三位一体で迫る「生命の起源」
―どこまでわかったのか
「生命の起源」については「地球外から運ばれた」「深海熱水で生まれた」など様々な説があります。
まずはお二人がどんなアプローチでこの謎に迫ろうとしているか、伺います。
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東京工業大学
地球生命研究所 副所長/教授 -
JAMSTEC
超先鋭研究開発部門 部門長
「生命はどこでどのように生まれたか」「私たちは宇宙で特別な存在なのか、それとも普遍的な存在なのか」。人類が長らく抱き続けてきた問いに対する答えが、まもなく得られるかもしれません。
本トークイベントに多数のご応募ありがとうございました。新型コロナウイルス感染拡大状況により、残念ながら無観客での実施となりましたが、異なるアプローチから壮大なテーマに迫る第一人者のお二人が、研究の最前線や今後の展望、個人的な想いまで熱い議論を交わしました。その様子をたっぷりお届けします。
座談会進行・執筆:林 公代
出会いは「圧力鍋」の煮込み実験
- —お二人が出会ったきっかけはなんでしょうか?
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高井研(以下、高井):
ファーストコンタクトは、2010年頃だと思います。関根さんがJAMSTECにある圧力鍋のような実験装置で、土星の衛星エンケラドゥス内の海の熱水環境を再現して実験をされていた時です。
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—高井さんに2015年にDSPACEで初めて取材に伺ったのも、土星探査機カッシーニが衛星エンケラドゥスから噴き出す物質の中にナノシリカを発見、関根さんたちが世界で初めてJAMSTECの実験装置(通称「圧力鍋」)でエンケラドゥスの海で岩石と熱水が反応してナノシリカができるという再現実験に成功したのがきっかけでした。関根康人(以下、関根):
そういう経緯がありましたね。僕は2011年の学会でナノシリカが発見されたと聞いてすぐに「これはエンケラドゥスの熱水から出ているだろうな」と思って。
- —エンケラドゥスからなぜナノシリカが噴き出すか、宇宙物理学などの研究者はわからなかったのに、なぜ関根さんはわかったんですか?
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関根:
シリカができる場所は地球上にたくさんあります。温泉だったり熱水だったり。地球科学者にとっては常識で、僕は地球の歴史を勉強していたのでぴんときた。ナノシリカがあるということは、エンケラドゥスの氷の層の下に熱水があるに違いないと。実はその時、JAMSTECで別の熱水実験を始めていたんです。でもナノシリカの再現実験をやったらきっと面白い展開になるんじゃないかと思って、(一緒に実験をしていた)JAMSTECの渋谷岳造さんに相談したら「ナノシリカができた温度やpHも決めることができるかも」と盛り上がって、ナノシリカの実験に舵を切った(笑)。
- —なるほど。当時、そのような「圧力鍋」での煮込み実験ができるのはJAMSTECだけだった?
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高井:
国内ではそうですね。高温高圧でエンケラドゥスの海を再現できるのは。
- —元々は原始地球の熱水を再現したり、地球最初の海水を作ったりする装置だと以前の取材で伺いました。原始地球とエンケラドゥスの熱水が似ていることが実験でわかってきたり、海と宇宙の研究が繋がるのも興味深いです。ところで、関根さんのご専門は?
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関根:
「惑星科学」とか「太陽系科学」になります。根本的な動機としては、「地球の歴史」という教科書があるならその1ページ目「地球の始まり」「生命の始まり」に書かれることを研究したい。でも地球の始まりの頃の証拠は今の地球には残っていない。よく留めているのは宇宙の天体たちです。つまり、地球のことを考えながら惑星の研究をする。
- —高井さんの専門分野は?
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高井:
始まりは微生物学ですかね。今は生命の起源とかアストロバイオロジーとか。基本はエクスプローラー。冒険者です。最近は科学を引っ張るキャプテンみたいなことを主にやってますけど、(深海に)潜ってるし、実験室でも実はマル秘ネタをいじっていて「俺、現役だから」って言える。細々とでもやり続けて論文書いて「俺の仕事じゃあ」と言おうと思ってます。
「三位一体」で生命の起源に迫る
- —お互いの印象を聞いてもいいですか?
