張力制御とは? 基礎編 1

張力制御はなぜ必要か?
張力を制御する目的は材料や機械によってさまざまです。
張力を制御することによって、ちょうど良い張力を保ちながら材料を次の工程(印刷、はり合わせ、機械加工等)へ送ることができるため、材料走行の安定化、寸法精度の確保、巻上がり状態を良くすることにつながります。
材料走行の安定化
- 横滑り防止
- ロールの滑り防止(速度の安定性、傷の防止)
- 波打ちの防止
- からみつきの防止
材料の張力が弱いと、ロールと材料との摩擦力が小さくなり、滑りやすくなります。
また、更に張力が低下すると材料のバタツキやたるみが発生し、ロールへのからみつきなどにより材料破断やロールの損傷に至ることもあります。
変形の例
適正な張力の場合

適正な張力を保つことによってきれいな印刷に仕上がります。
張力が弱い場合

しわの発生
張力が弱いと、しわのある状態で印刷することになり、印刷パターンが途切れたりすることがあります。
張力が強い場合

縮みの発生
張力が強すぎると、材料を伸ばした状態で印刷することになり、張力がなくなると材料が縮んで、印刷も変形します。
寸法精度の確保
- 印刷仕上がり
- 寸法
- 太さ
- 幅
- 厚み
- パンチ穴ピッチ
- 折り目
材料張力が適正でなかったり変動したりすると、材料の伸びが変化し、さまざまな影響が発生します。
色合わせ
- 多色刷りの重ね合わせ(色ズレ、見当)
張力制御良好

適正な張力を保つことによってきれいな多色刷りに仕上がります。
張力制御不良

色ズレの発生
各印刷ユニットの張力が不揃いであったり、変動があったりすると、色のはみ出し・にじみ・変形などが発生します。
巻上がり
- しわの発生
- 横ズレ
- すき間の確保
- 固さの確保
- 巻上げ径の確保

巻上げ時の張力制御が適正でないと、巻上げ時やその後の保管中にさまざまな変形が起きることがあります。
また、所定の長さの材料を所定の巻径に巻上げるためにも、張力の制御が求められます。