特集論文
多機能回生コンバータ “FR-XCシリーズ”
2019年1月公開【全3回】
名古屋製作所 平良哲 道祖尾竜太
要旨
インバータでモータを駆動する際、減速時や昇降機の下降時で、モータが発電機となり回生エネルギーが発生する。回生コンバータは、この回生エネルギーを電源に返して再利用することで大きな省エネルギー効果が得られるため、近年の省エネルギー・環境意識の高まりから需要が高まっている。
従来、三菱電機では用途・目的に応じて “ FR-CV(共通母線回生コンバータ)”、“ FR-RC(回生専用コンバータ)”、“ FR-HC2(PWM(Pulse Width Modulation)回生コンバータ)” の3種類の回生コンバータをラインアップしてきた。
今回、これら3種類の回生コンバータの機能を全て包含し、さらに小型化・省配線化を実現してシステム対応力を大幅に強化した多機能回生コンバータ “ FR-XCシリーズ ” を新たに開発した。
FR-XCシリーズの特長を次に示す。
- (1) 三つの回生方式に対応可能な高いシステム対応力
- (2) PWM回生コンバータ機能での小型化と省配線化
新方式フィルタ回路の採用、付属品のワンパッケージ化によって、従来機FR-HC2に比べ、据付け面積58%、配線工数52%を実現。 - (3) 回生専用コンバータ機能での小型化
新方式予備充電回路の採用によって、従来機FR-RCに比べ、据付け面積45%を実現。
とりわけPWM回生コンバータ機能では、機能・性能を維持しながら、従来機種FR-HC2の市場要求(小型化・省配線化)に対応した。
3種類の回生コンバータの機能を包含した多機能回生コンバータ “ FR-XCシリーズ ”
回生エネルギーを処理する方法として、回生コンバータの適用がある。抵抗による回生エネルギーの熱変換方式よりも、回生コンバータを用いることで回生エネルギーを電源側に返して再利用が可能となるため、大幅な省エネルギー効果と大きな制動能力が得られる。従来、当社では用途に応じて3種類の回生コンバータをラインアップしていたが、今回それらの機能を包含し、さらに小型化と省配線化を実現したFR-XCシリーズを開発した。