和食シリーズ企画第3弾
第8回 豆腐
伝統の味わい深さ
革新のすがすがしさ
昭和の頃、町で一番早起きなのはお豆腐屋さんでした。
豆腐の基本は、三和豆水庵の工場でも変わりません。
伝統の製法を革新の技術に乗せて――。
今、豆腐はこんなふうに作られていました。
大量生産でも"造り"は同じ
株式会社三和豆水庵の本社工場があるのは茨城県古河市。ここでは、日産27万食の豆腐が作られています。もっとも手順としては昔ながらのお豆腐屋さんと変わりません。まず大豆を一粒ずつ確認して、組み上げた水に10~12時間漬けるところから始まります。
「そうして大豆がしっかりと水を吸い、2~2.5倍ほどに膨らんだらグラインダーですりつぶして「呉(ご)」をつくります。町の豆腐屋さんと少し違うのは仕込みの量。水を吸った大豆50万トンとなると釜で一気に加熱するわけには行きません。つづら折りになったパイプのような加熱器を通しながら、加熱ムラが起きないよう少しずつ温度を上げていきます。
大量生産でも"造り"は同じ
「呉(ご)」がしっかり加熱されたら、おからを分離させて豆乳を絞り出します。ここまではすべての豆腐に共通する工程。その後、木綿豆腐ならにがりを打ち、固めた豆腐をていねいに崩し、熱をかけて水分を抜く。充填豆腐なら容器に冷やした豆乳と凝固剤を入れ、容器を真空パックして加熱して固めた後に冷却。というふうにそれぞれの豆腐の過程に進んでいきます。
手作業中心の寄せ豆腐から、ほぼすべてオートメーション化されている充填豆腐まで、作る豆腐によって工程は少しずつ異なります。木綿や絹ごしのように、基本的には機械でパッキングしながらもそこは柔らかい豆腐。最後は人の手でチェックが必要な製品もあります。
変わらぬ造りに、新しい製法。純白の豆腐の世界には清冽(せいれつ)でありながら、奥深い味わいがあるのです。
2017.06.09