四国支社×
瀬戸内の島々に、
現代アートを訪ねて
3年に一度、瀬戸内の島々を舞台に開催されている世界的に注目度の高い現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。三菱電機は2013年の第2回目より協賛企業としてこの芸術祭を支えています。今回は多彩なアート作品や企業ボランティア活動とともに、各所で活躍する三菱電機製品の導入事例をご紹介しながら、地域に根差した三菱電機の活動をリポートします。
REPORTER
三菱電機株式会社 四国支社
事業推進部 企画課小谷 慎也
詳細を見る
今回の旅を通じて、瀬戸内の島々のこと、そして三菱電機製品と地域の暮らしとの関わり、地域貢献について学びたいと思います。
三菱電機株式会社 四国支社
総務部 総務課大綱 伊代
詳細を見る
社会貢献活動の一環として参加する今回の瀬戸内国際芸術祭のボランティア活動を通じて、その魅力をお伝えしたいと思います。
HIGHLIGHT
AREA
四国支社
詳細を見る
四国支社は、1950年に大阪営業所(現関西支社)の営業拠点として設立。以来、四国全域をカバーする拠点として営業活動を展開しており、主に重電機器、通信機器、エレベーター、エスカレーター、FA機器、自動車機器等を扱っています。
掲載されている情報は、2019年10月時点のものです
アート作品を介して、瀬戸内の島々の魅力に触れる
瀬戸内海に浮かぶ12の島々と2つの港を舞台に繰り広げられる、「瀬戸内国際芸術祭」。2019年で4回目を迎え、春・夏・秋の3会期を通じて、来場者が117万人を超えるという一大アートイベントです。その最大の特徴は、個性豊かな島々に点在するアート作品を介して、島の暮らしやそこに住む人々、独自の伝統文化、豊かな自然に触れながら、瀬戸内海の多彩な魅力を味わうことができる点にあります。三菱電機は、2013年の第2回から協賛、2019年からは企業ボランティアとしても参加しており、今回の旅では、男木島において展示アートの受付担当として、ボランティア活動に従事します。
空の玄関口・高松空港で活躍する、多彩な三菱電機製品
瀬戸内国際芸術祭の空の玄関口となるのが、高松空港。旅客ターミナルではさまざまな三菱電機製品が活躍しています。離発着便のライブカメラ映像を映し出す65V型液晶ディスプレイや離発着便の情報を伝えるフライトインフォメーションディスプレイ、そしてインフォメーションセンターには、55V型液晶4面マルチが設置されており、地域のPR映像をはじめ、飛行機到着時には、到着口のセンサーに連動してウェルカムメッセージを自動表示しています。
また、2019年7月末に竣工した新付属棟には当社製のエレベーターや空調、照明も採用いただいており、空港運営をサポートしています。そして、旅客ターミナルには、芸術祭に訪れる人を出迎えるアート作品が展示されています。撮影可能な芸術作品ということもあり、多くの空港利用者の方が記念撮影されていらっしゃいます。
「ウェルカム」/ヴェロニク・ジュマール作
天井から吊り下げられた金色のフォルムが空気の流れや風にそよぐことで、フィルムに映り込む像が微細に変化する作品。
「ファニーブルー」/ヴェロニク・ジュマール作
観る角度によって色合いが虹色に変化し、窓ガラスがさまざまな表情を見せる不思議な作品。
鬼が棲む島!?桃太郎伝説が残る女木島へ
高松港からフェリー「めおん2」に乗り、20分ほどの距離にある、女木島へ。女木港からは、海岸沿いを囲むように覆う石壁の「オオテ(オーテ)」が見えてきます。冬の季節風から家を守る、女木島独特の景観です。
女木島は桃太郎伝説の島とされ、「鬼ヶ島」とも呼ばれています。その理由は、島の北側の鷲ヶ峰山に、「鬼ヶ島大洞窟」があるからです。この巨大洞窟は、自然にできたものではなく、紀元前100年頃に造られたものだそうですが、その目的はいまだに謎。入り口は小さいものの、内部は全長約400m・広さ約4,000㎡で、想像以上に奥行きがあります。ひんやりとした冷気が漂い、妖しげな雰囲気で、鬼たちの暮らしを再現した展示をはじめ、「瀬戸内国際芸術祭2013」で香川県内の中学生約3,000人が手がけた「オニノコ瓦プロジェクト」の作品が展示されており、さまざまな表情の鬼がいたるところにひしめいています。
瀬戸内海をぐるり一望できる、鷲ヶ峰展望台
鬼ヶ島大洞窟から5分ほど登り、標高約188mの鷲ヶ峰山の展望台へ。瀬戸内海が一望できる360度の絶景パノラマに、思わず息をのみます。ひと汗かいた身体に、海を渡る風がとても心地よく、しばし至福の時間を過ごしました。
女木島のアート作品をご紹介
女木島ではたくさんのアート作品に触れることができますが、
その中から女木港のすぐ近くにある2作品をご紹介します。
「カモメの駐車場」/木村 崇人作
女木港の防波堤と防潮堤に並ぶ約300羽のカモメたち。風の動きをカモメの動きで視覚化したユニークな作品。
「20世紀の回想」/禿鷹 墳上作
青銅製のグランドピアノと、その上に立つ4本の帆によるサウンド・インスタレーション。海の波音がピアノの旋律のように呼応して聞こえ、風の流れを感じる作品。
男木島へ、出発!
