「よくぞ つくってくれた。」
~販売店の喜びの声に心が震えた。
2007年秋、4年の開発期間を経て、満を持して寒冷地仕様エアコン『ズバ暖 霧ヶ峰』は発売された。
「反応は良かったですね。とくに売り手の方々には...」
当時、『ズバ暖 霧ヶ峰』の営業担当だった白井達也は振り返る。オール電化が人気を集める中、電気暖房を提案したくても蓄熱暖房機ぐらいしか選択肢がないという状況で、効率の良いヒートポンプの暖房機は諸手を上げて歓迎された。
「よくぞつくってくれた」の声に、開発担当の山下の胸も熱くなった。
北国から全国へと広がった『ズバ暖 霧ヶ峰』
「ホントに使えるの?それ。」 ~エアコン暖房は半信半疑。
だが一方で、「燃焼暖房が常識」の北国に暮らす人々にとっては、エアコン暖房などまったく未知のもの。「それってほんとに暖まるの?」「エアコンなんか暖房には使えないでしょ」。興味はあっても半信半疑の反応だった。
ファンがファンを育てる。
~そして『ズバ暖』の輪は大きく広がった。
対して、営業部、販売店はスクラムを組んでこのイメージ払拭に挑んでいく。
まず、『ズバ暖』ファンになったのは、直接メーカーの話を聞ける売り手の人たちだった。説明会では、山下も白井も何度も現地に赴き、寒冷地仕様の『ズバ暖』には今までのエアコンとはまったく違う技術が入っていることを、丁寧に説明していった。もちろん、デモ運転(※1)により圧倒的な暖房性能を体感してもらうことも忘れなかった。そこで興味を持った人々は、まず自宅のエアコンを『ズバ暖』に変え、その暖房能力に魅了される。
「いやあ、嘘みたいに暖まる。使えるわ。」「これなら自信持ってすすめられるよ。」といった声が、白井の耳にも数多く届くようになった。
自らが『ズバ暖』ファンになった売り手の説得力ある言葉に、エンドユーザーの間にも『ズバ暖』ファンの輪は徐々に、大きく広がっていった。いつしか、暖房は燃焼系という常識は少しずつ覆され、「北国の冬には『ズバ暖』」という評価が定着。販売台数は毎年二桁増を記録し、確かな手応えとともに、着実に売り上げは伸びていった。
北海道・東北地区担当となり、さらに現地に足繁く通うようになった白井。その目に、家々の外に並ぶ灯油タンクが、エアコンの室外機に置き換わっていくさまが映るようになった。徐々に、しかしはっきりと変わっていく北国の日常風景に、白井は深い満足感を覚えた。
※1. 室外機をアクリルケースに閉じ込め、その中で-12℃~18℃の低温環境を再現。その条件下で、エアコンから出る60℃の温風を体感してもらった。
当時のデモ運転の活動は、体感イベントの形に拡大しながら、現在も続いている。(写真は、2015年冬の仙台駅でのイベント)