「こうのとり」成功と涙。
宇宙飛行士を転がす!? フライトディレクタ
大変お待たせしました!大西卓哉宇宙飛行士と、「こうのとり」のフライトディレクタを務める内山崇さん。大学時代の同級生であり、宇宙飛行士選抜試験で戦ったライバルでもある二人が、同級生ならではのリアルな宇宙話を語り合うスペシャル対談の第2回。国際宇宙ステーション(ISS)の生命線を担う輸送船「こうのとり」と、宇宙ミッションを地上から指揮する「フライトディレクタ」です。前回は爆笑編でしたが、今回は笑いあり涙あり。さらにディープですよ。
「こうのとり」6号機打ち上げ延期。その時に二人が思ったことは?
- —大西さんが宇宙にいる間に到着するはずだった「こうのとり」6号機が打ち上げ延期になった時、率直にどう思いましたか?
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大西卓哉(以下、大西):
もしかすると宇宙滞在中に「こうのとり」が来なくなる可能性がある、という話が地上から伝わってきて、その時は「ふ~ん」という感じでした。スケジュールの変更は、珍しくないので。検討の結果がはっきり出るまでは、自分は目の前の仕事をとにかくやるだけだと。延期が濃厚になるにつれて、内山も含めて色々な人から「申し訳ない」というメールがISSに届きました。
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内山崇(以下、内山):
申し訳ないというのもあるし、残念だというのもあるし。日本人宇宙飛行士が宇宙で日本の宇宙船「こうのとり」をロボットアームでキャプチャして、船外活動で国産電池を使った新型バッテリーの交換作業をする。つまり、地上からのキャッチボールを宇宙で受け取ってもらいISSに運ぶという「日本のリレー」がもう少しでできそうだったのに・・・。
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大西:
理想的なシナリオだったよね。実際、僕のミッションの広報戦略もそれが一番の柱で「日本にしかできないことがある」としたわけだし。
- —大西さんの記者会見で「『日本にしかできないこと』ってなんですか」と聞いたら「『こうのとり』のことです」と言われましたね。船外活動も大西さんがやる予定だったのですか?
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大西:
そうでした。
- —ISSの外に出たい気持ちは?
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大西:
ありますね。宇宙飛行士のやる作業の中で人気ナンバーワンは船外活動、次に補給船のキャプチャです。宇宙飛行士としては、やっぱりやりたい。
- —じゃあ、次の飛行に残した課題ですね。
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内山:
「こうのとり」はあと3機ありますからね。
「こうのとり」打ち上げ。トラブル時に理事長が見学!
「こうのとり」6号機宇宙へ。「トラブルが何もないほうが気持ち悪い」はJAXA編へ
- —「こうのとり」6号機は2016年12月9日に打ちあがりました。いよいよバッテリー交換作業スタートという時、トラブルが発生。JAXAとNASAの阿吽の呼吸で迅速に解決なさったそうですが、理事長がそのタイミングで見学に来られていたと?
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内山:
ロボットアームで運用するところを見たい、とJAXA理事長がHTV(こうのとり)運用管制室に見学に来られた。その時に運悪くロボットアームのトラブルが起こって。「そこで起きるか?!」と言う(笑)
- —何とかの法則みたいですね
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大西:
問題は最悪のタイミングで起こる・・(爆笑)
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内山:
「国際ステーション側の問題で遅れてます」とか説明して。
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大西:
理事長は納得された?
