ユニバーサルデザイン開発プロセス

ユニバーサルデザインの開発は人間中心設計プロセスに沿っておこないます。

はじめに、ユーザーや使用環境など開発の前提条件を整理しゴールを明確化します。そして、次に紹介するUDチェッカーやユーザテストなどにより、ユーザ視点での評価を繰り返し実施します。

そのタイミングは3回あり、①開発のスタート時には現行の製品、②開発中はプロトタイプやシミュレーション、③製品化後は完成品を用いて評価します。

それぞれのタイミングで得られた課題を開発に反映し、よりよい製品作りを目指します。

ユニバーサルデザイン評価システム「UDチェッカー」

製品デザイン開発の過程で、UD達成度を開発者がセルフチェックします。開発目標を明確化し、開発のポイントや改善すべき項目を見出します。

UD-Checker:使用環境チェックシート

UD-Checker:結果入力シート

ブレッドオーブンのセルフチェック

ユーザーテスト

高齢者や未熟練者など様々な方に、製品やプロトタイプを使っていただき、自然に使っている様子を観察する等の方法で、使い勝手の課題を抽出します。

炊飯器アプリのユーザーテスト(視覚障がい者)

エレベーターの操作盤のユーザーテスト(視覚障がい者)

弱視疑似体験による視認性評価

ユニバーサルデザインの基本配慮項目

UD-Checkerは、日常生活で人々が感じている不便さや問題点をもとに整理した「基本配慮項目」で構成されています。

これらのチェックを行う前にはチェックの前提条件を確認するための設問、チェック実施の後には製品の魅力や使用快適性などを確認するための設問が用意されており、ユーザー満足度の高い製品の開発に役立てています。

どんな問題点があるのか
基本配慮項目
UD-Checker(抜粋)
わかりにくさ
なじみのない用語や表示内容が理解できない
一度に多くの事柄を覚えられない
理解、納得、記憶に時間がかかる
簡単でわかりやすい使い方
誰にでも理解しやすい操作方法
・見ただけで使い方がわかる
・わかりやすくなじみのある用語や表現
・操作ボタンの数、配列を適切に
・操作手順をわかりやすく簡単に
・動作状況のわかる明確なフィードバックを用意する
・ユーザーのペースで操作できるようにする
見えにくさ、聞こえにくさ
見えない、見にくい
細かい表示やコントラストの低い表示が見にくい
近くのものにピントが合いにくい
高齢者や車いす使用者の視線の高さは低い
聞こえない
高い音や小さい音が聞きとりにくい
火災等の緊急時に危険を察知しにくい
識別しやすい表示・表現
見て、聞いて、触って確実に認識できること
・情報の表現手段は複数用意する
・操作部は識別しやすくする
・文字や図などは見やすく(大きさとコントラスト)
・配色、色数を適切に(色に頼った表示になってないか)
・表示する情報量は適切に
・報知音や音声ガイダンスは聞き取りやすく
扱いにくさ、動きにくさ
力が無い、つかむ力が弱い
細かい動作や素早い動作ができない
両手を使わないと使えない
手の届く範囲が限られる。高いところや低いところに手が届かない
かがんだ姿勢での長時間作業が困難
バランス感覚が弱く、姿勢が不安定
楽な姿勢・身体的負荷への配慮
からだに負担をかけずに無理なく使えること
・無理のない力で操作できる
・持ち運びや設置に対する配慮
・製品あるいは身体を確実に保持できるよう配慮する
・大まかな動作で操作できる、素早い動作を必要としない
・片手で、かつ左右どちらの手でも使える
・身体寸法の大小にかかわらず、使いやすい
・負担のかかる姿勢や長時間同じ姿勢を強いない
・車いす使用でも楽に使えるように配慮する
安全性・利便性が確保されない
誤操作に対処できない
消し忘れを起こしやすい
準備や後片付け、メンテナンスが大変
安全性と利便性の追求
安全性と新たな利便性追求は開発の大前提
・誤操作防止への配慮
・誤操作した時ややり直したい時に容易に復帰できる
・危険防止への配慮
・準備や後片付けのしやすさ、収納性への配慮