お客様インタビュー
鬼塚産業株式会社 様
大分の発展を支えて40年
温泉地ならではの困難を乗り越え
ZEB物件で持続可能な社会を目指す
鬼塚産業株式会社様(大分県大分市)
代表取締役社長鶴原 達美 様
見積設計部長古城 宏明 様
interview
空調や給排水などの設備工事を専門とする鬼塚産業株式会社。
電気工事を手掛ける鬼塚電気工事株式会社と連携し共同受注体制で環境設備を創造しています。
電気と建築設備の2つの柱で大分に寄り添い、暮らしを支え続けた40年間について、代表取締役社長・鶴原 達美 氏と見積設計部長・古城 宏明 氏にお話を伺いました。
大分に寄り添い、
大分を支えてきた40年。
代表取締役社長 鶴原 達美 様
昭和41年、創立当初の鬼塚産業株式会社は4~5人の小さな会社でした。
グループ会社であり、電気設備の新設・修理・メンテナンスなどを手掛ける鬼塚電気工事株式会社との共同受注体制を中心に、電気と建築設備の2つの柱で大分に寄り添い、暮らしを支え続けています。
この40年の間の大きな出来事といえば、10年ほど前から続いているJR大分駅周辺の大型改修です。北側と南側に分断されていた大分駅へ高架がかかり、利便性が上がったことによって新築ビルなどがどんどん増えてきました。今現在も商業施設の入った高層ビルの竣工予定があり、ますます開発が進んでいます。
そういったビルの新設や商業施設の開設にかかせない工事設備として、ビル用マルチエアコンがあります。ビル用マルチエアコンは、設計目線で見るとあまり手がかからない印象がありますが、昔は配管長が足りず、システム設計の組みなおし・・・といった手間や苦労がありました。
今の機種では、配管長も十分にとれるようになり、そのような懸念はなくなりましたね。製品の進歩を感じます。
また、現場で急なダクトルートの変更やサイズ変更に頭を抱えた事もありました。ファシレアDD(三菱電機設備用パッケージエアコン)は、プーリー変更が不要でリモコンからの静圧設定の変更が可能だったため、調整がスムーズで大変助かった経験があります。使い勝手も良好だったので、いくつかの案件に採用しました。
そうやって三菱電機さんの製品と長く付き合っていると、施工・メンテナンス面において良いところがあるなと多々感じる一方で、切に願う改善要望もあります。製品と共に歩んだ歴史を思い出しながら、三菱電機さんにはこれからも他社に先駆けた新機能や新商品を開発していってほしいと願っています。
時代に合わせて、
一つずつ対応できるように
思い返してみるとこの40年間は常に変動の毎日でした。
素材高騰をはじめとする単価変動にどう追従していくか、また、消防設備や水道施設・電気設備における法規制も日々変わっているため、常に情報をキャッチし、社内外の工事部門などに周知していく必要があります。
空調設備においては、冷媒の変更などもありますね。
直近ではビル用マルチエアコンが微燃性の冷媒に変わるということで、工事前の設計積算業務のみならず、工事中・施工後のメンテナンスや管理を含め、あらゆる工程において変動が起こることを想定しています。
また、人手不足や労働時間規制などの問題についても、先行きが見えず心配になることもありますが、終わりがある課題ではないので、様々なリクルート施策を取っているところです。
このように課題は色々ありますが、大分にとって、お客さまにとって、より良いものを届けたいという気持ちを元に、着実に一つずつ対応していく必要があると感じています。
見積設計部長 古城 宏明 様
人気温泉観光地ならではの
苦労と対応
大分県は新幹線が通っておらず、開発が遅れている側面もありますが、一方で観光地としてとても有名です。温泉地として名高い「別府」や「湯布院」は、近年一層栄えており断続的にホテル建設が行われています。
特に湯布院は、奥座敷をコンセプトとした自然豊かな地域です。景観を守るまちづくりを行っているため、建設における制約が他地域と比べて厳しく、建築物の高さの制約や観光事業を考慮した短工期での工事などが必要となります。
トラックの搬入も、道幅の広い道路があまり無いため、観光客の少ない時間帯である深夜・早朝などの時間を選んで工事を行うこともあります。
また、山の方で発生する噴霧による、硫黄に悩まされることは、温泉地大分ならではの悩みです。
たとえば、空冷式のエアコンは冷媒を使用していますが、昔は銅管の腐食対策が進んでおらず、冷媒ガスが漏れないようにすることが大変でした。今では対硫黄塗装など腐食対策が豊富になってきていますが、温泉地帯と言っても一概に同じではなく、場所によって含有成分なども変わってきます。それぞれの状況により求められる対応が異なるため、室外・室内ユニットに関わらず、設計からメンテナンスまでの各工程において対応に苦慮します。
このような大分という土地特有の対応についても、継続的に取り組むべき課題と捉えています。
鬼塚産業のこれから
~持続可能な社会の実現を目指して~
人手不足や、労働時間の規制などの影響が、以前から続いていると感じています。その中で、短工期で建築の工程に左右されない更新工事の直接受注に力を入れていきたいと考えています。
また、持続可能な地域社会の実現を図るべく、より一層ZEB事業に取り組んでいきたいと考えています。
令和3年に鬼塚電気工事、鬼塚産業ともにZEBプランナーとして登録され、環境省のレジリエンス強化型ZEB化事業として2年前に本社ビルを建設しました。
三菱電機さんの協力も受け、試行錯誤した結果、ビルユニティーで建物の管理を行い、グランマルチをはじめスリムエアコンや全熱交換器など多数の高効率省エネ機器を採用しました。
また、太陽光パネル採用による創エネ・外皮負荷低減機器なども新たに採用し、さらに様々な場所に取り付けられたIoTセンサーから得られるデータを収集するなど、創エネ・省エネの実現に加えて快適性も追求しています。
グリーン水素利用の純水素発電や風力発電も備えており、3階の倉庫には食料も備蓄してあります。もしもの災害時には外付けの階段が屋上へあがることのできる経路となっているため、住民の皆様が避難できるBCP対策ビルとしても対応可能な作りです。
最近、大分でも耳にするようになったZEB物件ですが、実現となるとお施主様にとってはコストが課題に上がると思います。補助金などを有効活用できるよう当社では竣工のデータ取りを行うなど、自社ビル設計の経験で得られたノウハウを元に、積極的に支援したい考えです。
本社フロアでは大分県産の日田杉を大いに活用したインテリアを採用し、目にやさしく、リラックスできる空間を実現しています。
これからも、大分に、人に、地球にやさしい建物づくりを目指していきます。
会社紹介
鬼塚産業株式会社 様
昭和41年7月17日、大分県大分市にて創業。
大型建築物からオフィス、一般家庭における空調・給排水設備などの設備設置・メンテナンスを手掛ける。鬼塚電気工事株式会社との共同受注体制も整っており、設備/電気工事の設計から施工まで一貫した業務で、安心の空間づくりを実践。
最近はZEB事業に力をいれており、2年前にはZEB取得した新社屋を建築。省エネ機器を採用し風力発電や水力発電などの創エネシステムも存分に使用している。