再生可能エネルギーとは化石燃料のように資源が枯れる心配がなく、自然界の活動によりエネルギー源が絶えず供給・再生され永続的に使うことができるエネルギーのことを言います。太陽光、風力、水力、地熱、波力、潮力、バイオマスなど、わたしたちの身の周りにある自然から生み出されるため「自然エネルギー」と呼ぶこともあります。
特徴は自然からもたらされるエネルギーであるため、資源が枯渇する心配がないこと、そして利用する際に二酸化炭素などの温室効果ガスをほとんど排出しないことから地球温暖化対策としても注目を集めています。また、当然ですがエネルギー源が近くにあれば、遠い国で資源を掘り出して運ぶ必要もありませんし、万が一、海外で紛争、災害などが起きても供給できます。
*この記事は2019年8月の情報を元に掲載しています。
日本では未だ再生可能エネルギーは不安定というイメージがありますが、世界を見渡すと再生可能エネルギーだけを使って電力を供給している国や地域があります。
たとえば、火山国の利点を活かして地熱と水力発電で電気を100%作っている国にアイスランドがあります。70年代に日本と同様にオイルショックを経験し、自前のエネルギーの重要性を痛感した同国は地熱を活用する発電所の開発に力を入れてきました。火山国の特性を生かし、地熱を電力だけでなく暖房や農業・漁業などにも使っています。
水力発電によって電気をまかなう国にノルウェーがあります。ノルウェーは急な山が多く、降水量も多いので水力発電に適しています。北欧はノルウェーに限らず再生可能エネルギーの導入に積極的な国が多く、それぞれの国が送電線をつないで電力を売り買いする市場もあるので、より安定的に使えます。
中米の小さな国、コスタリカも水力、風力、地熱をミックスして自然のエネルギーだけで電力を供給しています。このように、もうすでに再生可能エネルギー100%での発電を実現した国があり、自然の恵みだけで発電することはもはや夢物語ではないのです。
これらの国に続けとさまざまな国や地域が再生可能エネルギーの導入に積極的です。日本人によく知られるハワイでも海、太陽、風の恵みだけで発電する島を目指しています。実は日本の屋久島も60年ほど前から水力だけで電力を自給しています。すでに日本でも実現している地域があるのです。
「日本の発電電力量に占める再生可能エネルギー比率は2018年時点で16.9%」*1であり、デンマーク70%、カナダが66%など主要国と比べると再生可能エネルギー比率は低く、立ち遅れているのは事実です。
その理由として「日本は資源が乏しい国だから」とよく言われるのですが、どうやらそれは事実ではないかもしれません。日本は石油や石炭などの化石燃料は乏しいですが、自然のエネルギーは実は豊富にあります。
たとえば、「風力発電量は陸上と洋上をあわせて16.5億kW」*2と推計され、日本国内に現在ある発電設備の全設備容量を遥かに上回る量があります。その他、日本は火山国ですので地熱も豊富にあり、太陽光も北欧などに比べれば豊富に降り注ぎます。
もちろん、多くの山や川があることから現在も「水力発電は約8%」*1を発電していますが、中小水力を加えると導入可能量はまだ豊富にあることは想像できるかと思います。そして周りを海に囲まれている日本は海洋エネルギーの宝庫でもあります。つまり、日本は再生可能エネルギー大国になってもおかしくない可能性を秘めた国と言えるかもしれません。
*1:
資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」(2018年11月)
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/
total_energy/results.html
*2:
環境省「平成24年再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」
https://www.env.go.jp/earth/report/h25-03/
再生可能エネルギーの使い道というと、発電だけと思われがちですが、実はそれだけではありません。自然の力を使って発電することに加えて「熱利用」、「燃料化」の2つがあります。
たとえば太陽光発電は有名ですが、太陽熱温水器についてはご存知でしょうか。夏に日向に水を入れたペットボトルを置いていくと水が温まる、それと同じ仕組みです。効率よく太陽の熱を集めて給湯や暖房に使うという太陽熱利用は、実は太陽光発電よりエネルギー効率が高く、中国、米国、ドイツなどでは盛んに使われています。
また地熱も発電だけでなく、暖房や給湯、産業用の燃料として使うことができます。アイスランドでは発電のほかに地熱を住宅やビニールハウスの暖房、養殖場での温度管理、温水プールなど、熱を無駄なく使ってエネルギー使用量を削減しています。
また、デンマークも酪農や農業で出た廃棄物や生ごみなどを燃やして発電(バイオマス発電)するとともに、その時に出た熱は地域暖房(お湯を作って地域全体の暖房に使うこと)として利用しています。このように発電と熱の両方に利用する場合は大きくエネルギー効率が高まり、省エネの優等生となるのです。
日本でも廃材を燃やして発電し、地域の公共施設の電気や電気自動車に使い、その際に出た熱を地域の暖房や農産物栽培に使うなどして、地域のエネルギー自給率を高める試みがいくつかの地域で進んでいます。
北海道下川町での再生可能エネルギーの熱電利用の取り組み