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南の島で星を見よう!~石垣島の星文化を探して~ 日本最南端の天文台がある石垣島。なぜここに天文台が?南の島の星空の魅力は?この夏DSPACE取材班は、石垣島天文台をはじめ、石垣島と星との関わりをご紹介します!

南国の星好きさんたち集まれ
~八重山星の会とは?

「南の島の星まつり」の生みの親!

石垣島天文台の天体観望会を初め各地の星空ガイドで引っ張りだこ、2011年で10回目を数える「南の島の星まつり」を立ち上げるなど、「石垣島の星のことならこの人」と国立天文台の渡部潤一先生に紹介して頂いたのが 「NPO法人八重山星の会」代表理事の通事安夫(とうじやすお)さんだ。所を訪ねてお話しを伺った。

NPO法人八重山星の会 代表理事の通事安夫(とうじやすお)さん。八重山の星文化を知りつくし、次世代に伝える貴重な存在だ。

八重山星の会は、沖縄県八重山地域を中心にした星好きなアマチュア天文家の組織。2000年11月に通事さんら3名が発起人になって設立された。さっそく石垣島少年自然の家の望遠鏡を使って観望会を開いたり、会報誌を送るなどの活動を始めている。

間もなく2002年に国立天文台VERA石垣島局ができる。同じ頃、国立天文台が7月7日の七夕は梅雨にあたり、星が見えにくいことから、旧暦の七夕に明かりを消して星空を見ようと提唱。その呼びかけに八重山星の会が応じて、第一回の「南の島の星まつり」を開催することに。だが最初は周辺の理解もなかなか得られず、「雑草で生い茂る会場で通事さんは一人で黙々と草刈りをしていたよ」と星の会の仲間、黒島さんは思い出す。

そして星まつり当日。人口約4万5千人の石垣市は市街地の夜空が明るい。ところがライトダウンした瞬間、頭上に天の川が甦った。反響は想像以上に大きかった。第二回からは石垣島市長が実行委員長となり、3回目には1万人の観客が集まって全国的に知られるようになり、「第9回イベント大賞」優秀賞を受賞している。

八重山星の会、広がる活動範囲

この星まつりで八重山の星空の素晴らしさを再認識した市民とともに、八重山星の会は「石垣島天文台」の建設を要望する活動にも力を入れ、2006年、石垣島天文台は市民とともに運営するという全国的にも珍しい形で実現されることになった。会員は現在約70名。石垣島天文台や国立天文台VERA石垣局から業務委託を受けて運営に参加するほか、各地の天体観望会での星空ガイド、さらに八重山地方の星文化を掘り起こして伝える活動も行っている。

八重山星の会の事務所には、過去の「南の島の星まつり」のポスターが。星まつりは全島ライトダウンや天体観望会、天文台施設公開など盛りだくさんの内容で今や毎年大人気。

中心人物の通事さんは、子供のころから星を見るのが好きな天文少年だった。「図書館で星座の本を借りてきては、丸写しして勉強しました」。社会人になってからは、一眼レフカメラを買い天体写真を撮影、自ら現像もした。星文化にも興味があり、石垣島だけでなく近隣の波照間島なども含めた八重山の星にまつわる民話や歌も収集していたという。とにかく行動力とパワーがあり、周囲の信頼も厚く「頼れる存在」なのだ。

通事さんは石垣島の歴史や文化にも詳しい。「石垣島は『唄の島』と言われ、嬉しいことも悲しいことも民謡で伝える文化がある。田植えの時もお金持ちは、三味線と太鼓を呼んで労働唄ゆんたに合わせて作業していたほどです。特にむりかぶし(すばる)は島の中心を通るために親しまれ、労働唄『むりかぶしゆんた』ではすばるを目印に種をまきましょうと歌っていますね」

琉球王朝の時代、石垣島は食糧供給地で重い年貢を課された。米の収穫量を上げるために、むりかぶし(すばる)やパイガ星(ケンタウルス座α、β星)を目印にし、シカマ星(金星)が輝きだすまで、農作業に精を出したそうだ。通事さんらは周辺の波照間島や黒島にも出かけ、星にまつわる言い伝えなど星文化を掘り起こしている。

子供のころに比べて、石垣島の夜空は明るくなった。「でも街明かりのないところに行けば昔の星空が残っている」と通事さん。「来年、再来年は土星が夏の夜空で見られます。3年後には環が大きくなるので、『南の島の星まつり』で天文台からの実況中継の映像も流そうと思っています」。もはや3年後の計画を立てている。これは行かなくちゃ!

photo Snap

  • 取材に同席くださった八重山星の会の黒島善和さん。

  • Dスペェスケと一緒に写真を撮っていただきました!

  • 会員にはワンコも!?取材中もおとなしく話を聞いていた(?)賢い子でした。

  • 「南の島の星まつり」2008年のノベルティグッズのTシャツ。貴重な一枚をなんといただきました!ありがとうございます。

  • 南の島に来たからには、やっぱりハイビスカスは欠かせませんね~

  • 玉取崎展望台から海をみつめるDスペェスケ。石垣島は、ちょっと車を走らせれば街灯りの少ない自然の景色が広がります。まさにいたるところが星見ポイントになるのです!

  • 石垣島の最北端、平久保崎。水平線の彼方まで見渡せる絶景ポイント。クルマなら1時間ちょっとで南の端から北の端まで行けます。

  • 平久保崎にはこんな素敵な灯台もあります。