第2回 若き学生エンジニアの奮闘「三菱電機杯 全国学生電気・自動化コンテスト」観戦レポートinブラジル | The Art of Manufacturing | 三菱電機FA
Factory Automation

海外レポート

若き学生エンジニアの奮闘
「三菱電機杯 全国学生電気・自動化コンテスト」観戦レポートinブラジル

2024年3月公開

第2回 審査結果はいかに

製作したプロジェクトの解体の時間を挟み、いよいよ結果発表。

軽快な音楽と薄暗い照明が、緊張と高揚感を駆り立てる。結果発表の様子は、Youtubeで生配信される。

プロジェクトの創造性や革新性に加え、運用の容易さ、実行可能性や安全性などの基準により審査が行われたが、どのプロジェクトもレベルが高く、審査は難航した。激しい議論の末、大学と専門課程の各部門から上位2つのプロジェクトが表彰されることになった。

結果発表(高専部門)

Escolas Técnicas(高専部門)部門の栄えある優秀作品には、CENTRO DE EDUCAÇÃO PROFISSIONAL E TECNOLÓGICA DE IMPERATRIZ(タイトル:インダストリー4.0の自動製造システムにおけるIIoTの応用)が、2位にはSENAI BRÁS – ROBERTO SIMONSENが選ばれた。

Escolas Técnicas(高専部門)1位の学生たちとインダストリー4.0の自動製造システムにおけるIIoTの応用をテーマにした作品

Escolas Técnicas(高専部門)2位の学生たちと、”グリーン水素製造のための持続可能な技術:エネルギーの未来への再生可能アプローチ”をテーマにした作品

結果発表(大学部門)

Instituições do Ensino Superior(大学)部門は、接戦の末、サーボモータ活用による予防保全をテーマにしたIFSP SERTÃOZINHO(タイトル:回転機用スマート診断ソフトセンサーの提案)が、2位にはIFSP BRAGANCA PAULISTAがが選出された。

Instituições do Ensino Superior(大学)部門1位の学生たちとサーボモータ活用による予防保全をテーマにした作品

Instituições do Ensino Superior(大学)部門2位の学生たちと、”薬局・ドラッグストアにおける医薬品自動倉庫”をテーマにした作品

各部門で1位となったチームには産業用ロボット、2位のチームには当社FA機器が教育機関に寄贈される。また、1位のチームの学生にはMitsubishi Electric Brazil社でのインターンの機会に加え、ノートパソコンが贈られた。

今回惜しくも優勝を逃してしまった他のチームは、残念な思いはもちろんあったと思うが、優勝チームの勝利を我がことかのように喜び、みな肩を抱き合い、互いの健闘を称えていた。

受賞チームのプロジェクト概要

ほとんどの発展途上国と同様に、ブラジルでは特に大都市を中心にゴミ問題に直面している。環境問題にも繋がることから、近年関心を持つ人が増えているとのことだ。
それを裏付けるかのように、ゴミとして廃棄されてしまっている貴重な資源を活用できないかと、再生可能エネルギーをテーマとしているチームが多く見受けられた。

今回Escolas Técnicas(高専部門)部門1位を受賞したチームは、インダストリー4.0の考え方を取り入れることにより、ブラジルの産業はさらに成長できると考え、IIOTを応用した生産工程や機械の自動化、見える化による業務効率、安全性向上させることを目標にしたプロジェクトを提出。部品分類の失敗を最小限に抑えることで、原材料の無駄を削減、また、トレッドミル上に部品の供給がない場合はオフにすることで、エネルギーの無駄を削減できることをデモンストレーションした。

Escolas Técnicas(高専部門)部門2位を受賞したチームは、産業廃棄物として出される廃液を、エネルギーとして活用するプロジェクトを提出していた。産業廃棄物として出される廃液を電解し、水素を製造、製造された水素をカプセルに保管するまでの一連の工程を、制御、情報収集、モニタリングするという内容だ。

