芸術の秋にアートを買おう芸術の秋にアートを買おう

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近年アートの購入が密かなブームになっていることをご存知ですか?
アートは美術館で楽しむだけのものではありません。
今回は「アートを買う」をテーマに、コレクターのコバヤシマヒロさんにお話を伺いました。
暮らしにアートを取り入れて、芸術の秋を満喫しましょう。

アートとの出会いは身近にたくさん アートとの出会いは身近にたくさん

アートを買うきっかけはさまざま。美術展に足を運んだことや、アート関係のメディアに触れたことで興味を持つ方もいますが、意外なことに新生活がきっかけになることも珍しくありません。コバヤシさんもそのひとり。「引っ越しを機に、新居を彩るインテリアとしてアートを買いました。これがコレクションへの入り口になったのです」と語ります。
一点もののアートは、大量生産されるインテリアとは性格がやや異なります。作品の裏側にあるコンセプトや美術史との繋がりなどを知ると、作品への見方が変わり、それにともない愛着が高まるものです。
「アーティストの思いや考えに触れると、目の前の作品が特別な存在になっていきます。普通のインテリアという範疇を超えるというか」(コバヤシ)
ぱっと見の印象を大切にして作品を集める人もいれば、自宅に作品を飾ることを自己表現ととらえる人もいます。いずれにしても、昨今はSNSなどの普及により、作家と直接つながれるようになったことも追い風となり、アートはますます身近な存在になりつつあります。

予算と飾る場所を決めておこう 予算と飾る場所を決めておこう

この作品も、あの作品もいい──。アート作品を選ぶ際に、よく遭遇する悩みです。思っていた以上の出費に泣かされないためにも、しっかり予算を決めておきましょう。アート作品の価格はピンキリですが、目が肥えていないビギナーは金額的にも無理は禁物です。
「最初は安価な作品にしておき、徐々に値段の高い作品にチャレンジしてはいかがでしょう。まだ世に名が知られていない作家の作品には、数千円から数万円で購入できるものもあります。同じ作品が複製される版画や写真も、比較的安価で手が出しやすいと思います」(コバヤシ)
版画や写真にはエディション(限定部数)が設けられているのが一般的です。エディションの数が多いほど作品の希少性は薄まる一方、価格が安くなる傾向にあります。

ご自宅を見回すと、リビング、玄関、ダイニング、トイレなどさまざまな場所にアートを飾れることに気づくはずが、このほかに考えておきたいのは作品のサイズと色合いです。
「もし殺風景な部屋を彩りたいなら、明るく鮮やかな色合い。落ち着いた空間にしたいなら、モノトーンや淡い色合い。どんな雰囲気の空間にしたいか。これを基準にイメージを膨らませてみてください」(コバヤシ)

オンラインで作品の情報収集を オンラインで作品の情報収集を

アート作品を知ること。これが次なるステップです。アートに関する情報源が限られていた頃とは異なり、今なら手始めにSNSを活用するといいでしょう。
「現代アートを探すなら、インスタグラムなどで『現代アート』『現代アート好きな人と繋がりたい』『現代アートギャラリー』といったハッシュタグを検索します。すると、同じハッシュタグで情報発信をしているアートコレクターや作家のアカウントにたどり着けます。展覧会で目にした作品を投稿しているコレクターも見つかるでしょう」(コバヤシ)
ここで大切なのは、多種多様なアート作品に触れること。このプロセスを経ることで自分好みの作品・作家が徐々にわかってきます。

もちろんアート専門の雑誌やWebメディアを読むのも手です。アートコレクター向けの雑誌『ARTcollectors’』のほか、老舗の『美術手帖』、コバヤシさんが手がける『Bur@rt』 などでは、作品が紹介されているのはもちろん、アートコレクターや作家へのインタビュー記事も閲覧できます。こうした情報からは、作品を観るだけでは伺いしれないアートの魅力に触れられます。

