REPORTER
三菱電機株式会社 中国支社
事業推進部 総合営業課 井上 夏樹
事業推進部 総合営業課
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兵庫県出身で、仙台の東北支社から広島へ赴任して3年目になります。コロナ禍のタイミングだったので、なかなか広島めぐりができませんでしたが、今回の小さな旅を機に、広島の魅力を見つけたいと思います。
三菱電機株式会社 中国支社
事業推進部 企画課 山本 光奈海
事業推進部 企画課
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19歳まで地元・広島で育ち、大学は台湾へ、就職で広島に戻りました。最近、新しいスポットや見どころが増えているようなので、今回の小さな旅で、広島の新しい魅力を探してみたいと思います。
HIGHLIGHT AREA
中国支社
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「環境・省エネ」「安全・安心」をキーワードに、中国地方5県にまたがるエリアを営業拠点とし、地域社会への貢献を目指し、地域密着型の営業活動を展開しています。
掲載されている情報は、
中国支社では、地域振興に向けた貢献活動の一環として、
駅と街のガイドブックアプリ「ekinote」を活用した実験的な取り組みを広島エリアで進めています。
事業推進部で広島を拠点に活動する二人に、広島に対するそれぞれの思い、
地域が抱える課題、そして実証実験の意義などについて語っていただきました。
広島、それぞれの気づき
井上/広島に赴任して地域のお客様と接する中で、地元愛や地域のつながりを大切にするところなど、広島に対する熱い思いを感じることが多々あります。個人的にはとても住みやすい場所だと思います。
山本/広島出身ですが、台湾の大学に通っていた頃は、あまり地元に戻る機会がなく、一度、広島を離れたことで、客観的に見られるようになりました。子供の頃から知っている広電が、広島の街づくりにも積極的に取り組まれているという気づきもあり、仕事で地域のお客様と関わるようになったことで、地元のつながり・関係性の重要性を実感しています。
井上/地元出身ならではのメリットがあると思いますし、お客様との距離感・関係性を意識するのは、地域を巻き込んでいく仕事では重要になります。
山本/広島出身というだけで距離がグッと縮まる瞬間がありますね。
広島の魅力を伝えるために
山本/広島は、都会と自然のバランスがよく、魅力的な土地だと思います。しかし、高齢化や人口減少が進んでいて、デジタル化も、大都市と比べると、まだまだこれから。そこが課題かと思います。
井上/「ekinote」は、旅や街、グルメなどの多様なカテゴリーの情報を、駅起点で集約できるサービスです。他のアプリとの違いは一つのアプリで情報を包括して提供すると同時に、そこで集めたビッグデータを活用し、スマートシティなどの新しい取り組みの核となるアプリに育てていくという大きな構想を描いています。全国的に見ても、ビッグデータの収集・活用はこれからの領域であり、その先駆けとして、「ekinote」のような取り組みを、広島発でスタートしたことに意義があると思います。
山本/外部からの観光利用の促進はもちろんですが、地域の人が身近な場所で新たな発見ができるようなツールとしても可能性がありますね。
井上/私たちは「セレンディピティ(Serendipity)※」と呼んでいますが、今まで住んでいる街の限られたエリアしか知らなかった人が、「ekinote」をきっかけに、少し足を伸ばして、新しい街の魅力と出会う、そういう機会創出を促す価値もあるのではないかと考えています。アプリを通じて広島の魅力を全国発信することで、地域の活性化につなげていくような、新しい地域貢献のあり方についても模索しているところです。
(つづく)
※ セレンディピティ(Serendipity):偶然の出会い、予想外の発見で幸運をつかみ取ること
駅と駅周辺の街の情報を一元化したガイドブックアプリ。全国約9,100の鉄道の駅を起点として、交通情報をはじめ、観光、グルメ、ショッピング、自治体関連情報といったさまざまなカテゴリーを一元化して閲覧できる。
ネット検索や分野別のアプリでは実現できない、“偶発的な発見(セレンディピティ)”を誘発することで、駅や駅周辺の街へのおでかけを促し、地域の活性化に貢献する「駅起点の地域振興アプリ&プラットフォーム」。
