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- 長く愛用するために~器の上手な扱い方~
すてきな食器を手に入れたら、できるだけ長く楽しみたいもの。
一口に食器といっても、素材によってその特徴はさまざまです。
今回は素材別に、食器の魅力と選び方、扱いのコツをご紹介。
オンラインのセレクトショップ「おうちで楽しむ陶器市 うちる」代表の竹澤秀明さんに教えていただきました。
陶器
「陶土」という土でできた焼き物のこと。ざらりとした質感が特徴で、手づくりの風合いや温かみが魅力です。焼き色にも1枚ずつ個性があります。水分が染みやすく、使い続けるうちに貫入と呼ばれるヒビ模様が入って変化するのですが、この経年変化も味わいとして楽しみたい器です。
和の雰囲気をまとう陶器を、洋のスイーツやドリンクとぜひ合わせてみてください。簡単に、おしゃれな古民家カフェのような雰囲気を自宅で再現できます。そば猪口にデザートやコーヒーを入れて楽しむのもおすすめです。
磁器
白くて硬い「陶石」を砕いたものを原料とする器です。つるりとした質感が特徴で、絵柄が鮮やかに映えます。洋食器の大半は磁器に分類されます。丈夫で軽く、汚れがつきにくいため「器の扱いには自信がなくて……」という方におすすめ。割れにくいため気兼ねなく使えることが大きな魅力です。
【陶器と磁器の見分け方】
器の底にある支えの部分「高台(こうだい)」をチェック。ざらっとした質感の場合は陶器、白くて滑らかなら磁器です。
木工・漆器
木工は手触りの心地良さ、温かい雰囲気が魅力です。湿気を吸い込む性質があるため、木のお皿にパンを乗せると、カリッとしたおいしさが長続きします。
漆の樹液を塗り重ねた漆器は、艶やかな美しさが印象的です。高級なイメージが強いかもしれませんが、カジュアルに日常使いできる漆器もあります。お気に入りのお椀がひとつ家にあると、毎日お味噌汁を飲むのがぐっと楽しみになるはずです。
ガラス製
透明な素材に光の屈折で繊細なゆらぎが生まれ、料理にみずみずしさを添えてくれます。グリーンサラダをガラスの器に乗せると、水の上にグリーンが浮かんでいるような雰囲気に。
真鍮
(しんちゅう)・銀
真鍮とは、銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金のこと。食卓に上品な華やぎが生まれる、主張しすぎない金色が特徴的です。一方、銀食器は、美しさや滑らかな質感に加え、熱伝導率の高さが魅力。料理の温度感がそのまま伝わります。どちらもお手入れは欠かせませんが、大切に使いながら経年変化を見守ることも楽しみのうちです。
新居に一から器を揃えるなら、
- 21cm(7寸)程度の大皿
- 15cm(5寸)程度の取り皿
- お茶碗
- 汁椀
この4つをまず選びましょう。
メインの大皿には、1人前のワンプレートにも、2~3人分のおかずを盛る際にも活躍するサイズ感の丸皿がおすすめ。端が3cmほど立ち上がっているものだと、汁気のあるおかずやパスタにも使いやすいです。
15cmの取り皿は、副菜を乗せるのにぴったりで、おやつ用にも活躍します。こちらも、端が少し立ち上がっているものが便利です。
お茶碗と汁椀は、ふだん洋食が多い人も、自宅にぜひ揃えておきたいもの。和食だけでなく、サラダやヨーグルトを盛る際にも使えます。
避けてほしいのは、真っ白で無地のもの。無難なお皿として選ばれがちですが、シンプル過ぎて「料理をおいしそうに見せる」役割を果たせません。落ち着いた定番品が欲しい人には、少し生成りのお皿や、焼き色に自然なニュアンスがあるもの、ふちに適度な削ぎ目があるものをお奨めします。
店頭やサイトでどれを買おうか迷った時は、心がワクワクするものを選ぶのが一番。ファーストインプレッションを大切に「これが好き!」と思ったものを家に迎えると、その食器を使って食事する楽しみが一気に膨らみます。
陶器
【購入したら目止めの処理を】
使い始める前に一度「目止め」をしましょう。土の隙間を埋めて汚れや匂い、水漏れを防ぎます。手順は次の通りです。
- 1.器を鍋に入れ、米のとぎ汁を注ぎ、15分ほど弱火で煮沸します。
- 2.火を止め、冷ましてから器を取り出し、十分に乾燥させます。
簡単に済ませたい場合は、米のとぎ汁か真水にしばらく浸しておくだけでもOKです。
