特集論文
三菱シーケンサ MELSEC iQ-Rシリーズ
C言語コントローラ スタンダードモデル “R12CCPU-V”
2015年10月公開【全3回】
名古屋製作所 渡部裕史
第2回 新C言語コントローラの仕様と特長
3. 新C言語コントローラの仕様と特長
2章の課題を解決するため、MELSEC iQ-RシリーズC言語コントローラスタンダードモデル“R12CCPU-V”を新たに開発した。まずはこの章で仕様と特長を述べ、2章の課題に対する改善内容を4章で述べる。
3. 1 仕様
R12CCPU-Vの仕様を表2に、外観を図2に示す。
表2.R12CCPU-Vの仕様
図2.R12CCPU-V
3. 2 MELSECシリーズの堅牢なハードウェア
C言語コントローラは、MELSEC iQ-R/Qシリーズの他のユニットと共通の耐環境性を持ち、耐久性の低いファンも使用しない。また、シーケンサCPUと同等のRAS機能を持つため、パソコンやマイコンボードを使用したシステムよりも高信頼かつ堅牢なシステムを構築することができる。
3. 3 MELSECシリーズの豊富な資産を活用
C言語コントローラは、MELSEC iQ-RシリーズのCPUユニットであり、MELSEC iQ-R/Qシリーズの実績ある160種類以上の豊富なユニットを活用してシステムを構築できる。また、シーケンサCPUやモーションCPUとのマルチCPUと連携した高精度な制御や、CC-Link IEによる情報系から生産現場までのシームレスな高速通信が実現可能である。
3. 4 専用開発環境による開発効率化
顧客の開発効率向上のため、次に述べるC言語コントローラの専用開発環境を提供している。
(1) CW Workbench(プログラミングツール)
CW Workbenchは、ユーザーアプリケーションのプログラミングを行うためのツールである。ウインドリバーシステムズ社のOEM(Original Equipment Manufacturing)製品となり、従来高価であった組み込みシステム開発環境を、低コストで導入することが可能となっている。プログラム編集からコンパイル、ソースコードデバッグまでの基本機能を備えており、アプリケーションを容易に構築可能である。
(2) CW Configurator(設定・モニタツール)
C言語コントローラ自身の設定やC言語コントローラユニットが管理するネットワークユニットやインテリジェント機能ユニットをプログラムレスで設定できるツールである。またC言語コントローラで発生したエラーやユーザーアプリケーションで発生したイベント履歴の確認、ネットワーク診断によるケーブル断線や通信状態などの確認をする診断機能を備えている(図3)。さらに、各装着ユニットの状態のモニタデータ入力による簡易デバッグや動作確認が可能である。このツールによってシステムを容易に構築・保守することが可能となり、開発コストを削減できる。
図3.CW Configuratorの画面
(3) 専用ライブラリ関数
C言語コントローラユニットの制御やMELSEC iQ-R/Qシリーズの各種ユニットにアクセスするための専用ライブラリ関数を提供している。これによってハードウェアを意識することなく、関数をコールするだけでユニットに簡単にアクセスすることが可能である。ユニットアクセスのためのドライバ開発は不要であり、ドライバ開発に必要な開発コストを削減できる。
製品紹介
MELSEC iQ-RシリーズC言語コントローラ スタンダードモデル“R12CCPU-V”
従来のマイコンボード、パソコンなどのC言語資産を流用でき、VxWorksを搭載したコントローラにより、リアルタイム性の高い装置を実現するCPU。
三菱電機が提案する次世代トータルソリューションの中核。
激しい市場競争に打ち勝つために、生産性が高く、製造品質の安定したオートメーションシステムを構築したい。このようなお客様の課題を、MELSEC iQ-Rシリーズは「TCO削減」「信頼性」「継承」の3つの視点から解決します。
- 要旨 MELSEC iQ-RシリーズC言語コントローラ スタンダードモデル “R12CCPU-V”
- 第1回 現行C言語コントローラの課題
- 第2回 新C言語コントローラの仕様と特長
- 第3回 新C言語コントローラの技術と機能