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関根:
高井さんは話が面白くてノリのいい人だなと思うんですが、「地球化学」って雑誌に書かれた「生命の可能性の限界はどこにあるか」という記事を読んだときに、僕は目から鱗が落ちました。そういう部分も実は影にあって。
—影ですか?関根:たぶん影だと思うんですよ(笑)。それをこのキャラで覆ってる。違いますか?
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高井:
僕の駄文は色々なところに出回ってますが、サイエンスについては論文や文章はぎちぎちに突き詰めて書くので、そう言って頂けると嬉しいなぁと思いました。
- —「生命の可能性の限界~」の記事のどこが目から鱗だったんですか?
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関根:
極限環境生物が生きられる境目を、生物の視点ではなく、物理や化学の視点で一般化しようとしたところにすごく衝撃を受けました。物理や化学で記述できると、地球外の生命にもおそらく適用できるんですね。そうは書いてなかったんですが、ビンビン感じた。
- —関根さんが感じた点、あってますか?
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高井:
その通りです。僕ね、たぶん一番生物学者らしくない生物学者なんですよ。
- —(笑)なぜ?
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高井:
生物って約10億種類いて、それぞれの生物に興味をもつ研究者がいる。彼らは例外を見つけて例外から面白さを見出し、少しだけ一般化する。でも僕は「生物とは何か」という一般解を知りたい。物理学者はみんな一般解を求めようとします。僕は生物のことを知った上で、物理学の観点もふまえて記述したい。
真理は我々の意識とはかけ離れたところにあると思っている人は多いと思いますが、実は科学とは受け取る側の問題なんです。受け取る人が理解できないものは真理じゃないと思っています。だから聞く人がわかるような記述で伝えたい。
- —それが物理で記述するっていうことなんですね。高井さんの関根さんの印象は?
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高井:
もうパッと見たときから華やかなんですよ。スターです。
- —どのあたりが?
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高井:
天文学者って現物を見ていない人が多いんだけど、関根さんは地球の歴史を学んできて、現物、要するに物質科学もやっていて理論もできる。実験して検証もする。つまり観測・理論・実験の三位一体を実践している。これをしない人は研究者としては一流ではないと思います。
- —お二人とも三位一体のアプローチで「生命の起源」に迫る研究者だということがわかったところで、メインのテーマにいきたいと思います。
生命は宇宙から?地球から?
- —「生命の起源」については宇宙から有機物が運ばれたという説、地球の深海熱水で誕生したなど様々な説があります。イベントに応募して下さった方に、アンケートに答えて頂いた結果を紹介します。「宇宙と地球、どちらが地球生命の起源だと思いますか?」。結果についてどう思われますか?
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関根:
私は生命の起源をわざわざ宇宙に求めなくても、地球で生命は作れるだろうし作れた方が面白いんじゃないかなと思ってますね。
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高井:
僕は「なんで宇宙だと思ってるんですか?」と聞きたい。そもそも地球も宇宙ですからね。言うならば「地球か地球以外か」。
生命は深海熱水で材料を調達して誕生し、進化し、広がった。
- —確かに地球も宇宙の一部ですね。では、生命の起源についてお二人がどんな研究をなさっていて今どういう風に考えられているかご説明頂けますか?
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高井:
元々は深海熱水にいる微生物の研究から始まりました。深海の熱水噴出孔にいる超好熱菌が地球上のすべての生物の共通祖先、専門用語でいうとLUCA(Last Universal Common Ancestor、ルカ)じゃないかと言われていた。それを証明しようと深海に何度も潜って、10年ほど前に、「我々の祖先(の誕生の場)は深海熱水っぽいぞ」というところまでたどり着いた。
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- —私たちの「共通祖先」は深海熱水にあり!と。
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高井:
はい。次にLUCAと「生命の起源」とは時間的にも空間的にも同一の現象とは思われていない。じゃあ、生命が生まれてからLUCAに至る道筋はどうなると思ったときに「深海熱水しかねーわ」と。つまり、「地球の深海熱水で生命が誕生して、そのままLUCAに至って、そこから地球のありとあらゆるところに拡がって行った」という説を唱えて、理論と観測と実験で証明しようとしているというのが、ざっくりとした研究内容です。
- —共通祖先LUCAは何億年前に存在したと考えられてますか?高井さんらが2002年に、インド洋・かいれいフィールドで発見した「地球最古の生態系(ハイパースライム)」はLUCAですか?