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内山:
10分ぐらい待ってくださったけど、次のスケジュールもあるので「しょうがない」と帰られました。
- —重大トラブルにならなくても、毎回小さなトラブルは起こるわけですね。
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大西:
そういう点ではソユーズ宇宙船はすごいと思う。打ち上げは少し遅れたけど問題はすべてつぶして、いざ宇宙飛行が始まると本当にスムーズで何もトラブルがなかった。
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内山:
地上の管制センターではソユーズ宇宙船の機体の状態を見ていて、宇宙飛行士にいちいち知らせないような、小さいトラブルは多分あるんだろうと思う。
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大西:
確かにそうかもしれない。
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内山:
僕らはまだ6機だけど、ソユーズ宇宙船は150機ぐらいあげているベテランだから、「これは過去にも起きた現象だから問題ない」と判断しているんじゃないかな。
- —経験値があるんでしょうね
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大西:
へたに小さいトラブルを僕たちに伝えると逆に不安にさせるしね、あえて言わないという選択肢があるんだろうね。
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内山:
それに比べると「こうのとり」はまだひよっこ。慎重に慎重を重ねている。6機ぐらいだと、今までたまたま気づかなかったことが起きる可能性がある。そこは眼を皿のようにしてデータを見ています。
NASAからの強い要望とは?
「バッテリー移設大成功、高まる『こうのとり』の評価」はJAXA編へ
- —宇宙でバッテリーを交換する作業で、荷台の役割を担う曝露パレットに作られた、何もない場所=「仮置き場」が効率的に働いたそうですね。でも実は別の目的で作られていたと?
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内山:
仮置き場は、ISSから取り外した古いバッテリーを置く「最初の一手」に使いたい、とNASAから強いリクエストがありました。宇宙飛行士の船外活動時間が当時は超過していて、このままではまずいからと。一方、我々はバッテリー以外の荷物も運べるようにとわざわざ設計したものだったんです。「こうのとり」は6号機から9号機までバッテリーを運ぶことになっていましたが、曝露パレットがバッテリーでいっぱいになって、ほかの荷物をまったく運べないのはよろしくない。何とかほかの荷物を積めるようにできないかと検討して場所を作り、設計をNASAに提出したんです。そうしたら、NASAが「そこを使わせてほしい」と。そこで我々はその分にかかる費用を請求したうえで、協力しましょうと。
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大西:
ふたを開けてみたら仮置き場所が十二分に働いて、本当に船外活動がスムーズでミニマムの作業になったよね。その判断は正解だった。
KITE実験で味わった悔しさ
- —「こうのとり」6号機はバッテリーや水など宇宙生活に欠かせない荷物を運び、重要任務を成功させました。さらにISSからの帰り道に宇宙実験も行っています。その一つ、宇宙ゴミ除去のための要素技術実験KITEは、注目されたテザー伸展ができず残念でした。でももう一つの目的である電子放出実験は成功しましたね?
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内山:
テザーが伸展できなかった分というのもありますが、電子源からの電子放出実験は120%データをとることができました。ただ、自分としては1年近く準備をしてきたので、テザー伸展ができなかったのは残念でした。
- —準備とは?
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内山:
予測しきれないテザーの動きに対して、機体がどう反応し、どう姿勢をコントロールしたらいいか。事前のシミュレーションを重ねて、テザーがこういう動きをしたら危険な兆候なので極端なケースではテザーを切断するとか、かなり深い異常までを考えて運用フローにして訓練してきました。伸展さえできれば、コントロールできる自信がありました。
- —相当深い異常って、たとえばどんなことですか?
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内山:
テザーの動きによっては、機体に巻き付く可能性も想定していました。
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大西:
実際、「こうのとり」とテザーがどんな挙動をするか確証がなかった?
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内山:
なかった。だから試験をしてみますと。だいたいこういう動きをするだろうとか、こういう力が加わったらこうなるはずだと理解した上で、わからない部分がこうなったらこう動くかもしれないと備えて、準備や訓練をしていた。
- —テザーを進展させるためのエンドマスが放出できなかったとき、運用の現場は?