“広電(ひろでん)”の愛称で地域の人々に親しまれている
広島電鉄株式会社様と共同で進める、「ekinote」の実証実験。
そこから見えてきた地域振興プラットフォームとしての可能性、
今後に向けた課題と期待について語っていただきました。
ekinoteに感じる可能性
井上/広島電鉄様とは、電車の車両用の電機品を納めていたところからのお付き合いで、「ekinote」のサービス化を検討する際、弊社交通事業部から御社にご相談したのが発端でした。
前田/弊社では、広島電鉄の今後につながる取り組みを考える社内横断的な場が研修の一つであり、その際に当社に関する情報提供をする新たなサービスを検討したいという話が出ていました。そのタイミングで、井上さんと面識のあるメンバーから「ekinote」の話を聞き、駅起点で多様な情報を発信するアプリという、私たちには思いつかなかった視点をいただき、興味を持ったのが始まりです。
坂元/ekinoteが、弊社のような事業者からの一方的な情報提供だけでなく、ユーザーの方も個人で自由に投稿できるようになったことで、すごく面白くなってきたと感じています。弊社としては、イベントなどの告知にも利用できますし、駅とリンクした形の新しい取り組みにも活用できます。一般ユーザーの方からの投稿で、駅周辺のタイムリーな動向も掴めて、私たちにとっては大変勉強にもなります。
井上/このアプリは、地域のコアな情報をいかに発信していけるかが「キモ」になると思います。その意味では、広島電鉄様の幅広い部署の方から知見をいただきながら、弊社も多様なメンバーが関わることで、そこから生まれるアイデアに期待しています。
坂元/私が所属する地域共創本部は、バスと電車にまたがる仕事や街づくり、インバウンド関連の観光という仕事を担当している部署ですので、「ekinote」にはピッタリかもしれません(笑)。
広島の魅力を
再発見するツールとして
前田/私は広島市の中区出身で、この地元でずっと暮らしてきました。東京や大阪、福岡と比べると、物足りないところもありますが、街中でいろいろと楽しめるし、少し郊外へ行けば、自然があり、山も川も海もある。都会すぎず、田舎すぎず、バランスの取れているところが広島の魅力ではないかなと思います。
坂元/私は呉市出身で、海と山に囲まれ、周りに自然があるのは当たり前のものと思っていましたが、こんなに海と山が近い県は他にありません。
瀬戸内海はずっと凪が続く海なので、初めて日本海や太平洋を見た時は2mの波なんて、とても恐ろしくて、怖かったほどです(笑)。そういう穏やかな海が近くにあり、電車や車からも間近に見える。広電に乗ると橋が多くて、きれいな川が流れていて、雁木(がんぎ)と呼ばれる波止場みたいなものがあって、遊覧船も動いている。そういう風景を見ていると、気持ちが落ち着きます。心穏やかに過ごせるのも、広島の魅力の一つだと思いますね。
山本/皆さんがおっしゃる通り、魅力はいろいろありますが、そういう広島人にとって当たり前のことを改めて掘り起こして、再発見した価値として外に向けて発信していくことが重要になると思います。
坂元/それは強く思います。広島の人が広島の良いところを語れないと、外の人にはわかってもらえない。観光面では、広島といえば原爆ドームと宮島が有名ですが、日帰りの観光がメインで、宿泊滞在してもらえないという課題がずっとありました。この課題に対して観光需要を刺激していくためにも、「ekinote」のようなアプリ媒体の重要性は大きいと思います。マイクロツーリズムという言葉がありますが、一つ一つの駅を降りて、その周辺で面白いものを見つけるのに、一つのアプリですべて網羅できるのは、地域の魅力を広め、回遊性を高めていく上で、重要になると思います。滞在期間の延長を促すのはもちろん、それが移住や定住につながっていくと、広島全体が盛り上がっていくのではないでしょうか。その意味でも、「ekinote」は、絶好のきっかけづくりになると思います。
(つづく)
“広電(ひろでん)”の愛称で地域の人々から親しまれている広島電鉄は、広島市内をめぐる6路線の軌道区間(道路上を走る路面電車)と西広島から宮島口までの鉄道区間(道路上を走らない鉄道路線)からなる日本最大規模の路面電車網です。車両には、さまざまなタイプがあり、市内の機電区間では、1942年当時の車両が運行しています。
低床式の新型車両も数多く走っており、三菱電機製の制御システムや空調システムが導入されている車両もあります。