瀬戸内国際芸術祭のボランティアサポーター「こえび隊」の一員として、男木島でボランティア活動に参加します!「こえび隊」は、国や年齢を問わず、誰でも参加でき、アーティストの作品制作の手伝い、芸術祭開催期間中の運営、島々で行われる催しの手伝い、作品の受付・案内など、芸術祭を支える活動に従事します。高松港の大巻作品前に集合し、活動内容や注意事項などの説明を受け、いよいよフェリーで出発!男木島は、女木島経由で40分ほど。南西向きの斜面に階段状に民家が連なる特徴的な集落風景が船上から見えてきます。平らな土地が少なく、港からすぐに石段や石畳、細く折れ曲がった路地と坂道が迷路のように続いており、島独自の雰囲気と島民の素朴な人柄に魅了され、何度も訪れる男木島ファンも多いようです。
オンバ・ファクトリーで、ボランティア活動
今回のボランティアは、島に住むお年寄りのオンバ(乳母車)のカスタマイズ工房「オンバ・ファクトリー」の受付・案内担当です。オープン前に、受付の準備、掃除、展示作品のセッティング、動線や手順を確認します。開館後は、来場者を迎え入れ、鑑賞パスポートへの押印、個別鑑賞券の販売、注意事項の説明や作品紹介、また受付日報に鑑賞者数や売上などを記入します。船の到着時間に応じて来場者の波があり、特に海外からの人が多いのが印象的でした。
オンバはもともと、細い路地と坂道が多い島で暮らすお年寄りにとって、野菜や生活道具などを運ぶための必需品。そのオンバにカラフルなペイントや彫刻を施し、アート作品化して日常的に使ってもらおうという趣旨でスタートしたのが、オンバ・ファクトリーアートプロジェクトです。島のあちこちで、オシャレなオンバを押しているお年寄りの姿を見かけると、暮らしにアートが溶け込んでいるのを実感します。
工房の隣に併設されている「オンバ・カフェ」は、オンバの形をした手作りチーズケーキや島で採れたレモンを使ったレモネードなどが楽しめる人気スポット。テラス席や窓からは穏やかな瀬戸内の海が望め、海を渡る風が心地よく、ゆったりとした時間が過ごせます。
ボランティア活動に参加して
来場者の中にスペインから来た人たちがいて、先方もあまり英語が得意ではなく、入場料の支払いの際に、5円玉と50円玉の違いを伝えるのに苦労しました。こうした国際的な催しの現場では、英語だけでは、コミュニケーションが難しいということが身に沁みました。
お客様の約8割が海外からの方で、芸術祭が国際的に知られているのを実感しました。いろいろな国の人と交流できたのでとても楽しかったです。島のお年寄りは、オンバを2台くらい持っているそうで、島の暮らしとアートがつながり、しっかり根付いているのがわかり、改めてアートに対する見方が変わりました。
※三菱電機グループでは、瀬戸内国際芸術祭を支える企業ボランティアとして、今回は春会期14名、夏会期16名、秋会期23名の合計53名が参加しました。
男木島の学校を支える、三菱電機製品
男木島では、2011年に島内の学校が休校になっていましたが、芸術祭を機にUターンを希望する家族が出てきたことから、学校再開に向けた動きが進み、2014年4月、学校が再スタートしました。校舎が老朽化していたことから、新築工事にも着手、2016年4月に新校舎が完成しました。この男木小・中学校の校舎新築の際に、当社製の空調・換気・照明設備が導入され、子どもたちの日々の学校活動を支えています。
ちなみに高松市立男木小・中学校の体育館の正面には、瀬戸内の青い海と光をイメージした刺繍のような作品「青空を夢見て」(レジーナ・シルベイラ作)を見ることができます。
※敷地内へ立ち入ることはできません
男木島のアート作品をご紹介
男木島にもたくさんのアート作品を見ることができますが、迷路のように入り組んだ坂道を歩くことになるので、歩きやすい靴がおすすめです。
「男木島の魂」/ジャウメ・プレンサ作
男木港のすぐ側に建つ「男木交流館」。貝殻をイメージした白い屋根は、8つの言語の文字がデザインされており、建物自体がアート作品。
「SEA VINE―波打ち際にて―」/高橋治希作
見晴らしのよい空き家の窓に、波が打ち寄せてくる光景を磁器性のつるで波や風を表現。海との一体感を感じさせる作品。
「生成するウォールドローイング―日本家屋のために」
/村山悟郎作
かつて商店だった築90年の家屋の壁を、男木島で育つ植物をモチーフとした壁画で埋め尽くした作品。
「歩く方舟」/山口啓介作
旧約聖書に登場するノアの方舟に着想を得た作品で、4つの山のような方舟が海を歩いて渡ろうとする姿を視覚化。
今回の旅を終えて
島ごとに風景や暮らしのスタイルが異なり、同じ香川県でも、地域によって違いがあるのを実感しました。これからもいろいろな地域に足を運び、それぞれの土地を知ることで、仕事にも活かせたらと思います。また今回のボランティア活動を通じて、多言語を学ぶ必要性を改めて感じました。いろいろな場面で世界を相手にしていくためにも、これを機に、語学の勉強にも取り組んでいきたいと思います。
四国支社に配属されて、ぜひやりたいと思っていたのが瀬戸内海の島巡りだったので、これをきっかけに、他の島にも行ってみたいと思います。今回のボランティアでは、いろいろな方と話をする機会を持てました。たわいない会話や何気ない交流の中で、人の温かみを感じることができ、気持ちがほぐれました。これからもボランティア活動を通じて、そして仕事でも、コミュニケーションを大切にし、いろいろな人としっかり向き合っていきたいと思います。
ART SETOUCHIとして、引き続き作品を公開
瀬戸内国際芸術祭は、3年ごとに開催されるものですが、会期外についても、各会場には引き続き残された多数のアート作品が展示・公開されており、アートを通じて地域の活性化を図る「ART SETOUCHI」として継続的に活動しています。