パワー半導体デバイスは、カーボンニュートラルと社会変革を見据えたGX(グリーントランスフォーメーション)への挑戦に向けたキーデバイスの1つです。
シリコン(Si)と炭素(C)を1:1で結合した化合物半導体SiC(シリコンカーバイド)を用いたSiCパワー半導体デバイスは、従来のシリコンを用いたパワー半導体デバイスに比べて電力損失の大幅な低減化、高温動作や高速スイッチング動作が可能となるため、エアコンなどの家電、産業機器、鉄道車両、自動車などのさまざまなパワーエレクトロニクス機器の省エネルギー化への貢献が期待されており、電気自動車への搭載で市場の急拡大が見込まれています。
さらには、次世代の半導体ウエハ材料として、酸化ガリウム(Ga2O3)を用いたパワー半導体デバイスへの期待も高まっております。
三菱電機は、パワー半導体デバイス事業拡大を目指し、様々な投資や最先端のパワー半導体デバイスの研究開発や製品化により、GX実現に向け挑戦して参ります。
パワー半導体モジュール組立・検査工程のマザー工場であるパワーデバイス製作所 福岡地区に約100億円を投資して新工場棟を建設し、稼働開始は2026年10月を予定しています。
敷地内にあるモジュール組立・検査工程の製造ラインの一部を集約し、部材受入から製造、出荷までの生産工程を効率化します。また、進捗管理や自動搬送などを行う生産管理ツールを導入することにより、生産性の向上を図ります。さらに、製品開発力を向上すべく、設計・開発・生産技術検証から製造までを一貫して行う体制を強化します。
Coherent Corp.(コヒレント株式会社、本社:米国ペンシルベニア州サクソンバーグ、以下 Coherent)がSiC事業を分社化して設立する新会社へ5億米ドル(約750億円*)を出資することについて、Coherentと合意しました。
当社はSiC基板サプライヤーであるCoherentとの垂直連携を強化し、パートナーシップをさらに強固なものとすることで、急成長が見込まれるSiCパワー半導体デバイス市場において、SiC基板の一層の調達安定化を図り、高性能で信頼性の高い製品を安定供給して事業を拡大します。
*:1米ドル = 149.6円で算出(2023年9月末TTMレート)
Coherent Corp.(コヒレント株式会社、本社:米国ペンシルベニア州サクソンバーグ、以下 Coherent)とパワーエレクトロニクス市場向け 8 インチ SiC 基板の共同開発について基本合意書を締結しました。
三菱電機は今回の基本合意に基づき、2023年3月14日に広報発表いたしました熊本県泗水地区での新工場棟で生産する SiC パワー半導体デバイスに使用する高品質な 8 インチ SiC 基板を Coherent と共同開発することで、パートナーシップを強固なものとし、SiC パワー半導体デバイスの安定供給を目指します。
Nexperia B.V.(以下Nexperia)とパワーエレクトロニクス市場向けSiCパワー半導体の共同開発に向けた戦略的パートナーシップに合意しました。
三菱電機は、自社の強みである化合物半導体技術などを適用したSiC-MOSFETチップをNexperia向けに開発・供給します。Nexperiaは、当社SiCチップを搭載したSiCディスクリート製品を開発します。
次世代パワー半導体ウエハの一つとして注目される酸化ガリウムウエハ を開発・製造・販売する株式会社ノベルクリスタルテクノロジーへ出資しました。当社は今後、酸化ガリウムパワー半導体の研究開発を加速し、 省エネ性に優れたパワー半導体を社会に広く普及させることで、脱炭素社会の実現に貢献します。
三菱電機株式会社は、パワーデバイス製作所 福山工場で製造する12インチSiウエハを用いたパワー半導体チップのモジュール組立工程に向けた本格的な供給を9月30日に開始しました。これにより、民生分野向けを皮切りに、最新のSiパワー半導体モジュールの安定生産が可能になります。