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高井:
35億年前にはLUCAがいたでしょうというのが共通認識かな。ハイパースライムはLUCAに近い。「LUCAはこんな感じでしたよね」っていうものです。
- —私たちの祖先ってこんな感じなんですか。生命が誕生したのはLUCAより前で、生命は深海熱水で材料も調達して誕生し、そのままLUCAに至ったと?
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高井:
はい。地球の材料メインで生まれ、進化し、広がって行った。その狭き門はすべて深海熱水。
- —生命の材料となる有機物は、宇宙から運ばれたという説もありますよね
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高井:
深海熱水では生命の材料がそろわないと言われたこともありました。しかし我々は2010年代に熱水噴出孔周囲でエネルギー源となる電気を発見、再現実験でほとんどの材料を深海熱水だけで作りうることを明らかにしました。そもそも宇宙からの有機物は質的にはタールみたいなもので美味しくない(笑)。宇宙からやって来る有機物の中に含まれる窒素化合物の量と、地球大気で雷が作る窒素化合物の量を比べると後者の方が多い。約40億年前の地球では雷が今より遙かに多かったと言われています。雷のおかげで大気中の窒素が硝酸になり、熱水でアンモニアに変わる。宇宙から有機物をわざわざ持ってこなくても、雷と熱水と太陽光の力で生命誕生に必要なものは作ることができる。地球の事を知らないで宇宙にロマンを求めすぎ。母なる地球を愛すべきですよ。
- —生命が誕生した場所として「温泉説」もありましたよね?
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高井:
細胞は薄い膜で外界と内界を分ける。乾燥した場所でないと、綺麗な膜を作ったり物質を繋げたりするのは厳しいから、海では難しいというのが温泉説の一番の主張でした。でも海の中には油のような液体があって、膜を作ることができることを観測や実験で突き止め、論文を提出しています。この弱点をクリアすれば勝つだろうと。でも勝負にこだわっているわけではない。新しい観測事実や実験事実があった時に自分の考え方にこだわらず、より新しいものを作り出せるのが素晴らしい科学者。重要なのは「真の答え」を見つけることです。
- —関根さん、高井さんの研究内容について質問やコメントはありますか?
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関根:
いつ地球が「生命に適した星」になったのか。原始の地球はマグマオーシャンと言われる火の玉のような惑星で、その後冷えて最初の海や大気ができる。その時点から生命に適していたと思われるのか、それともある程度落ち着いて、海や陸ができてひょっとしたらプレートテクトニクスみたいなものも始まって、そういう舞台装置が動き出してからなのか。どの段階から生命の星と思っているのかというところをお聞きしたいです。
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高井:
今の話は重要で、火星でも地球でもたった一か所生命が生まれて存続している場所があったとしても、果たしてそれは生命を育む惑星と言えるのかと。
- —局所的っていうことですか?
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高井:
局所的。僕は惑星レベルで生命を育めないと「生命を育む星」とは言えないと言いたい。
いつ、地球がハビタブルな星になったのかを質問されたと受け取りました。そうだとすると、すべての舞台装置がそろってから。それはLUCAとほぼ同一。 -
関根:
なるほど、生命をどのレベルで見つけたいかというところにもよりますね。惑星科学や天文学では「どこの場所に着陸してもある程度、生命がいます」という天体をハビタブルと呼びたい。なぜなら生命を宿す星なら、きっとそこに普遍性があるからです。ある場所だけに生命がいたとしてもなかなかそれを見つけるのは難しい。惑星科学は星を丸ごと見たいと思っていて、生物学者は1個の生命を見たい。
木星氷衛星探査JUICE―氷衛星に生命を育む海はあるか?
- —お二人の考え方は共通しているようですね。では関根さんの研究を教えて下さい。
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関根:
僕は地球外に生命を探すことで、地球の生命に迫りたいと思っています。例えば土星の衛星エンケラドゥスでも木星の衛星エウロパでも、ひょっとしたら生命がいるかもしれない。でも二つの衛星には大気も陸地もない。一方、火星を見ると多分深い海は全然なくて、浅い湖や湿地しかない。でも火星には大気も陸地もあるし、干潟もあったでしょう。もし火星に生命がいなくて、エンケラドゥスやエウロパだけにいるなら、生命が誕生する条件はひょっとしたら深海熱水の噴出孔なのかもしれない。
- —陸はいらない?