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内山:
大変でした。何とか放出できるきっかけを作ろうと、機体をゆらしたり何かしら刺激を与えられないか、できる限りの手段は全部とりました。もちろん「こうのとり」を危険にさらさない範囲内ですけどね。
バックルームと呼ばれる技術チーム、例えば三菱電機の鎌倉製作所では考えうる手順を解析し問題ないと確認して手順化する、その手順を我々、運用チームがしっかり運用する。昼夜なく約6日間、二つのチームがしっかり機能して何とか放出しようと格闘し続けた。 - —「こうのとり」の7号機から9号機の間で、もう一度挑戦できるといいですね。
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内山:
そうですね。ここまで準備したので是非やりたいです。
「こうのとり」は多分みんなが思っているより、すごい
- —「こうのとり」のすごさがまだまだ伝わってないな、というジレンマとかないですか?
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内山:
たぶん、「こうのとり」は皆さんが思っているよりもすごいんですよ。
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大西:
ほー。
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内山:
ぼくもまだ100%理解できていないぐらい。安全を破るためにはものすごいバリアがあって、実際に意図的にISSに「こうのとり」をぶつけようとしてもできないんじゃないか、ぐらい安全なんです。
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大西:
ぶつけるコマンドをわざと送っても?
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内山:
そう。安全制御をわざと切る作業を抜けなく全部切らないと、ぶつけようと思ってもぶつからない。それくらい安全。初号機はその安全制御が効きすぎて、ISSに近づけない場面もあって。本当は正常なのに危ないかもしれないと検知してしまった。ここは正常という範囲を広げて、かつ異常は必ず検知するように設計する塩梅が難しい。「こうのとり」はISSにぶつからないよう絶対に安全に、しかも接近できるように設計してあります。
- —「世界一安全な宇宙船」と言っていい?
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内山:
だと思いますよ。
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大西:
言っていいんじゃないですか。実績から言っても。機数が何十と増えれば胸を張って言えるよね。
優秀なフライトディレクタは宇宙飛行士を手のひらで転がす
- —大西さんは宇宙で仕事中、運用管制チームのサポートで助かったことはありましたか?
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大西:
いっぱいあります。自分が手順を飛ばしたときとか、ミスしかかっているときに地上から見ていて、やんわりと示唆してくれる。僕もキャプコム(交信担当)をしたからわかるんですが、必要以上に気を遣うんです。「間違ってますよ」というと僕が傷つくと思って(笑)
- —むっとするわけですか?
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大西:
人によっては、するかもしれないですね。
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内山:
ISSと地上とのやりとりは、世界中の管制室で管制官たちが聞いてますからね。
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大西:
柔らかく言いますよ。例えば、手順書のあるステップを完全に飛ばしたときは「ステップ何番を念のために確認してください」とか、そんな感じ。
- —「飛ばしましたよね」とは決して言わない(笑)
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内山:
宇宙飛行士の作業の様子はリアルタイムでモニターで見ていて、手が止まったら「どこで止まったんだろう」とか、「ここがわかりにくいはずだ」と管制室内で即座にいくつか候補を挙げて、やっぱり問題がありそうだとなると、ISSに呼び掛けて確かめる。
- —フライトディレクタは宇宙飛行士の「女房役」と表現されることがありますが、内山さんはそれ(女房役)だけじゃない、とツイッターで投稿されてませんでしたか?
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内山:
それは「きぼう」の仕事のほんの一部。女房役と言うと宇宙飛行士がやることがあって、それを下から支えているというイメージになるじゃないですか。
- —そうじゃなくてなんですか?
