ここからは、いよいよ実践的な写真講座のスタート!
ちょっとしたコツで上達できる撮影の基本を3回にわたって紹介します。
アドバイスしてくれるのは、プロカメラマンの龍腰雄二さん。
今回は料理写真を例に、光を上手に使うコツを学びます。
- 2014/9/18
- 第1回 写真部発足! 好きなものをキレイに撮ろう
- 2014/10/07
- 第2回 私にぴったりのカメラは? Nikonさんに聞きに行こう!(前篇)
- 2014/10/17
- 第3回 私にぴったりのカメラは? Nikonさんに聞きに行こう!(後篇)
- 2014/11/21
- 第4回 プロのカメラマンが伝授! 撮影の基本を学ぼう① ~光を味方につける~
- 2014/12/11
- 第5回 プロのカメラマンが伝授! 撮影の基本を学ぼう② ~構図の基本をマスター~
- 2015/1/13
- 第6回 プロのカメラマンが伝授! 撮影の基本を学ぼう③ ~動く被写体に挑戦する~
- 2015/3/24
- 第7回 実際に撮影してみよう!① ~料理篇~
- 2015/5/12
- 第8回 実際に撮影してみよう!② ~ペット篇~
- 2015/6/2
- 第9回 実際に撮影してみよう!③ ~子どもの写真と水中撮影篇~
- 2015/7/1
- 最終回 撮った写真をみんなで一緒に大画面で楽しもう ~三菱液晶テレビREALで鑑賞会~
編集部員 F(女性)
料理はつくるのも食べるのも大好き! おいしそうなフード写真をSNSで共有したい。
編集部員 S(女性)
自慢の愛犬の姿をたくさん写真に残したい! でもよく動くからベストショットが撮れない…。
編集部員 C(女性)
孫が生まれたことで、息子たちが小さかった頃のカメラ熱が再燃。また成長記録を残したい!
編集部員 H(男性)
趣味はルアーフィッシング。水や汚れに強いタフなカメラで日々の釣果を記録したい。
龍腰雄二さん
広告写真家。日本広告写真家協会会員。
ふだんはポスター、カタログ、雑誌など、広告媒体の撮影を中心に活動。
仕事の合間に世界各国を取材旅行。
現在は、ギリシャの猫たちをライフワークとして撮影。
日本産業広告賞、APA賞ほか受賞多数。
- 編集部
- 本日はよろしくお願いします。
- S
- 今回はプロのカメラマンさんに、 “上達のコツ”を教えていただけるということで、すごく楽しみにしてました!
- 龍腰さん
- いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。みなさんの上達のお役に立てればうれしいです。
- F
- では早速ですが、私、よくレストランでお料理の写真を撮るんですが、おいしそうに見せるコツってありますか?
- 龍腰さん
- どんな写真にもいえることですが、基本は“光を味方につける”ことです。
- C
- 光ってカメラに付いているフラッシュ機能ですか?
- 龍腰さん
- 場合によってはそうですが、ここでいうのは自然光のことですね。レストランであれば、窓際の席に座るところから始まります。
- F
- え?!わざわざ窓際にお願いしますってリクエストするんですか?
- 龍腰さん
- 僕はいつもそうしてますよ。空いている限り、意外と断られませんよ。
- H
- でも窓からの陽射しを当てると逆光になっちゃいますよね?
- 龍腰さん
- そこがポイントです。逆光気味に撮影することで、素材のみずみずしさやツヤ感が際立っておいしそうに見えるんです。
- S
- じゃあ、まんべんなく照明があたる夜のレストランでは、どう撮ればいいんでしょう。
- C
- やっぱり、ストロボやフラッシュを使うんでしょうか?
- 龍腰さん
- フラッシュの光だと料理が平面的に写って、おいしさが表現しにくいので、おすすめしません。
ただし、屋外の人物撮影などでは、逆光で顔が暗く写るのを防ぐためにフラッシュを使う場合があります。
「日中シンクロ」といわれる手法ですが、これもまた“光を味方につける”テクニックのひとつですね。
窓からの自然光を活かして撮影。
逆光で撮ることによりシルエットが際立つが、ここではサイドからの光でふんわりとした仕上がりに。
低い視線から一点にピントを合わせ、周囲をぼかすことでより臨場感のある写真になる。
- F
- お料理写真でいつも迷うのが、どこにフォーカスすればいいのかという点。これにも何かコツがあるんですか?
- 龍腰さん
- お皿を全部入れようとする人がいますが、できるだけ寄ってどこか一点にピントを合わせたほうがシズル感(被写体の新鮮さやみずみずしさ)を表現できます。基本的には自分が見せたいところ、おいしそうと感じたところ焦点を合わせて撮るのがいちばんですね。
- S
- でも最近のカメラって優秀だから、だまっていても全体的にピントが合っちゃいますよね。
- 龍腰さん
- 機種によっては、カメラの液晶をタッチすることでピントを集中させたり、エフェクトでぼかしを入れたりもできますが、ここでは自分でピントを合わせるテクニックを覚えましょう。それにはまず、カメラまかせのオート撮影を卒業することです。
- H
- マニュアルで撮影するっていうことですか?
- 龍腰さん
- 露出まで自分で決めるのは大変なので、最初は「絞り優先AE」から始めるといいでしょう。これは絞り値を自分で選べば、シャッタースピードはカメラが自動的に決めてくれるモードです。
- C
- 絞り値を変えるとどんな効果があるんですか?
- 龍腰さん
- 絞りの開き具合が変わる、つまりレンズを通る光の量が変化します。この絞り値はF3.5、F5.6などの「F値」で表され、数字が小さくなるほど絞りが開いて光の量が増え、ピントが合って見える範囲は狭くなります。これを「被写界深度が浅い」といいます。この「F値」をコントロールすることでいわゆる「ボケ感」を演出するわけです。
- H
- 逆にF値を大きくすれば被写界深度が深くなり、ピントの合う範囲も広がるわけですね。
ただの水が入ったコップも、思いっきり寄って撮影することでぐっとアートっぽくなる。
ポイントは絞り値。
被写界深度を浅くすることで、ガラスの冷たさや水滴のシズル感がより鮮明に。
- F
- 自然光をうまく使い、おいしそうなところにピントを合わせてその前後をぼかす。ここまでのテクニックはわかりました。じゃあ、お料理を撮る「角度」については?
- 龍腰さん
- だいたいみなさん斜め45度ぐらいから撮るケースが多いんですが、そこは色々と工夫をしてみるといいでしょう。真上から俯瞰(ふかん)で撮っても下から仰ってもいい。視点を変えることで意外な発見があるかもしれませんよ。
- C
- でも角度によっては、お皿に光や影が映り込んじゃったりしますよね。
- 龍腰さん
- そこは逃げるしかありません。どうしても気になるなら、手や紙などで囲って反射を遮るようにしましょう。逆に、映り込みを利用しておもしろい効果を狙う手もあります。
- S
- そういう意図しない偶然に出会えるのも、写真の魅力ですよね。
あえて映り込みを利用した一枚。オリーブオイルのつややかな表面に浮かび上がる針葉樹のシルエットが美しい。
光と影を利用することで、なんでもない光景がユニークな作品に生まれ変わる。
次回は、写真をより魅力的に見せる構図について教えていただきます!
(つづく)
2014/11/21