特集論文
多機能回生コンバータ “FR-XCシリーズ”
2019年1月公開【全3回】
名古屋製作所 平良哲 道祖尾竜太
第3回 製品の特長(下)
5. 回生専用コンバータ機能での小型化
回生専用コンバータ機能を包含する際、従来の予備充電回路を流用するとコンバータユニットが大型化する。今回対策として適用した、新方式の予備充電回路について述べる。
5. 1 新方式予備充電回路の適用
従来の回生専用コンバータFR-RCでは、電源投入時の初期充電電流を抑制するための回路が大型となっている。図9に回生専用コンバータFR-RCの初期充電電流の経路を示す。
回生専用コンバータの入力側を通るルート(初期充電電流経路B)とは別に、インバータ側を経由して回生専用コンバータのコンデンサを充電するルート(初期充電電流経路A)も存在するため、この経路にもマグネットコンタクタ(以下 “ MC ” という。)を追加する必要があり、結果的にコンバータユニット内にMCが3個存在することになる。
そこで、今回対策として、図10に示す新方式の予備充電回路を適用した。ダイオードが接続された回生専用コンバータ用P端子を追加し、また回生専用コンバータの予備充電回路の位置を変更した。
これによって、初期充電電流経路A及びBの双方に対して、回生専用コンバータ内の予備充電回路で初期充電電流の抑制が可能であり、従来3個あったMCを1個に削減できる。また、必要となるMCコイル駆動用電源容量も小さくできるため、電源生成用プリント基板の数やサイズも削減できる。
新方式予備充電回路を適用したことでFR-XCでは、従来機種FR-RCに比べて据付け面積は45%、体積は30%と大幅な小型化を達成した。
図9.FR-RCでの予備充電回路とMC
図10.FR-XCでの新方式予備充電回路とMC
6. むすび
従来、目的・用途ごとにラインアップしていた3種類の回生コンバータの機能を、ユニットサイズを大きくすることなく多機能回生コンバータFR-XCシリーズに包含できた。
とりわけ、PWM回生コンバータ機能では、高い制動能力、高調波抑制機能や力率改善機能はそのままに、従来のFR-HC2で改善が望まれていた大幅な小型化と省配線化も達成した。
今後も市場ニーズに応じて、回生コンバータの容量拡張・対応電圧拡大開発を推進していく。
製品紹介
- 要旨
- 第1回 製品の特長(上)
- 第2回 製品の特長(中)
- 第3回 製品の特長(下)