また、既存のものを再利用することで、低コストに構築できないかということを、課題の一つにプロジェクトを提出していたチームも多く見受けられた。たしかに、低コストで導入可能となれば、費用や規模に依存せず、街のお店や工場でも取り入れられやすい。遠い未来ではなく、近い未来をよりよくしようという学生たちの熱い思いを感じる。

Instituições do Ensino Superior(大学)部門1位のチームは、IoTを活用した機械装置の健全性情報を抽出するソフトセンサーの考え方を確立することを目標としたプロジェクトを提出。一般的に広く利用されているエンジン制御の仕組みを再現し、産業ネットワークを介して収集されたデータを、エッジ・クラウドで実行できるインテリジェントシステムを開発、PLCによってサーボモータを動作させ、専用のセンサーを使用することなく、機械の動作の健全性を診断し、位置合わせのずれ、軸受の不良等、機械的な障害を識別、予防保全に活用できるという内容だ。他のチームに比べ、テーブルの上に置かれているものは少なく、すっきりとした印象だったが、それが返って着目点を際立させており、惹きつけられる。

Instituições do Ensino Superior(大学)部門2位のチームは、大型の施設だけでなく、身近な街の薬局等でも活用できるプロジェクトを提出。箱の大きさ等必要な情報を記憶させることで、高い位置にある対象物を正確にとり、商品の引き渡しミスを防ぐともに、探す時間の短縮、業務の効率向上を図れるとした。街の薬局が自動化、と聞くと若干寂しい気持ちがしたが、これまで商品を探すことに費やしていた時間を、お客様とのコミュニケーションに割くことができると聞き、急激な変化といった印象を与えずに、お店側、お客様側、双方に受け入れやすい、地に足のついたプロジェクトだと感じた。

参加チームへインタビュー

コンテスト終了後、参加チームの学生に感想を聞いた。

──コンテストに参加した感想を教えてください。

言いづらいのですが、実は三菱電機についてはあまり知りませんでした。ただ、新しい技術を学び、その知識を自分の人生に取り入れることへの挑戦と思い、参加しました。今回、実際に三菱電機FA製品に触れてみて、堅牢性、品質がいいことがわかりましたし、何よりもサポートが素晴らしかったです。他のチームのプロジェクトも多種多様で、三菱電機FA機器がさまざまな業界に適応できることがわかりました。(Alan Rodriguesさん)

「手を動かし」実践することが、学ぶ最善の方法だと知りました。大変でしたが、本当に楽しかったです。このような大会はあまりないので、次回があるならば、ぜひ他の学生にも薦めたいです。(Luiz Gustavoさん)

三菱電機の製品に触れたことがなかったので、プログラムを組むのが一番大変でした。今回のコンテスト参加を通して、三菱電機FA機器に触れたり、オンライン講座を受講したり、三菱電機の製品について学ぶことができました。また機会があれば参加したいですし、この経験は他にはないので、ぜひお勧めします。(João Vitor Silvaさん)

「プロジェクトのレベルの高さと多種多様なソリューションへの提案があったことに大変満足している。新興市場での自由競争を促進する経験は、非常に生産的であり、多くの“最初”がある。
どのチームも、いかに当社の製品の機能を、主要な業界で最大限に活用できるかを考えてくれた。当社にとっても、参加者にとっても素晴らしいマイルストーンになったのではないだろうか。今回参加した全員が勝者であり、みんなに拍手を送りたい」とMitsubishi Electric Brazil社Fabiano Lourenço社長は言う。

観戦を終えて

ブラジルでは初めての三菱電機杯 全国学生電気・自動化コンテスト開催。日本の真裏で、三菱電機FA製品を使用し、自国で活用できるソリューションを考えてくれた学生がいることに胸を打たれたと同時に、学生たちにとっても、このコンテストが、何かのきっかけになれば嬉しいと思った。

アンケート

Q1今回の記事に興味関心を持ちましたか?

※必須項目です。選択してください。

Q2Q1で答えた理由を教えてください。また次回題材でご希望があれば教えてください。※なお、ご質問に対する回答はいたしかねますのであらかじめご了承願います。

ご回答いただきありがとうございました

この記事をシェアする

一覧に戻る