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関根:
そうですね。もしエウロパ、エンケラドゥスを探しても生命がいなくて火星にいますとなれば、深海でなくても生命は誕生しえる。そういう攻め方をすることで、生命の起源に対して新しい風というか見方を及ぼしたいと思っています。
- —なるほど。木星の衛星といえば、関根さんは木星氷衛星探査計画JUICEのプロジェクトサイエンティストをなさっていますね。
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関根:
はい。JUICEは欧州宇宙機関ESAが中心のミッションで日本はジュニアパートナーとして参加し、日本からだけでも100人を超える研究者が関わっています。木星とその周りのエウロパを含む氷衛星たちを探査します。氷の天体の海の深さがどのくらいあるのか、氷の海から地表にどういう物質が噴出しているのか、その中にバイオマーカーと言われる地球の生命に関連した物質があるのかを含めて探査する計画です
- —木星氷衛星の中にはエウロパやガニメデが含まれるんですね。生命探査だけが目的のミッションではなさそうですね
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関根:
木星と木星の衛星の起源を探ります。生命を育む海があるのか、どうして木星の周りに地下に海をもつような衛星ができたのか、特別にできたのか、普遍的なのか。太陽系の外にも木星のようなガス惑星が多数発見されています。ガニメデやエウロパが普遍的にできるのであれば、太陽系の外のガス惑星にも氷衛星がたくさんあっていい。生命を育む環境のでき方の問題に迫りたいと思っています。
- —興味深いですね。高井さん、JUICE計画に期待することは
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高井:
何が面白いかっていうと、土星と木星の衛星では海が違うだろうと。エンケラドゥスは地球型の海なんですけど、エウロパは違う。宇宙でも地球でも海は多様性があるんですよ。僕らJAMSTECですけど将来的にはGALAXYの海を探査する銀河海洋研究開発機構、GAMSTECになりたいと思っているので。その意味では太陽系の色々な海を見つけて頂くのは嬉しいことです。
- —GAMSTEC!いいですね~。関根さん、ガニメデにも海があるかもしれないんですね?
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関根:
そうですね。多くの研究者はそういう風に予想しています。ただしエウロパは氷の表面から10kmから20kmぐらいのところに海があると考えられていて、天体がぶつかったり氷が割れたりしたら地表に内部の物質が出てきますが、ガニメデは表面から100 km以上氷の層があって、その下に海があると考えられています。海の物質を手に入れるのは厳しいですね。
- —土星の衛星エンケラドゥスの煮込み実験の話が冒頭で出ましたが、JAMSTECにあった「圧力鍋」の技術で東工大に実験装置を作り、煮込み実験をされていると聞きました。
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関根:
エウロパの海底の圧力は1500気圧ぐらい。JAMSETCの装置は地球の海に合わせていて500~600気圧なので3倍高い圧力が必要です。東工大で新たに装置を作りました。
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- —エウロパからバイオマーカーが噴き出すと想定して、実験を行っているのですか?
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関根:
観測した物質がどういう意味を持っているかを解釈するための実験ですね。「噴出した中にこういう物質があります」となった時に、それならエウロパの海底はこういう環境ですよと推定するために。土星の衛星エンケラドゥスの熱水の実験も継続して行っていて面白い結果が出そうです。
- —太陽系の色々な海が再現できるんですね。エウロパの実験ではどんなことが期待されますか?
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関根:
海の組成について木星の衛星は土星の衛星エンケラドゥスみたいにびしっと決まっていない。高井さんが言われたように、エウロパとエンケラドゥスは海の化学組成も水の性質も違うかもしれない。僕はかなり違うと思っています。
- —太陽系の海は多様なんですね。地球の生命が深海熱水で生まれたとして、地球の生命は宇宙で普遍的なのか特別なのかと気になります。次回はそのあたりをお聞きします。
「生命の起源」を探る旅は今後、どんな方向に進むのでしょうか?高井さん、関根さんからは今までに聞いたことがない話が飛び出しました。後編をどうぞお楽しみに!
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本文中における会社名、商標名は、各社の商標または登録商標です。
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「生命の起源」を探す旅三位一体で迫る「生命の起源」
―どこまでわかったのか -
「生命の起源」を探す旅深海も宇宙も謎だらけ
―探査へGO!
プロフィール
地球生命研究所 副所長/教授
超先鋭研究開発部門 部門長
画像提供:JAMSTEC,NASA/JPL,NASA/ESA,NASA/JPL/DLR,関根康人