三菱ジャー炊飯器
活動レポート
理想のごはんの象徴とされる「かまど炊き」。
現代では、その味を知る人も少なくなっているのではないでしょうか。
そこで「お米塾」では講師であるお米マイスター佐藤貴之氏、ジャー炊飯器開発チームの久保田協力のもと「かまど炊き」に挑戦!その炊飯の様子や炊きあがりについてレポートします。
三重県四日市市采女町にある、築110年を超える古民家コミュニティスペース「竈の家」。
20年前までは、管理人・古市文子さんのお祖母様が住んでいらしたお家です。昔ながらの通り土間には、「西洋クド」と呼ばれるレンガ造りのかまども健在。
今回はこの歴史ある西洋クドを使い、かまど炊きの研究を行いました。
かまど炊き職人のご紹介
今回の名人は暮らしを楽しむ「竈の家」 管理人・古市文子さん
子どもの頃からよく遊びにきていたおばあちゃんのおうち、「竈の家」。空き家にな ってから数年後、古市さんと仲間たちの手によって、再びかまどに火が入りました。見よう見まねで炊いたはじめてのかまどごはんは、お米のひと粒ひと粒がキラキラと輝いていたそうです。その美しさとおいしさの虜になって以来、かまど炊きは古市さんのライフワークに。「竈の家」を運営しながら、訪れた人においしいかまどごはんや自家製のかまど味噌を振る舞っています。
「おこげができたり、ちょっとかためだったり、炊きムラがあったり……。一度として同じものは炊けないところが、かまど炊きの魅力」と、古市さん。
かまどごはんは、その場限りの巡り合わせ。だからおもしろいのだとか。
今回のかまど
「竈の家」にあるのは、レンガの土台にタイル貼りの西洋クド(クド=かまど)。元々この家にあった土クドを、大正~昭和初期に造り替えたものだそうです。当時は珍しかった白いタイル(黒タイルが一般的)にアザミの飾りタイルをあしらうなど、なんともお洒落なキッチンです。鍋釜を据える釜口は、右からハソリ(大鍋)用、炊飯釜用、ステクド(余熱で沸かす茶釜)、さらに大きなハソリ用の4つ。釜輪という鋳物の輪を設置して釜口の直径を調整することで、さまざまなサイズのお鍋を使えるようになっています。
西洋クドと土クドの違いを説明する古市さん。「本来この炊き口には鋳物の扉やロストル(火格子)が付いていて、土クドよりはるかに熱効率がいいんです。残念ながら今はもう残っていないので、薪のくべ方を工夫して効率を上げています」
【洗米】
10合をザルにあけて、流水でよく研ぎます。水が透明になるまで、しっかりと。
【注水】
ザルで水をよく切ったお米を釜に入れ、水を注ぎます。使い込まれた鉄の釜には目盛りがなく、また計量カップも使いません。「手のひら全体がかぶるぐらい」を目安に、水量を調整します。
【火起こし】
炊き口に薪をくべ、新聞紙で火をつけます。最初は庭木の枝を、次にクヌギやコナラの薪を入れ、火力を安定させます。比重が大きく燃焼に時間がかかる広葉樹を使うことで、火の持ちをよくしています。
【沸騰】
火にかけてから約10分後、湯気がもくもくと上がってきました。釜の中は沸騰のピーク。そのまま蒸気が収まるのを待ちます。この間、とくに火力調整はしません。
【むらし】
湯気が収まってきたら、火を引きます。ここから約30分のむらし。時間をかけてむらすことで、釜の内側にごはんがくっつくのを防ぎます。
【炊きあがり】
蓋を取った瞬間、おこげの香りが混じったごはんのいい匂いが立ちこめます。キラキラと輝く白い米粒の間には、カニ穴もぽつぽつと。さて、今日のかまどごはんのお味は?
炊くたびに新しいおいしさに出会えるかまどごはん。
その日その日の炊きあがりを楽しむのが、「竈の家」の流儀です。
古市文子さん
見よう見まねではじめてかまどごはんを炊いたのが、2005年。あまりにおいしく炊けたので、「かまどってこんなに簡単に炊けるんだ!」と驚きました。以来50回ほど 炊いていますが、失敗したことはありません。おこげができたりできなかったり、多少かたかったりムラがあったりしても、毎回違うおいしさを楽しめるのがかまどごはん。炊きあがってふたを開ける瞬間は、本当にわくわくするものです。お米は一度にたくさん炊けばおいしくなるし、たっぷりのごはんをみんなで食べればさらにおいしい。かまどごはんの魅力は、そこに尽きると思います。
不完全さがかまどごはんの魅力。
「本炭釜 KAMADO」は、そのおいしさをムラなく再現していますね。
古市さんとともに「竈の家」の運営に携わる、建築家の池山琢馬さん。ふだんは電気炊飯器を使わないという池山さんに、かまどごはんと「本炭釜 KAMADO」で炊いたごはんを食べ比べていただきました。
池山琢馬さん
「今日のかまどごはんは、いつもより少しかたくておこげも多い。ムラがあるけど、おいしく炊けていますね。むしろ、このムラのある不完全さが、かまどごはんの魅力だと思います。一方、驚いたのが「本炭釜 KAMADO」の味と食感。かまどごはんのやわらかい部分ととてもよく似た食感で、味はほとんど同じ。かまどからムラを差し引いて、おいしいところだけをうまく再現していますね。プロが炊いたかまどごはん、という印象を受けました」
かまど隊の研究風景をご覧ください
釜の温度を測るための器具を装着。炊き始めから炊きあがりまで、釜の内側・外側の上下各所を測定します。
炊きあがったお米の検証。マイクロスコープを使って、保水膜の状態を観察します。
炊きあがった米粒のサイズを測定します。2度目の炊飯では食紅を加えることで、検証の視認性を高めました。
大変お世話になりました!
「竈の家」は、釆女町の古民家を利用したまちかど博物館/コミュニティスペースです。通り土間のある「田の字型」の間取りやレンガ造りの「西洋クド」が当時のまま残る貴重な空間で、昔ながらの日本の文化や暮らしを体験できます。季節の和菓子やお抹茶を楽しめる「サロンdeかまど」や、かまどを使った炊飯や料理に挑戦できる「leブランチ かまど」、雑学ワークショップ「かまど学舎」など、イベントも多彩。