

アドバンストS字加減速とは
「アドバンストS字加減速」は、加速度変化から速度指令を導く加減速方式です。
直感で作成する速度指令曲線ではなく、加速度変化の調整から導いた速度指令曲線です。
台形加減速、S字加減速との違いを以下に説明します。
[台形加減速]
加速度がステップ的に変化する加減速方式です。
荷物を積載したトラックが急発進すると、衝撃を受け、荷物が前後に大きく揺れます。
衝撃、振動を小さくするためにはアクセルの踏込み量を少なくする必要があり、目的速度に到達する時間は長くなります。


[S字加減速]
速度指令がS字となる加減速方式です。
荷物が揺れないようゆっくり発進し、少しずつ加速させていきます。
加速から一定速に移る時も、ゆっくりアクセルを戻します。しかし、最大加速が一瞬のため、目的速度に到達する時間を短くするには、
最大踏込み量を大きくする必要があります。また、積載方法、重量、形状が変っても、固定の加速度パターンになります。


[アドバンストS字加減速]
荷物が揺れないようにゆっくり加速し、加速中はアクセルを保持、一定速に移る時、ゆっくりアクセルを戻します。
上手にアクセル調整をすれば、なめらかな加速を実現しつつ、目的速度までの時間も短縮することができます。


トラックの運転では、人間が上手にアクセル操作をしてなめらかな加速を実現しています。
サーボシステムも同様で、加速度を自由に調整する機能があれば、揺れを抑えつつ、目的速度までの時間を短縮することができます。
それを実現したのが「アドバンストS字加減速」です。
アドバンストS字加減速では、なめらかに加速度が変化する区間(Sin波形区間)と最大加速度をキープする区間(等加速度区間)の比率を調整し、なめらかさと高応答の両立を維持しつつ、加速効率も向上させていきます。
台形加減速、S字加減速、アドバンストS字加減速の比較
台形加減速で溜まりパルスが大きく変動する装置において、アドバンストS字加減速、台形加減速、S字加減速を使った時の例を下図に示します。
アドバンストS字加減速は、加速度がなめらかに変化する加減速処理を行うことで、溜りパルスの変動を小さくすることができ、整定時間の短縮が図れます。






加速時間 : 55ms
減速時間 : 55ms
整定時間 : 19ms
運転時間 : 135.6ms

加速時間 : 55ms
減速時間 : 55ms
整定時間 : 14ms
運転時間 : 130.7ms

加速時間 : 55ms
減速時間 : 60ms
整定時間 : 4ms
運転時間 : 125.8ms
注)機械の剛性が高い場合は、整定時間が変らない場合もあります。
アドバンストS字加減速の速度波形と加速度波形
●加速開始時の加速度変化をゆるやかにした場合

●完了時の加速度をゆるやかにした場合

アドバンストS字加減速設定方法
MELSOFT MT Works2を使ったグラフィカルなパラメータ設定
スライダーを選択すると、選択状態(/
)となり、カーソルが(
)に変わります。
スライダーを上下にドラッグさせ区間比率を設定します。
設定値の変化にあわせて、速度波形、加速度波形がリアルタイムに確認できます。


・・・
- スライダー操作により、加速区間比率にあわせてグラフが変化します。
・・・
- スライダー操作により、加速区間比率、減速区間比率、Adv.S字加減速加速時間を変更します。