テクノロジー
三菱電機のFA技術や、ビジネスに役立つ各種レポート・コラムをご紹介します。
セミナーレポート
「e-F@ctoryセミナー in 関西」レポート
2017年4月公開【全1回】
パートナ様講演ウエストユニティス株式会社 代表取締役 福田 登仁氏 ※講演者の所属は2017年2月時点のものです。
産業用途ウェアラブルコンピューターの技術及び導入事例紹介
ウエストユニティス株式会社
代表取締役 福田 登仁氏
「当社は1983年に業務用マニュアル制作会社として創業しました。産業機械の修理マニュアルなどを制作する中で、1990年からは直感的に分かるものを目指してフルアニメーションの動画マニュアルの制作も始めましたが、作業現場で見ることができません。そこで1998年からメーカーと共同でヘッドマウントディスプレイの事業も開始し、2003年にはそのシステムが鈴鹿8時間耐久レースのピットクルーにも採用されました。2014年からは自社製のハードも開発して、ウェアラブルコンピューターとして展開しているところです。
その自社製ウェアラブルコンピューターの一つが「InfoLinker」です。現在数百社のお客様にテストや実運用いただいております。InfoLinkerはヘッド部を上下60度自由に曲げることができ、つけたユーザの視野をじゃますることなく、ディスプレイの映像を見ることが可能です。
ウエストユニティス株式会社 代表取締役 福田 登仁氏
眼鏡タイプのウェアラブル端末は、両眼タイプと単眼タイプに分けられます。両眼タイプは両目の視界を覆ってコンテンツを映し出すため没入感が強く、VR(拡張現実)やAR(拡張現実)などで使われています。単眼タイプは片目だけにコンテンツを映すもので、もう片方の目で外の状況を見ることができ、作業しながらコンテンツから情報を得るようなことが可能です。
またディスプレイの方式も2つあります。コンテンツを透かして画面の向こう側も見えるようにするシースルータイプと、透かさない非シースルータイプです。非シースルータイプは画面の向こう側は見えませんが、周囲の明るさに左右されることなくコンテンツを見ることができます。
InfoLinkerはこの分類でいくと、「単眼」で「非シースルータイプ」にあてはまります。バッテリを内蔵し単体で動き、50gと軽いのが特徴です。現場での作業支援を目的とするなら、この形が最適と考えて開発しました。シースルーでは周囲が明るいと画面が見にくくなりますが、非シースルーのInfoLinkerはその心配はなく、屋外のプラントなどでも活用できます。
InfoLinkerを活用するためのソフトウェアとして、遠隔作業支援システムや作業ナビゲーションシステムを用意しています。遠隔作業支援システムは、本部の担当者が作業に必要な情報を映像やPC画面、音声で送り、現場の担当者はそれをInfoLinkerで受けて作業を進めます。作業ナビゲーションシステムは、本部がシステムに登録した作業マニュアルを現場に配信するもので、現場の担当者はマニュアルをInfoLinkerで確認しながら、作業を指示通りに進めることができます。
その他にも、検査工程にInfoLinkerを活用する方法もあります。紙のチェックリストではリストのデータ化の手間に加えて、検査担当者が複数項目をまとめてやってしまいがちで、検査漏れが発生することがあります。InfoLinkerを使うと、例えば検査担当者が読み上げた数値をInfoLinkerが拾って、しきい値内かを自動判定するようなシステムも可能でしょう。
InfoLinkerはこの他、建設現場で通常は二人がかりの墨出し作業を一人で行えるようにし、作業の30%効率化を実現した事例や、ボルトの締め付けトルク管理に適用し、タクトタイム短縮を果たした事例などがあります。その他にもさまざまな用途があり、ニーズに合わせて開発しているところです。」
ウエストユニティス株式会社
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