半導体は「産業のコメ」とも呼ばれる。産業全体の基盤ともいえる重要な部品だからだ。スマートフォンなどの情報機器やインターネット対応が進む家電、電動化が進む自動車などを背景に、半導体市場は活況を呈している。さらに今では生成AIのブームも加わり、大量で高速のデータ処理をするのに必要不可欠な半導体は今後も拡大が続くことが見込まれている。
しかし、この半導体製造の分野で三菱電機のFA製品は相当数採用されているが、放電加工機となると、ほとんど採用実績がなかった。だからこそ足がかりをつくるために喉から手が出るほど欲しかったのが、半導体封止金型製造の案件だったのである。逃した魚は大きかった。
名古屋製作所に返されてきた形彫放電加工機を前に、
「ここで終わるわけにはいかない」という思いが
佐々木たちにこみ上げてきた。
改良を続けていけば半導体市場に食い込めるチャンスは必ず来る。そう信じて開発を継続することにした。