在する圧力(速度圧と呼ぶこともある)のことをいいます。
台風の時、風が建物を押す力などをいいます。動圧は流速(風速)による運動エネルギーの上昇分で次の式で表わされます。
風量と静圧について
換気扇の静圧についてわかりやすくするために、U字ガラス管を使った例で説明します。
- 1.図Aに示すU字ガラス管に水を入れますと、(イ)と(ロ)の水柱の高さは同じになります。この現象は大気圧が(イ)と(ロ)の水面に等しく作用しているためです。一方図Bに示すように、(ロ)のほうにゴム管を取付けて息を吹き込むと、(イ)と(ロ)の水面の高さにammの差ができます。また息を吸い込めば図Bとは逆に(ロ)の水面が高くなります。
これは(イ)と(ロ)の水面に作用する圧力に差が生じたために起こる現象です。
- 2.密閉した部屋に換気扇を取り付けてU字ガラス管を取り付けた状態を図Cに示します。この状態で換気扇を運転しますと、部屋の空気は最初すこし外へ出ますが、すぐに換気しなくなります。そのため、室内の空気圧が外の大気圧より低くなり、図Bのゴム管を吸い込んだときと同じ状態になります。そしてU字ガラス管の水面の高さにammの差ができます。これがこの換気扇の最大静圧で、風量は0(m3/h)です。
- 3.次に図D、図Eの部屋のモデルで考えてみます。図Dは図Cの壁に小さな給気口(風の流れの抵抗になっている。長いダクトも同じ事)を設けた場合で、この場合には、給気口から少し外気が流れ込みますが、換気扇の排気能力を完全に満たすには不足しますので、排気量は十分ではなく、室内は大気圧よりやや低い状態となりU字ガラス管の水面の高さはbmmの差(静圧)になり、その時の風量はb´(m3/h)となります。
- 4.図Eは図Dよりも十分な大きさの給気口を壁に設けた場合で、この場合には換気能力を十分に満たすだけの外気を取入れることができますので、十分な換気ができ、室内の圧力はほぼ大気圧に等しくなり、U字ガラス管の水面の高さに差(静圧)がなくなり、その時の風量はc(m3/h)です。
Q-H特性
送風機の特性をグラフに表わす場合、横軸に風量(Q:Quantity)、縦軸に静圧(H:Head)をとり、風量に対する静圧の曲線グラフ(Q-Hカーブ)を書きます。これをQ-H特性といいます。機種によって特性曲線図、静圧・風量特性といういい方もします。