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内山:
もともと宇宙でやるべき実験や宇宙飛行士の作業内容を含めて、実行に移す土台はすべて地上で作っている。本番までの準備が9割以上を占めます。それを現場で実行するのが、まさしく宇宙飛行士。もちろん、安全な管制室からあれこれ指揮するフライトディレクタと違って、命を懸けて研究者の目となり手足となり現場にいる宇宙飛行士のことは、とてもリスペクトしています。
大西:本当に優秀なフライトディレクタは、宇宙飛行士をうまく手のひらで転がして気分よく仕事をしてもらって、いい成果を出させるよね。宇宙飛行士は「俺がやってやった」と思っているという(笑)
ありえない不具合の連続。シミュレーション訓練は修行。
- —フライトディレクタ率いる管制チームの皆さんが、宇宙ミッションでどんなトラブルがあっても冷静に対処できるのは、事前のシミュレーション訓練でありえないようなトラブルに対処する「修行」を行うからだそうですね。
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内山:
シミュレーション訓練では、ISSの安全を守るために「こうのとり」をISS近くから撤退させる判断を下すこともありえます。だけど、ある管制官が訓練の初期で撤退させるという指令を送らないといけないのに、粘ったせいでISSのフライトディレクタにものすごく怒られたこともあった。まぁ、そのフライトディレクタも厳しいタイプの人だったんだけど(笑)。
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大西:
正解がないシナリオが多いよね。その場合は撤退するのが正解だったの?
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内山:
明らかにフライトルールの中に「この条件ならいったん離れる」と書かれていた。ところが、その管制官はもう少しで立て直せる可能性があると判断してしまった。それは間違い。
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大西:
フライトルールとは法律みたいなものだよね。
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内山:
そう。ルールを徹底的に作っておくことが必要。即座に判断できるように。
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大西:
フライトディレクタにはルールを破る権限があったんじゃなかった?
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内山:
破る権限があるというルールがある(笑)
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大西:
航空機の機長と一緒で、飛行機の安全を守るために緊急時は何をしてもいい。
- —フライトディレクタは日本語英語合わせて16回線を聞き分けて数千のデータから異常の芽を摘み取ると聞きますが、まるで聖徳太子ですね。なにかテクニックはあるんですか?
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内山:
いや、さすがに聖徳太子にはなれない(笑)。ただ、重要な言葉を聞き分けて、16回線から大事だなと思う回線を選んでいます。
- —内山さんが今までで一番焦った運用はなんですか?
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内山:
自分がシフトに入るときは、あまり大きなことは起きない。訓練では色々ありますが訓練以上のことはそうそう起きないですからね。やっぱりKITEが一番焦ったというか、やらないといけない手順ができずに終わってしまった。何とかしたかったです。だけど400kmの軌道上にあるものに対して、できることは限られていた。
- —でもやれることは全部やったわけですよね?
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内山:
やれることに限りがある歯がゆさが非常に悔しかった。打ち上げ前にもう少しやれることがあったんじゃないか、次に新しいものを作る時にはそういう視点が生かされるんじゃないかと思っています。
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大西:
信頼性が大事だよね。宇宙開発では、いかに確実に動作させるかがどれだけ大事かが宇宙に住んでみてわかった。多分、内山は今回の経験を通して痛切に感じているよね。
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内山:
100%成功させないといけない部分があって、打ち上げてしまうとちょっとダメだったからと言って修理することができない。
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大西:
ある程度、シンプルに確実に作動するような設計思想が大事だね。僕がロシアが凄いと思うのは、信頼性に一日の長があるところです。
宇宙飛行士と管制チームをつなぐ「飲みニケーション」
- —宇宙飛行士と管制チームは筑波で訓練後に飲みニケーションをすると聞きますが、どんな感じですか?
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大西:
ただの飲み会ですよ(笑)
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内山:
宇宙飛行士もそうだし、NASAの管制官もみんなそうだけど、会議の場だけで構築できる関係性を超えて、仕事の外でお酒の力も借りて個人的な人間としての付き合いを深められる機会は大事だよね。
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大西:
顔と顔を合わせて会ったことがあるかどうかは大きい。さらに一回飲みに行ったりしてると全然違う。
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内山:
お互いに困ることがあるじゃないですか。「これ頼みたいんだけど」というときに、格段に言いやすくなる。
- —一緒にカラオケに行ったりも?
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内山:
すごい重要だと思う(笑)
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大西:
大事ですね。
- —大西さんはISSでカラオケは?
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大西:
歌を歌ったりはしましたけど(笑)
(続く)
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