「人工衛星のひみつ」にのっている “まめちしき”をもっと深く知ることができるよ!

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種子島宇宙センターは、珊瑚礁に囲まれた海岸線に面しており、世界一美しいロケット基地と言われている。

種子島宇宙センターは総面積約970万m2の日本最大のロケット基地だよ。ロケットの打ち上げ時は射場から3km以内は立ち入り禁止になってしまうんだ。1543年に鉄砲が伝来したと伝えられる門倉岬で有名な種子島の南種子町にあるんだ。

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「スーパーバードC2」は、スカパーJSAT株式会社(日本)が所有している通信衛星で、三菱電機株式会社が設計・製造を担当した。

日本の衛星通信会社が国産の衛星を購入したのは「スーパーバードC2」がはじめてなんだ。これまでは海外の衛星を購入してきたり、海外の衛星メーカと共同で開発した衛星を購入したりしてきたんだ。

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地球の自転を勢いを利用するため、静止衛星を搭載したロケットは東に向けて打ち上げられる。

たとえば、もし赤道直下に射場があり、そこから真東に発射すると、地球自転周速度の0.46km/sだけロケットの燃料を節約できると考えられるんだ。東に他国があるところでは、打ち上げ失敗時に迷惑をかけないように効率が悪いのを承知で西に打ち上げるしかないところもあるんだよ。種子島宇宙センターも種子島の東側にあるよ。

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人工衛星は太陽電池パネルを太陽に、アンテナを地上に向けるため、姿勢の制御が必要。

衛星には地球の重力や、太陽からの圧力、空気による抵抗などで常に力が加えられていて、放っておくとまわりだしてしまうので、「いぶき」のような観測衛星は観測センサを常に地球に向けるために常に姿勢制御をしているんだ。

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静止衛星は、重さの半分以上が燃料で、ロケットから切り離されてから静止軌道に乗るまでの間にその大半を使ってしまう。

静止軌道に乗るためのエンジンをアポジエンジン(アポジキックモーター)と呼ぶ。アポジとは衛星がロケットによって運ばれた楕円軌道のうち地球から最も遠い点のこと。なお最も近い点はペリジというんだ。

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人工衛星は、主に姿勢や軌道を維持するための燃料が切れることで、その寿命を迎える。

燃料がなくなると、軌道維持ができなくなるので、ほかの機器が動いても寿命になるんだ。姿勢を維持するためのエンジンには、気体をそのまま噴射するガスジェットエンジンのほかに、アークジェット、イオンエンジンなどの電気推進エンジンを使っている衛星もあるよ。

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寿命が近づいた人工衛星は、高度を下げて大気圏突入で燃やしつくすか、他の人工衛星のじゃまにならない軌道に移動させる。

こうのとりも宇宙ステーションのごみを搭載して大気圏に突入して燃え尽きるよ。静止軌道の衛星は通常高度を上げ、重力の安定した別の場所に移動するんだよ。

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人工衛星の太陽電池パネルは、モータではなくバネの伸びる力で開かれる。

太陽電池パドルを固定したワイヤもしくはボルトを火薬で切ったり破壊して、後はばねの力で伸びてゆくんだよ。中にはモータでマストを伸ばしてそのマストに短冊状の太陽電池を張った衛星もあるよ。

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「スーパーバードC2」は太陽電池パネルを広げると幅31.6mになる。

人工衛星の幅は太陽電池パドルの大きさで決まってくるよ。衛星が必要とする電力が大きいほど太陽電池の枚数が増えて、パドルが長くなるんだ。

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人工衛星が太陽を見つける目を、太陽センサと呼ぶ。

ほかにも地球を見る地球センサもあってこの2つを使って衛星の位置を確認するんだ。最近はスターセンサという星を目印にして位置を確認するセンサをつかっている衛星もあるよ。

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人工衛星が地球の周りを落下することなく回り続けるには、最低秒速7.9kmが必要で、これを第1宇宙速度という。

秒速7.9Kmって、新幹線が2時間半かかる東京から大阪までを1分かからないで到着する速度だよ。それぐらい速い速度を出さないと人工衛星にならないんだね。

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秒速11.2kmになると地球の引力圏を脱出する。これを第2宇宙速度という。

「はやぶさ」はM-Vロケットで第2宇宙速度を出したわけではなくそのあとイオンエンジンでじっくり加速していったんだ。

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さらに秒速16.7km以上になると太陽系の外に飛び出す。これを第3宇宙速度という。

過去に第3宇宙速度を出した人工物としてはパイオニア10号・11号、ボイジャー1号・2号があるよ。また、現在冥王星に向け飛行中のニューホライズンズも観測終了後太陽系を飛び出すコースを飛行する予定だよ。なお、ロケットだけでは第3宇宙速度を出すことはできず、スイングバイという技術を使って加速しているよ。

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高度数百kmでも、宇宙は完全な真空ではなく、ほんの少し空気が存在する。だから人工衛星は空気抵抗で少しずつ高度が下がっていく。

宇宙でもっとも真空度が高いところでも1立方センチメートルあたり原子が1~2個存在し、完全な真空ではないんだ。

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人工衛星は、高度が下がるのを防ぐために、エンジンを噴射して軌道を保つ。

高度によってエンジン噴射の回数は違うんだ。地球に近いところを飛んでいる衛星は噴射の回数が多いよ。その分衛星の寿命が短いんだ。周回衛星は2~3年の寿命が多いのに比べて、静止衛星は10~15年の寿命であることが多いよ。

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人工衛星に電磁石を搭載し、巨大な磁石である地球に反発する力を利用して姿勢を制御する方法がある。

衛星の姿勢制御には大きく2つの方法があって、1つはガスや燃料を噴射してその反動で衛星を回転させる方法と、衛星の中にあるホイールを回してその力を利用して衛星を回転させる方法があるんだけど、ホイールで制御するときにこの電磁石も一緒に制御することが多いんだよ。

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「ひまわり7号」は気象観測だけでなく、航空管制という重要な役割も担っている。

ひまわり6号までは気象衛星と呼ばれていたけど、ひまわり7号は運輸多目的衛星と呼ばれているんだ。ひまわり8号からは本来の気象観測専用の衛星になって、撮影間隔が短くなったり、撮影した画像の質がよくなったりと、機能も大幅にアップするよ。

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人工衛星は太陽や月の引力を受け、少しずつ軌道がずれてくるのを定期的に修正している。

静止衛星軌道上では、月や太陽の重力による影響よりも地球の重力の影響のほうがずっと大きいよ。それでもずれが出るので修正をしているんだ。

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人工衛星は、地球上の場所によって重力の大きさが微妙に異なることによる軌道のずれについても修正している。

ちなみに、地球上で重力が一番小さい地域はモルジブ・スリランカ付近だそうだよ。カリブ海・カナダ北部重力が他の地域に比べて軽いよ。だからといってからだが軽くなったり浮いたりすることはないよ。

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太陽の表面で大きな爆発があると、地上と人工衛星との間の通信に影響を与えることがある。

太陽表面の爆発を太陽フレアというよ。独立行政法人 情報通信研究機構では「宇宙天気情報」としてこの太陽の爆発による放射線の情報を発信しているよ。