毎回の使用時にも水にさらし、拭いてから料理を乗せると、シミが付きづらくなります。使い始めのうちは醤油など色の濃いものを避けると、食器への色移り防止になります。
とはいえ、お手入れに神経質になる必要はありません。使ううちに料理の色が染みたり、独特のヒビ模様が入ったりして見た目が変化する様子を、器の通は「器を育てる」ように味わいます。大らかな姿勢で向き合ってください。
【収納はよく乾かしてから】
使用後は早めに中性洗剤で洗い、しっかりと乾燥させます。乾かす時は器の底面を上にし、重ねない状態で半日以上置きましょう。一見乾いたように見えても、器の内部に水分が残っていることも。すぐに棚にしまいこむとカビの元になるため要注意です。重ねる際はキッチンペーパーを挟むと、傷を防いで湿気も吸ってくれます。
磁器
丈夫な素材とはいえ、薄いものは割れやすいためご注意を。基本的に電子レンジでの使用もOKですが、金彩や銀彩の絵付けがされているものは避けましょう。磁器も重ねて置く際は、紙を挟むと安心です。しっかり乾燥させて収納し、カビを予防してください。
木工・漆器
急に熱を加えると変形する場合があります。電子レンジやオーブンでの使用はNG。極端な乾燥は漆にダメージを与えるため、漆器を冷蔵庫に入れるのも避けましょう。
匂いが気になる時は、箱から出して風通しのいい日陰に1週間ほど置いてください。漆器を初めて使う前にはぬるま湯で湯通しすると、変形を防げます。
【水洗いで木の油分を維持】
洗剤は木から油分を削ぎ落とすため、なるべく水洗いで。しっかりと乾かし、湿気の少ない場所で保管します。
他の器にもいえることですが、長もちのコツは「こまめに使うこと」。棚にしまい込んで長く放置すると、ダメージを見逃しがちです。頻繁に使うほど目が行き届き、美しさを保てます。
【表面がカサついたら油を補給】
植物油やオリーブオイルを塗ってください。油を少量たらし、キッチンペーパーで薄く伸ばして乾かすと、潤いが復活します。
ガラス製
耐熱ガラスも衝撃に弱いため、取り扱いはていねいに。クリスタルグラスは特に繊細で割れやすいので、注意が必要です。
【洗う時はアクセサリーに注意】
中性洗剤を使い、柔らかいスポンジを使いましょう。指輪もガラスに傷をつける恐れがあるため、外してから洗ってください。ワイングラスは脚の部分が割れやすいので、洗う際も拭く際も、脚に力を加えないようご注意を。
洗った後に水分を残したまま乾燥させると、くもりの原因に。吸水性の高い布で水気を拭き取りましょう。保管時も、くもりを防ぐため上向きに置いてください。
くもりが気になってきたら、200mLのぬるま湯にクエン酸を小さじ1溶かし、しばらく浸けるのが有効です。
【繊細なグラスはやさしく洗浄】
ワイングラスを洗う際は、底を手のひらで包むようにして持ち、飲み口をスポンジでなでるように2~3回往復させます。グラスの内側にはスポンジだけ入れ、回転させて洗いましょう。クリスタルグラスは急な温度変化に弱いため、洗う際はぬるま湯で。
真鍮・銀製品(カトラリー)
【食べ終わったら早めのケアを】
調味料、卵などのタンパク質、輪ゴムやラップに長く触れると、腐食や黒ずみの原因に。使用後はすぐ汚れを洗い落としましょう。
中性洗剤を使い、柔らかいスポンジでやさしく洗います。洗剤を流しきり、水分をよく拭き取ってください。収納の際は、温度変化の少ない乾燥した場所へ。銀は空気に触れると黒ずむため、長期間しまう場合は専用ケースに入れましょう。
【黒ずみをとる際は専用グッズで】
真鍮は、金属磨きクロスや研磨剤で磨きます。銀には、市販の「銀磨き」を使うのが安心です。柔らかい布に銀磨きをつけて変色した部分を軽くこすった後、洗い流して乾いた布で拭き、乾燥させましょう。
新しい服を買うとお出かけが楽しくなるのと同じように、お気に入りの食器は、毎日の食事の楽しみを広げてくれます。ぜひ全国の陶器市やショップに足を運び、気になる器に出会ったら気軽にお試しください。難しく考える必要はありません。すてきな器で、あなたの暮らしに彩りを添えてみませんか。
2024.11.05
竹澤秀明さん
おうちで楽しむ陶器市 うちる
株式会社ユーチル代表
「陶器市に行くときのようなワクワク感をおうちで楽しんでもらえるように」との思いから、日本全国の窯元や陶芸作家の手仕事の器などをオンラインで販売するセレクトショップ。2,000種以上、約2万5,000点の多彩な器を取り揃えています。年4回のオンライン陶器市では、全国各地の陶器市に出店する人気作家の器を購入できます。