おすすめの購入場所(1)ギャラリー おすすめの購入場所(1)ギャラリー

アートってどこで買うの? これもビギナーに多い質問です。コバヤシさん自身も「最初はアートがギャラリーで買えることすら知りませんでした」と明かします。
「ビギナーの方には、積極的にギャラリーに足を運んでほしい。SNSや印刷物からも作品の魅力は伝わってきますが、やはり実物は別ものです。質感、色合い、細かなタッチ。これらディテールを直に味わった上で購入を検討してください。眺める角度によって印象が変わる作品すらあります。そういった意味でもギャラリーは作品を購入するのに最適の場です」(コバヤシ)

価格が適正かどうか。これも初心者が気になるポイントのひとつです。ギャラリーでは主にプライマリー(一次購入)の作品を扱っています。プライマリーは購入場所に関わらず価格を一定とするよう決められていることから、初めて買う方にも安心です。
「ギャラリーには必ずプライスリストが用意されていて、ここに価格やサイズ、使用素材などの基本情報が作品イメージとともに載っています。目立つ場所に置かれていることもありますが、見当たらない場合はギャラリーのスタッフに尋ねましょう」(コバヤシ)

展示する空間や額装が変わると、作品の見え方も変わるもの。作品が映える飾り方については、ギャラリストに相談するのも手です。ギャラリーでの展示方法をお手本にしてもいいでしょう。
「運良く、作家さんが在廊していたら、ぜひ話しかけてください。作品に込められた思いや制作の舞台裏に触れることができると、目の前にある作品がいっそう身近に感じられるようになります。こういった体験も、アートに触れる醍醐味です」(コバヤシ)

おすすめの購入場所(2)アートフェア おすすめの購入場所(2)アートフェア

未知の作品との出会いをもっと楽しみたい。そんな方にはアートフェアがうってつけです。アートフェアとは、さまざまな作家やギャラリーが集結して作品を展示販売する催し。「ART FAIR TOKYO」や「ART OSAKA」などが代表例になります。
「多様なアート作品を一度に観られることから、今まで知らなかった作家や作品との出会いがあるのが大きな魅力です。もうひとつ、アートフェアを初心者におすすめしたい理由は、審査を通過した作品のみが展示されていること。良質な作品に出会える良さがあります」(コバヤシ)
ここに参加するギャラリストや作家、他の買い手 との交流が生まれることも。アートフェアを頻繁に訪れるコバヤシさんは「いろいろな人と情報交換できる貴重な場」と語ります。

出典:【フォトレポート】買える!コレクター展

「Collectors’ Collective Vol.1」https://collectors-collective.com/vol1-photo-report/新しいウィンドウが開きます

旅するようにアートを買おう 旅するようにアートを買おう

予算や作品のイメージを考える。オンラインで作品を目にしてわくわくする。実物を前に買うかどうか迷う。ようやく作品を手にして喜ぶ。日常生活の中で眺める。さまざまなステップを経るうちに、作品が自分にとって特別なものになっていきます。コバヤシさんはこれを旅に喩えます。
「どんな景色に感動するかが人によって異なるのと同じように、作品選びの判断基準も人それぞれです。大切なのは、他人の意見に流されず、自分が本当にいいと思う作品を買うこと。じっくりと考え抜いた末に、たどり着いた結論に自分を委ねて買う。その高揚感はアート作品を買う醍醐味です」(コバヤシ)
アート作品を買うことで、アートとの距離はぐっと縮まります。毎日をより豊かな気持ちで過ごせたり、街中のオブジェや展覧会に興味が湧くことも増えるはず。アートを買う楽しみを、暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。

2022.10.03

コバヤシマヒロさん

Bur@rt編集長/アートコレクター

「日本でアートコレクターの裾野を広げる」をモットーに、さまざまな活動を行うコバヤシマヒロさん。来場者に展示作品を買える美術展「Collectors’ Collective」(通称コレコレ展)を開催しています。WEBメディア「Bur@rt(ぶらっとアート)」は、「アートコレクター訪問企画」「アートコレクターのお作法」など、初めてアートを買う方にやさしい情報が満載です。

Bur@rt(ぶらっとアート)新しいウィンドウが開きます

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