真の使いやすさ、生活しやすさを目指して

私たちは、真の「使いやすさ」と「生活しやすさ」を実現するため、より多くの方に満足度の高い製品と生活環境の提供を目指します。

高齢化する社会

歳をとれば誰でも心身の機能低下は避けられず、病気や事故により障害を負うリスクも高まります。

日本では、2020年にはその割合が28.7%に達し「4人に1人以上が高齢者」という超高齢社会となっています。さらに2036年には「3人に1人」が高齢者となると予測されており、多くの人が高齢化を迎える社会への備えが、ますます重要になっています。

主要国の高齢人口(65歳以上)の割合の推移と予測データ出所:国連World Population Prospects, The 2022Revision

加齢による変化

A. 感覚機能の変化 : 聞こえにくい、見えにくい、話しにくい、感じにくい
B. 運動能力の低下 : 歩きにくい、立ったり座ったりしにくい、早く反応できない、不器用になる
C. 平衡感覚の低下 : 転倒しやすい、バランスを失いやすい
D. 記憶力の低下と混乱 : 覚えにくく忘れやすい、混乱しやすい

出展:日経BP社「ユニバーサルデザインの教科書」を参考にした

障がいへの理解

視覚を例にすると、視覚障がい者とともに、軽度の弱視、色弱や白内障で色の見え方に違いがある人、近視・遠視や老眼など、視覚に不自由さのある人はたくさんいます。そのために、多くの人が眼鏡やコンタクトレンズ、ルーペなど、視覚を補う道具を使用して生活しています。
日本ではのべ600万人を超える人が身体障がいや知的障がいの手帳を取得していますが、ほかにも日常生活に不便さを感じている人がたくさんいます。

障がい者の数(手帳交付台帳登載数、令和4年度)

(四捨五入) (対全人口)
身体障がい 484.2万人 3.88%
視覚障がい 32.1万人 0.26%
聴覚・平衡機能障がい 44.2万人 0.35%
音声・言語・そしゃく機能障がい 5.9万人 0.05%
肢体不自由 239.6万人 1.92%
内部障がい 162.5万人 1.30%
知的障がい 121.8万人 0.97%

厚生労働省:令和4年度 福祉行政報告例、2024年1月公表

三菱電機の目標

歳をとっても、障がいがあっても、快適で充実した生活を送りたいという願望は誰にも共通した思いに違いありません。

国や自治体は、高齢者も若者も、障がい者も健常者も全ての人にとって、過ごしやすい生活環境づくりに向け、様々な法律・条例・規格やインフラの整備を進めています。私たちもメーカーの立場から、できるだけ多くの人々にとって使いやすく、満足度の高い製品と生活環境を提供していきたいと考えています。

ユニバーサルデザイン(UD)では、できるだけ多くの人々が使えるように配慮された「共用品」、いろいろな状況の人々が共に活動できるように配慮された「共生空間」の実現を目指します。

一般品:主に健常者を対象とした製品
専用品:特定の人向けに作られた製品(福祉機器、プロ用機器など)
共用品:人々が共に使えるように配慮された製品

応用領域の拡大

熟練作業者の高齢化、雇用形態の変化に伴う未熟練作業者の増加など、労働環境が変化しています。

私たちは、家電製品や公共機器の分野で蓄積してきたUDのノウハウやツールを、工場自動化(Factory Automation)機器やソフトウェア等の産業機器分野や、製品の据付・保守の場面にも応用展開しています。

未熟練者にも使いやすいものを作ることにより、熟練者にとっても使いやすく効率を上げ、更にヒューマンエラーを削減することを目指し、UDの視点を導入することにしました。

社員教育・他

  • ユニバーサルデザイン教育
    三菱電機グループ社員を対象にした研修
    ・基礎講座(e-ラーニング)
    ・高齢者や車いすの疑似体験
    ・ユーザー評価の実践講座 など
  • ガイドライン
    ユーザーインタフェース(UI)設計上の基本事項や開発中の評価結果を基に、分野ごとに「UI設計ガイドライン」を整備しています。開発者(エンジニア、デザイナーなど)がUDの基本やコツを共有し、製品の使いやすさを向上させることを目指します。
  • 情報の共有
    UDに関する基本情報や関連規格へのアクセスを容易にする、ポータルサイトをイントラネット上に開設しています。

車いす体験

高齢者疑似体験